7 鍵盤
小さな頃からヒカリくんは、どうやらピアノを弾いていたらしい。うん?ショパンではなくて、これはバッハ?かな。宮廷っぽいし、陽だまりの感じ。クラシックもいい。ぼくは最近『水のたわむれ』という曲をよく聴いている。これはラヴェルという方がどうやら作曲したらしい。Wikipedia先生に依ると、精神が乱れていたこともどうやらあったそうだ。この曲を聴いたとき、ぼくは、いつもの橋の上に広がる水色のパノラマが、違って見えた。なんだろう、斜めに落ちてきたメロディーが、垂直に落下してきた。こういう立体的な感覚はあんまりなかった。ラヴェルさんの不規則な音色は、かのベートーベンより聴きやすいのは何故だろう?『月の光』という霊感に似た感覚を授けて下さるドビュッシーも、最初の頃は良かったけど、『ケーク・ウォーク』も意外性でまあまあ、か。
アンナは?今、何してるの。
ぶっちゃっけ、何でもいいんだけど。カラフルな感じで、誰かを好きでいようが、何かに夢中だったり、有言実行を実践していようが。
勝利の女神は、どうやら、ちゃんとした敗北者に微笑むらしい。
いつも突拍子もない心模様。アフロディーテはやっぱり美しかった。がしかし、知らない人がいる。知っていても、直接面会した人は少ない。むしろ、触れたことがある人など、なかなかいない。
音楽室にぼくは居た。リラックスしながら、知ったのだけれど、アンナは、双子座だったみたい。今日から、ぼくは、ジャムじゃなくて、バターを朝の、朝の!朝の……、パンに塗りたくろう。