第二部28 姉と弟 その4
※ ウィークリイ王国・繁華街、レストラン「ジェネシス」個室内
ラザール・サタデイ
食事も済み、デザートも食べて、今は食後のお茶を飲んでいる。
ちなみに、僕は『お手軽フルコースセット』、姉さんは『ヘルシー
レディースセット』というメニューを選んだ。
「知らない料理が多かったけど、どれもおいしかった・・・。しかも、
値段は手頃だし、評判になるのも当然だね」
まあ今回、僕たちは優待カードがあるので無料なんだけど。
「メニューに載ってる料理のほとんどは、アル様が考案されたものよ」
「えっ?!アレックス様、料理も出来るの?!!」
「『身体作りのために栄養バランスが大事なので食事も研究した』と
いうことよ」
あ、そういうことか・・・。
アレックス様は、知的で性格も穏やかなので忘れがちだけど、1年生のときに
学園内の武闘大会で優勝するほどの、武闘派でもあるんだった。
まさか、そういう面からも、強さを追求してるとは・・・。
ただ、『肉食って訓練すれば強くなる』とか言ってる奴とは大違いだ。
「それで、メニューに“パワー系がっつりセット”なんてのもあるんだね」
「そそっ、肉体労働の職人さんや軍人さんたちに人気らしいわよ。
彼らが来るのは夕方以降だけどね。昼間はお酒を出してないから」
なるほど、昼と夜とで客層を変えているのか。
「それで、これはあくまでも念のための質問なんだけど・・・」
「なぁに??」
「姉さん、本当にアレックス様の妻の座を狙ってたりしないんだよね?!」
「当たり前でしょ!!!」
姉さんは、すごい勢いで食い気味に思いっきり否定してきた。
「シャル様の邪魔なんて出来るわけないじゃない?!!」
「まあ、そうだよね」
うん、やっぱりアレックス様と結婚なんてないよね。
ちょっとほっとした僕だったが、
「まあ、側室ならアリだけど」
「ぶっ!」
思わぬ答えにお茶を吹き出した。
「何やってるのよ・・・はい、ナプキン」
「あ、ありがとう・・・」
僕は、ナプキンでテーブルを拭きながら言う。
「ね、姉さん、サタデイ家のことだったらいいんだよ。それより
姉さんの幸せを大事にしてほしいんだけど・・・」
そして、僕の幸せも、とはさすがに言えないが・・・。
「何言ってるの?!私の幸せのためにきまってるでしょ。それがついでに
サタデイ家のためにもなるというだけよ」
真っすぐな瞳で言う姉さん。
ああ、そうだよね、こういう人だったよね・・・。
「しかも、学園を卒業してもシャル様と一緒にいられるのよ」
そっちか~~~い??!!!
僕は心の中で思いっきりツッコミを入れながら、
(『アレックス様を愛してる』とかいうんじゃないなら、まだ僕にも
チャンスは残ってるよな・・・?!)
と思うのであった。
今年の投稿はこれで終了です。
来年も、よろしく~!
皆様、よいお年を!




