アダルトの定義
さて、次にアダルトの定義について考えてみます。
アダルトは字義は大人の意味ですが、もちろんここでは「性的な」それ、ですね。例えば、公営ギャンブル、パチンコ、FXなども大人にならないとできませんが、それはアダルトとは言えない。実際、これらはどれも(パチンコは最近無理だけれど)地上波のCMでも流れているものです。さすがにこれらをもって「アダルト広告」という人はいないでしょう。
R18とかR15とかいう記述は、もともとアメリカから来たものです。R18は以前はXとされていて、それゆえXXXは強い性的指向として使われたりしたのですが、実はXXXはキスの意味にも使われていたり。
で、アメリカの性的表現は基本は上限がありません。だから、R18というのはR15との境を示すもの。つまり、R18を語る際には、その下限を意識するもの、であったりします。
ところが日本ではR18の上に違法、わいせつ物、というくくりが存在します。よって、R18が語られる場合、主にその上限が問題になるわけです。かつてビデ倫という組織が存在し、それがAVの審査を行っていたのですが、それは当該ビデオが「わいせつ物に当たらないか」を判断するものであって、そもそも審査を受けるかどうかについては、制作側の自己判断なわけです。
現状のAVを見てみると、まあ性行為を撮っている、というのはそれが同性であってもR18になっている、と考えてよいでしょう。AVの下には、いわゆる「着エロ」というジャンルが存在します。このジャンルは、実はR18の着エロと非R18の着エロが存在します。どちらも、疑似性行為的な描写をしたりはしますが、おおむね胸を直接露出したらR18着エロ、手ブラでも着衣スケでも、直接見えないなら非R18、みたいな感じじゃないかなと思います。
胸が見えるかどうかが境界か、というとそうも言えず。例えばマンガにも明確に18禁を示す成年マークとかあります。ただ、成年マークがつかないいわゆる青年マンガや過激レディコミなどでも、全裸での性行為(さすがに局部は隠す)は普通に出てくるでしょう。最近は少し変わってきたようですが、以前は同じような性行為描写でも、なぜかBLには成年マークを付けなくて済んでいた、という謎があります(要するに、クレーマーのターゲットがどこにあるか、という話ですね)。
TVの地上波では、アニメは乳首や下手したらパンツにも「謎の光」がかかって見え無くしていたりすることがあります。AT-Xの年齢制限をつけた版であれば、謎の光が解除されたりする作品がありますので、乳首露出がR18の下限か、というとそんなことは無く、円盤における修整でこれらが提供されたりすることがあります。そして、それらは年齢制限なしに買う事が出来ます。
つまりは、R18基準の下の、地上波基準、というのもまた別に存在しているわけですね。
じゃあ実写だからだめなのか、というと必ずしもそうではなく。例えばですね。宮沢りえのSanta FeをAmazonで買おうとすると、年齢制限はかからないでしょう。ブックオフだともしかしたら年齢制限ありの棚に並ぶかもしれないけれど。ちなみに、撮影時に彼女は18なので(芸術新潮2012/10)、Santa Feの所有は完全に合法です。
つまるところ、R18の下限ってよく判らないのです。下限を定義する法的根拠は、青少年健全育成条例とかになるのでしょうけれど、これらって条例なので県ごとに違います。まあ、東京は成年マークがついていないマンガをいくつか不適切であるとして有害図書として公表していたりしますが、基本的には提供者側の自主判断が尊重されています。それは上限についても同じことで、かつてビデ倫の審査を通ったものが猥褻として立件された時に問題になったりしたものでした。
かように、それが「アダルト物」であるかどうか、というのは実際にはなかなか判断しづらいのです。貴方にとってそれはアダルトであっても、世間一般でそう判断されるかどうかは判らない。だからアダルトを語る際には、世間とのすり合わせを意識しつつ、自分がアダルトと思うからこれはアダルトなんだ(逆に言えば、アダルトと思わないからアダルトではないのだ)という判断の押し付けは極力控えた方が良いだろうということです。あくまで自分の意見という事で、過剰に一般化はしないことです。
次は、見たくないものを見ない権利とかなんとかw