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 まさに星降る夜だった。サトルはこんな時に、1人でいるのは、野暮なことだと思った。なんの為に、こんなにも美しい夜があるのだろう、と。きっと、ひとりじめするためではなく、誰かと共有するためにあるんだ!こんなときに、少しも愛というか、関係性を深められなければ、アンナの彼氏失格、いや、芸術家失格じゃないかと。人間には有限な一面もあるけれど、無限の一面だってある。無限の可能性を簡単に否定する人達もいるけれど(傷が深いのだろう)、それじゃ、サトルの人生がツマラナイ。あとは、精神や生きざまを無限にフォーカスするように修養するんだ!いてもたってもいられなくなったサトルは、ついに、アンナに発信した。


「どうしたの?こんな時間に電話して」

「世界で1人しかいないアンナ……、今どこにいるの?」

「どこって……、私の部屋」

「そっかぁ、なら良かった」

「へぇ~、世界で1人しかいないサトルくん……、ついに束縛してくれたのね」

「な、なんだよ、それ!」

「鈍感なんだから」

「生存確認だよ、生存確認(ヤバい、照れ隠しが下手だった)」

「生存確認?(意外と素直じゃないところがあるんだから!)はい、こちら菅谷杏奈、異常はありません。加藤悟さんはどうですか?」

「はい、こちら加藤悟。異常あり、異常あり。杏奈に会いたい病という、不治の病に(かか)りました」

「ああもう……、サトルくんったら、日付け変更してるから、今日会えるじゃない」

「今がいいの」

「ダメ、わがまま言わないの」

「今って言ったら今」

「ダメって言ったら、ダメ」

「だって学校で会ってもなぁ……、アンナの為に、周りの目を気にしないといけないし、もっと公明正大なお付き合いをしたいものですな」

「サトルくんはデリカシーに欠けてるのよ。ちょっとは我慢を覚えなさい、我慢を」

「はぁ……思った以上にスクールラブは険しい道のりだなぁ」

「まだ、5月よ。違うクラスになってから1ヶ月しか経ってないじゃない」

「まさに5月病でやんす」

「頼りないわね、サトルくんは」

「はい、もう、へのへのもへじ」

「意味分かんないわ……明日はまだ学校あるし、もう寝るね」

「えぇ~、もう寝ちゃうの?」

「もう、くたびれました……愛してるよ、サトルくん」

「あっ、気を使ったでしょ」

「じゃあ気を使わせないでよ」

「お別れのチューは」

「はいはい、電話ごしの……」

「……」

「おやすみ」

「おやすみっくすぜりー」

「今夜のサトルくんは、最後まで、意味分かんないね、バイバイ」

「バイバイって、ちょっと……今夜は星が綺麗だったね」

「サトルくんも同じ星を見上げてたのかな……おやすみ」

「……、おやすみ」



***


「薔薇」


深紅の香りは

自他のため

ここかしこを包みこむ……


薔薇のように

静かに凛と

咲いていたい

暗い夜でも

心のなかのなかには(リヒト)


薔薇の(とげ)

清らかな命の約束を守る

やさしい棘

天の(ことわり)と秩序を示す

ひとつなるうた


パッションと捨身(しゃしん)によって

よりよい世界を創造する

悲しみは慈悲に

怒りは秩序に

依存は帰依に

苦しみは知恵に変わっていく……

ハレルヤ、ハレルヤ

1つも欠けることなく

全世界に幸あれ


時が来れば

深奥の声を口ずさみ

あまたの宙を震わせて

聖なる息を吹きかけ

神妙な命を蘇らす


深紅の香りは

自他のため

ここかしこを包みこむ……

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