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08 マンデイ侯爵家

ガラガラガラ・・・


魔物を討伐して、再び王都への道を走る馬車。


「ほんとうに快適ですわね」

「ほんと、アレックス様は、すごいです」


どこかで聞いたようなことを前に座る2人が言う。


1人はソフィア・マンデイ侯爵夫人、もう1人は次男のマッティオ・

マンデイだ。


彼女たちも俺たちと同じように社交界デビューのため王都に

向かっていたところ、オークに襲われたということだ。


幸いなことに、うちの馬車のサスペンションの整備のために

職人を連れてきていたので、あちらの馬車の修理はすぐにできた。


ただ、せっかく出会ったので次の街まで話でもしようということに

なり、こちらの馬車に乗ってもらったのだ。


親交を深めるのも貴族の大事な仕事である。

まして、相手は侯爵家だ。

仲良くなって損はない。


・・・というか、マッティオ・マンデイって隠し攻略キャラじゃん!!


最初は目だたないが学園に入った後で、強力な闇魔法の使い手として

覚醒するキャラだ。


通常の攻略キャラさえ、まだ誰とも会ってないんだよ。

何でこんなところでレアキャラと出会ってんの?!


こんな出会いのイベント、覚えがないんだけど・・・。


もしかして、俺がいろいろやったことが影響して別のフラグが

たっちゃった?!


ある出来事が巡り巡って他の出来事に影響を与えてしまうという、

『バタフライ効果』とか『風が吹けば桶屋おけやが儲かる』とか

言われるやつだ。


ということは、これからも知らないイベントが起きたり、逆に

知ってるイベントが起きなかったりする可能性があるな。


気を付けよう・・・。


「・・・ア・・・ス様・・・」

「・・・レッ・・・さま・・・」


「お兄ちゃん!!」

「えっ!!」

メリンダに呼ばれてビクッとしてしまった・・・。


「ソフィア様たちがさっきから話しかけていらっしゃるのに、

何ボ~ッとしてるの?!」

「あ、失礼しました。考え事をしておりました・・・」


ソフィア様たちに頭を下げて謝る。


「いえいえ、ホリデイの改革者と言われるアレックス様ですもの、

いろいろと考えることがおありなのでしょう」


「え?!」

何?!その呼び名!

俺は予想をしてなかったことを言われたため、思わずメリンダと

母上を見る。


2人は、うんうんと納得してるかのようにうなづいていた。


え~~~っ?!2人とも知ってたの?!!


「それで、お願いがあるのですが・・・」

ソフィア様が話を続ける。

「うちの馬車にも、このサスペンションというものを取り付けて

いただけないでしょうか?!」


うん、やっぱり揺れがひどいのは辛いよね・・・

だが、とりあえず断る!

「すみませんが、お譲りするわけには・・・」


「報酬でしたら充分にお支払いしますわ」

ソフィア様が乗り出してきた。

近いよ、手を握るんじゃない。


「そっ、そういう意味ではなくてまだ耐久性のテスト中なのです」

人妻の色気にあてられながらも冷静に説明する。


俺、熟女属性なんか持ってないからね。


「今回の王都までの往復の後に部品の摩耗まもうや痛み具合のデータを

とって改良点を探す予定なので、まだ商品化は無理なのです。

馬車職人が同道していたのもそのためでして・・・」


「す、すばらしいです!」

横からマッティオが叫ぶ。

「そこまでお考えだったとは・・・。さすがです!」


何?!そのキラキラ目は。

つか、お前まで手を握ってくるんじゃない!


「大丈夫です、もし破損してもこちらの責任ということにします。

予備の部品はあるのでしょう?!」

ソフィア様も圧力を強めてくる。


母上、メリンダ、助けて・・・あ、こいつら目をそらした。


お~~~~~い・・・


ということで、マンデイ侯爵家の馬車にサスペンションを

取り付けることになりました。

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