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49 和

 誰も気付かないけれど、やがて二重の(ダブルレインボー)を産み出すことになったこの雨は、今日も昼休みの教室をカラフルにさせている。


「もしも1人1人の正義っていうものを分かち合うことができたのなら、この世界はもっと面白くなるし、助け合うことができるようになると思う」


 サトルはいつものように、弁当を食べながら、心弾むように、トモヤに言った。トモヤは三年生になっても同じクラスになった。


「それは、ザックリ言えば、違いを分かち合うっていう話だよね」


 トモヤはサトルの話を何故かよく聞いてくれる。トモヤは聞くだけじゃなく、時々、新鮮な解釈を提示してくれる。


「トモヤ、そういうことだと思う。違いを分かち合う段階に入ること自体が、かなりうち解け合わないと、難しいかも知れないけれど」

「まあ、音楽でいえばジャムセッションみたいなことだよね。音楽の場合でも、ある程度決められたキーや音調のなかで、行われることだし、そのキーや音調のなかで自分自身のオリジナリティを出すことは、かなり洗練されてないとできない」

「確かに、確かに」

「人と人とのコミュニケーションの場合はなんだろう……、人には様々な状況や境遇、また状態があるなかで、音楽にあたるキーや音調、空気感を融合させるセッションは、なんだろうな……、お互いの良心や肯定感のようなものを持ち合うことが大事になってくるのかな……」


 トモヤの話を聞いて、サトルは何か、閃いたのか、一度水筒に入っているお茶を口に含んでから、キレイに飲み込んだ。


「そうか!そういうことなのか!1人1人の正義を共有し合うには、ルールが必要なんだ!ルールを簡潔に説明をするならば、それは愛だ!」


 トモヤは腹を抱えて、笑いながら言った。


 「でました、サトルの名人芸の愛!愛、愛、愛、愛って、またそれか!アハッハッハ!!まあ、そういうニュアンスなんだけどハッハッハ」

「じゃあ、トモヤならどうやってそれを表現するの?」

「ふぇ、オレなら全く違う言葉で表現するかな」

「違うって言っているだけじゃ、なんか、モノ足りないなあ」

「じゃあ、自然」

「お、自然!」

「うん、自然のルールが必要なんだ!自然、自然、自然、アハッハッハッ!!」

「なんか上手い言い方ないかなぁ……、あ、和だ!」

「ほう……和のルールが必要なんです!和、和、和、聖徳太子も言われておりました。和を以て貴しとなす!!」


()って、()だし、()もあるよね!One for all,All for one!!」


 サトルは子供のように目を輝かせながら、再びボソッと、言った。


「なんか見えてきたかも」


 トモヤは一見すると対照的な態度をとっているように、見える。

 

「アハッハッハッハ!!」

「あ、トモヤ莫迦にしてるだろ」

「いや、莫迦にしてないんだけど、なんかオカしくて」

「そ・れ・を・莫迦にしてるというのです」

「時々、真剣さやピュアさが、オカしく感じない」

「ほら、莫迦にしてる。素直じゃないね、トモヤは」

「おまえが、どストレート過ぎるんだよ!……まっ、それがサトルの良いところなんだけど」


 サトルはトモヤに思わぬことを言われたのか、少し照れくさくなってしまって、止まっていた箸を再び動かしだした。そんなサトルの様子を見て、トモヤは心秘かに、ほくそ笑んだ。


***


詩情(ポエジー)


忘れないで

忘れないで

あなたのなかのなかにある

かけがえのない祈りを


思い出して

思い出して

わたしのなかのなかにある

たったひとつだけの光を


形のあるものは

形のないものからうまれて


ポエジーがこの世界を

彩りゆたかに創造していく


それは子供のように

世界に産まれた喜びを歌い


それは可憐なる花のように

ひとつなる命を讚美して

咲きこぼれる


甘美な螺旋は

やがて深遠の泉に辿り着き


その至高の潤いを

この地にもたらしていく


無数に横たわる

水晶の川からは


豊穣なる恵みと

たおやかな愛が溢れ


鳥達は平和を囀り

無窮に舞う


胸には太陽が宿り

あらゆる生命はひとつになり


未だかつてない音色が

あたりを包み込んで

兄弟姉妹に

とこしえを約束する


小さな祈りと礼拝は

大いなる翼へと変容を遂げ


その生命は

大いなる御前で

自由自在に駆けめぐり


世界の千仞まで

その息吹がいきわたれば


全身全霊が谺して

至福の恍惚へと誘われていく


黄金なる聖霊がふたたび

この世界をときめき


風が友を呼ばわれば

いにしえからの約束が

果たされていく


天と地を結びゆく

目にはみえない交流のうちに

歌の翼はますます霊感を授かり


余すことがなく

この世界にさらなる繁栄と

やさしい希望をもたらしていく


さあ 共に奏でよう

さあ 共に違いを分かち合おう


さあ ひとつになろう

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