表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/80

44 元気

 今日も太陽は誰にも気付かれないように、号令をかけた。それを知ってか知らずか、ショウヘイは、()た、冷やかすように、サトルとアンナを持ち上げた。ショウヘイがちょっとだけ特徴的に言うと・き、それは、かなりの範囲のクラスメイトが釘付けになると・きを意味している。春休みに入る前の小さな事件であった。


 「で、その後は何をやったの?」


 サトルはアンナの反応を観て、()ぐ様メンションした。それは、ショウヘイの(よこしま)な想いなどは、関係無かった。ただ身体がメンションした。


 「その後は、ぼくのロマンを語ったんだ!」

 「へぇ、それでそれで」

 「分かりやすくいえば、本当の夢のこと」

 「ほぉ、だからその後は何をやった?」

 「え?お互いに、持ってきた飲料水を飲んで、喉を潤した」

 「本当にそれだけ?」

 「その後は、手を繋ぎ歩いて、最寄りの駅まで帰ったんだよ」


 ショウヘイは今日はじめて、嬉しそうに、笑うのだった。それから、前髪をふいに、かきあげてから言った。時刻は、12時48分頃、いつもの教室。


 「本当にそれだけ?」


 アンナはショウヘイの白いYシャツを鷲掴みにして、教室の後部にあるロッカーに、ショウヘイを叩きつけた。


 「サトルくんに、今後、一切、関わるんじゃねぇゾ」


 ショウヘイは、尚更、愉しそうに、アンナにだけ聴こえるように、モゾモゾと言った。


 アンナはショウヘイの態度をある程度理解してから、改めて、言葉を()らした。


 「サトルくんも本当に莫迦」


 この教室は、ごく一部の人々だけ、そのイニシエーションに似た模様を、脳裏に焼きつけることになった。またクラスの少数派は、やれやれと愚痴をこぼした。これは、幸せといえば幸せだし、不幸といえば、何よりも、不幸な事件であった。


 それから、これらの情勢や流れ、あるいは機敏と呼ばれる(たぐ)いを知ってか知らずか、サトルは、言うのであった。


 「アンナ!今日も一緒に、弁当食べよ」

 「もう……、仕方ないなぁ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ