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80 卒業
もう少しで春が来る。遠い雑草も青々と生い茂る。かつての伝説も全てこの地上で起こっていたこと……この風が運んできた言葉は、絆……文字通り本当の絆は、この世界が広しと言えども、ごく僅かなことであろう。出逢いがあれば、別れがある。終わりがあれば、始まりもある。別れ際に、爽やかなものがあるとすれば、この時だけであろう。そう、心に熱くて清らかな火炎が燃えるときだけ……恋人、友、家族、恩師、太陽、花、蝶、鳥、石くれに幸あれ!と、どこまでも純粋に想えるときは、この時だけであろう……
先のことばかりを考えるようになったのは、いつからであろうか、自分の事なのに、自分にも分からない。日常がまるで美術館のようであったら、どれほど悦びを持った日々を過ごせるだろうか。神話のような日常、神話のような輝かしい生きる杖を失ったのは、いつからだろうか……、今、もう一度だけ、その杖に手を伸ばしてみようと思う。
完




