第二部32 デート?!
※ ウィークリイ王国・繁華街、服飾店リウス
マッティオ・マンデイ
服飾店の前で自転車を降りると女の子が出迎えてきた。
「若様、マッティオ様、お待ちしておりました」
そう言いながら、スカートをちょんと持ち上げて頭を下げる。
「やあ、エレナ、ご苦労様。うん、挨拶が上手になったね」
そう言って女の子の頭を撫でるアレックス様。
「えへへぇ~・・・」
エレナと呼ばれた女の子は嬉しそうだ。
う~~ん、ちょっとうらやましいぞ。
「皆様、お待ちです。どうぞ」
エレナがドアを開ける。
「ありがとう、あ、自転車を頼むね」
「はい、かしこまりました」
「おっと、マッティオ!」
アレックス様が振り向く。
「はい?!」
「ここでは、絶対に『ゴリラ』と言ったらダメだからね。フリじゃないよ、
本当の本当にダメだよ」
「は、はい・・・」
意味がわからないが、この念の押しようは・・・、ここは素直に聞いて
いた方がよさそうだ。
そして、僕とアレックス様が店の中に入ると、
「アレックス様、いらっしゃいませ!あ~~ら、あなたがマッティオ様ね。
ほんとにかわいい子ね!」
「わっ!ゴリ・・・むぐぐっ・・・」
女装したゴリラがいた。
危うく『ゴリラ』と言いそうになった僕の口をふさぐアレックス様。
「やあ、リウス店長。今日も決まってるね!」
「あら、お上手ね、ありがとう。用意は出来てるわよ」
(注・お上手ね:『褒めるのが上手ですね』という意味で、褒められた
ときに、やんわりと謙遜するときに使います)
ゴリ・・・、おっさ・・・、オネエさんが示した方には、
「ふっふっふ・・・、待ってたぞ」
「お待ちしておりました」
シャルロッテ様とクラリス嬢がいた。
うむ、出迎えご苦労・・・、じゃね~~よ!
早すぎるよ!!
あのときの様子から、途中で出てくるんじゃないかと思ってたけど、
何で最初の店からなんだよ?!
せっかくのアレックス様とのデートなのに。
せめて出てくるのは後半にしてくれよ!
というか、その両手に持っている服は??
「じゃ、頼むね!」
「「「 ウイ!ムッシュー!! 」」」
アレックス様の言葉に3人が元気に応える。
「え?!ちょ、ちょっと待ってよ!わ~~~~っ!!」
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そして1時間後、僕はさんざん着せ替えをさせられた末に、軽く化粧まで
されてしまった。
「うんうん、いいわ~!この国一番の美少年よ」
リウス店長の言うとおり、姿見の中には、最新ファッションに身を包んだ、
まぎれもない美少年が映っていた。
うん、僕だけどね。
「おお~っ!いいね!よく似合ってるよ」
アレックス様も褒めてくれ・・・、
「えっ・・・?!」
アレックス様の姿に驚き、思わず足のつま先から頭の天辺まで視線で
2往復してしまった。
武闘派の家系だからか、いつもわりと地味目な感じなのに、今は派手な色の
シャツにズボン、装飾品も金のチェーンのネックレスに大きな宝石のついた
カフスにイヤリングと思いっきり派手だ。
まるでチャラ男みたいになっている。
ステキだけど・・・。
「アル様まで、どうしたんです?!」
「いや、せっかくのデートだからね。どうかな?!」
「と、とってもお似合いです!」
うん、いつもと違うのが、またイイ!
っていうか、今、アレックス様、『デート』って言ったよね?!
そ、それって・・・まさか・・・、
「こちらも用意できました」
店員がシャルロッテ様とクラリス嬢を連れてきた。
「どうだ?!似合ってるか?」
「お待たせしました」
この2人もがっつりおめかししていた。
シャルロッテ様は特徴的な上着と帽子のパンツルックで、活動的な彼女に
よく似合っている。
後で聞いたところ、セーラー服というそうだ。
クラリス嬢は薄い青色を基調としたワンピース。
清楚に見えて、こちらもよく似合っている。
もちろん、2人とも高級そうな装飾品を付けている。
「うんうん、2人ともよく似合ってるよ」
満足そうなアレックス様。
「というわけで、マッティオ、今日はWデートということです。
クラリスのエスコートを頼むね」
「は、はい!」
うん、そうだよね。
この2人が出てきたときから、察してたよ。
そうは思いたくなかったけど・・・。
メリンダもいないしね。
まあ、いいや。
アレックス様と一緒というのは同じだ。
まずは楽しむことに集中しよっと。




