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13 甜瓜

 教室の窓から、温かいはずなのに、清冽(せいれつ)された透明な太陽の渦が射し込んでくる。少しざわつく、休み時間。数学のあとは、国語。国語ね。国語の先生は、テストの点数もそうだけれども、(おもむ)きや間合いを教えてくれている気がする。


「それで、サトルくんは何が好きなの?」

「虫歯になってもいいから、チョコレートを毎日食べていたい」

「それ、ある意味病気だよ」

「そうかな?むしろ光栄光栄」

「何それ、もはや、さっきの因数分解を日常生活に取り込むべきだよ」

「うわ、無理無理」

「分かりやすくなるまで、分解して、共通項を見つけているだけのような気もしたからさ」

「え?う~ん……」

「累乗しているのはチョコレート好きすぎるサトルくん。けれども、わたしも、もう少し、過去に(さかのぼ)ったり、まだ気が付いてない無意識のわたしがいたとしたら、少しだけ、サトルくんのチョコレート好きが、わたしのなかにも、確かにあることが分かるんだもの」

「なんか……、分かるような、分からないような」

「あ……、ちょっといい」

「お、はいはい」


 そそくさとナチュラルボブヘアーを揺らしながらアンナが教室から出ていった。出ていった直後、ショウヘイが、座っているサトルに、つっかかってきた。


「ねえ、おまえと菅谷、最近仲良いよな」

「なんだよ、ショウヘイ」

「どうなんだよ?」

「まあ……席が隣だから」

「本当に本当~に、それだけかい!?」

「面倒くさいな、本当にそれだけだよ」

「本当の本当の本当本当~~に、それだけかい!?」


 このやりとりが聞こえた何名かのクラスメイトがいっせいに笑ったり、呆気にとられた。サトルは、その様子を見て、頬を林檎(りんご)のように赤く染めた。サトルは、座っていた席を立ち上がって、ショウヘイに次第に強く言った。


「もしも、それが本当にそうだとして、な・ん・な・ん・だ!人が人と仲良くなって、何が、おかしいんだ!」


 ショウヘイは手を叩きながら笑い、楽しくなって、サトルをさらにあおった。


「ヒューヒュー!ヒューヒュー!!」

「もう、しょうがないな」

 

 サトルは、異様に盛り上がってきたクラスを出て、中庭まで夢中で走っていった。恥ずかしさも多少はあったが、澄んだ空を、ただただ見たくなって、仕方がなかった。空は、絵画のように青藍(せいらん)に染まり、サトルの胸に手を伸ばした。

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