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第二部29 見回り

すみません、遅くなりました。

新年初投稿です。


※ ウィークリイ王国・繁華街、路上

   ラザール・サタデイ


『ジェネシス』を出た僕たちは、街中をのんびりとマウンテンバイクで

走っている。


この一帯は、アレックス様が作った孤児院や病院、学校と隣接した地域で

特別区となっている。


王都にあるので、当然王家の管轄なのだが、委託ということで実質的に

アレックス様が管理している。


最初は、孤児院の子供たちが安全に働いたり修行できたりする場所を

捜していたそうだが、そういう店や工房があったとしても、周りの環境が

悪かったり、変な奴らが出入りしている、というのが多かったらしい。


ならば、『そういう場所を作ってしまえばいいじゃん!』ということを経て、

さらに、『皆が安心して生活できる場所にしてしまえ!』となったらしい。


そして、『金と権力は使ってナンボ!!』ということで、王家の許可をもらって

一帯の再開発をやったのだ。


もちろん、地域に利権を持っている貴族や縄張りを持つ地回りやヤクザなどの

抵抗もあったのだが、ホリデイ領軍を使って(名目上は訓練ということだったが)

そういう奴らを叩き出したのだ。


結果、いくつかの貴族の悪事があばかれて処分を受け、10近い組や

違法行為をはたらくグループが潰れたらしい。


金と権力ばかりか武力まで持ってるんだから、もうこれ無敵じゃん!


そんな力があったら、普通は自分のために使うはずだが、アレックス様は

こうやって他の者たちのために使うのだ。


それを指摘しても、当人は『自分のために使ってるよ』と言うばかりなのだが・・・。


というわけで、僕たちは特別区の様子を確認するためと、このマウンテン

バイクや姉さんのファッションを見せびらかして宣伝するために地域を

一周している。


うん、こんなに明るい街並みは他にないだろう。


きちんと区画整理されて、狭くて暗く怪しい路地なんてないし、浮浪者や

孤児の姿もない。


もちろん、ヤクザやならず者っぽい者も・・・。


「やかましい!」

げしっ!

どこっ!

「・・・、うわあああ~~~~ん・・・」


いたよ!

あの野郎、子供を蹴飛ばしやがった!!


次の瞬間、僕の肩を掴んでいた手が、一瞬強く握られたかと思うと離され、

マウンテンバイクが軽くなった。


後ろに乗っていた姉さんが飛び降りたのだ。

「あなたっ、大丈夫?!怪我はっ?!」

そして、泣いている男の子の所へ駆けつける。


「うわああ~ん!わかおくさま~っ!」

子供は泣きながら姉さんにしがみついた。


姉さんを『若奥様』と呼んだということは、この子も孤児院の子だろう。


子供を蹴った男の方を見れば、薄汚れた服にレザーアーマー、そして

腰の左側にロングソードを下げた2人組だ。


間違いなくうだつ(・・・)の上がらない冒険者だろう。


「お前たち!なぜこんなことをした??」

マウンテンバイクから降りて僕は、若造だと舐められないように、いかにも

自分が高貴な貴族だという感じで、威圧的に男たちに話しかけた。


「うっ・・・」

「えっ・・・」

男たちは、驚いた反応を見せた後、僕と姉さんを交互に見るだけで、言葉が

出てこない。


うん、うまくひるませることができたみたいだ。

若いとはいえ、上位貴族らしい者に話かけられたのだ。

下手な対応が出来るはずがない。


逆上して、いきなり襲い掛かられたりされなくてよかった。

まあ、そうなったら、こちらもそれなりの対応はさせてもらうけど・・・。


「なぜ、この子を蹴ったのか?!と聞いているんだ!答えろ!!」

「そ、それは・・・、その・・・」

しどろもどろの男たち。


そこに、

「勝手にリンゴを取って食べたんだ!」

姉さんになだめられて泣き止んだ男の子が発言した。

「僕が、お金を払ってって言ったら・・・」


「そうなの?!」

姉さんが立ち上がり、男たちに詰め寄る。


「あ、後で払うつもりだったんだ!」

男が苦しい言い訳をするが、

「蹴る必要があるの?!」

さらに詰め寄る姉さん。


「言い方にムカついたんだよ!」

「じゃあ私も、あなたたちにムカついているから、蹴ってもいいのね?!」

「は・・・?!」

思わぬことを言われた男たちは一瞬ためらったが、

「ああ、どうぞ。お嬢さんがそうしたいのなら」

と半分からかうように言う。


あ~あ・・・、やっちまったな。

姉さんをなめすぎだ・・・。


僕が、そう思った瞬間、


どこっ!

「ぐふっ!!」


ズザッ

ごろごろごろっ・・・・

がんっ!

「ごほへぇ~~っ!」


男は姉さんに蹴られて、5mほどすっ飛んだ後、転がって建物の壁にぶつかった。


「えっ?!!」

その様子を見ていた、もう1人の男も驚いた顔になった瞬間、

ずごっ!

「ぎゃほおぉ~~っ!」


同じ目に遭った。


ただでさえ魔法適正が高い姉さんが、達人とも言えるアレックス様から

直々に習った格闘術と身体強化だ。


ガードもせずに蹴られたら、そうなるよね。


「店主!呼び出しの笛を吹いて!」

こちらを振り向いた姉さんが言う。


何かあったときに詰め所にいる警備員を呼び出すための合図の笛で、この地域の

店全てに備え付けられている。


今ので冒険者たちは充分に報いを受けたと思うが、今後も、こういうバカが

でないようにするために、警備員や冒険者ギルドから注意をしてもらって

おくべきだろう。


そして僕たちは、やってきた警備員に後をまかせて、蹴られた子供を病院に

送ってから、学園に戻ったのであった。

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