14 ベンチ
いつも一緒に帰っているアツシやトモヤには悪かったけど、今日は1人で帰りたかったから、よかった。チャイムダッシュ作戦成功。まあ、アンナにだけは「早く帰りたい~、早く帰りたい~」と散々言っておいたから……よし、答えをそろそろ出そう。関係性が崩れるのも嫌だけれども、自分自身に嘘を付くのは良くないし、しんどい。
友達以上の感情がどうしても芽生えてきて、それがぼくの心身をひどく揺さぶってくる。ちょっと前に、統合失調症気味になったのも、無意識下の反応や探求や自己調整、あるいは黄金世界への憧憬かも知れないけど、好きなんだ。眠たい顔も友達と楽しそうにしている時も、何か考え込んでしまっているアンナも。う~ん?好き以上か、これは。
誰にもこんな気持ち知られたくないなぁ。もしも、こんな気持ちがバレたりでもしたら、ぼくは、恥ずかしさのあまり、学校から飛び降りて、死んだほうがましだ。死?こんなにも、死を軽々しく使うぼくはどうかしている……そうだ、そういうときはミジンコになりたい、と、でも言っておこう……SNSで情報を拡散しているスピーカータイプの人達がいるけれども、気持ちが分からない。まあ、流行りの多様性か。けれども、ぼくは、そこまで強くない。
大事なことは、奇を衒うことでも、装おうことでも、カッコウつけることでも、消極性や積極性でもない、等身大のぼくをアンナに伝えることだ……そう、そうだ、そうなんだ!自然体でありのままのぼくを伝えることが、今のぼくにとって、最も重要なことなんだ……ほら、あのハクセキレイだって、木の梢で木葉と遊戯した後に、飛んでいった!このベンチは、ぼくにとっては、大事な時間を与えて、陰で支えてくれたベンチだ!
このベンチとぼくとの関係性は、世界にひとつしかない。
ぼくは世界で1人。アンナも世界で1人。1人と1人から、1つと1つから、どれほどの奇跡と至福がこの世界で実現してきただろう!ぼくは、強くはないけれど、無力ではない……微力だ!この蒲公英だって、この広い宇宙において、一輪しか咲いていない!同じ花の香りをぼくは知らない!大金を出しても、買えない花はあるんだ!!ましてやこの想いやこの夕焼け、公園とは二度と出会えない!!ああ!!!人生!!!!人生を分かち合うことって、なんなんだ!!!!あああこんなにも美しいなんて!!!!!




