第二部25 姉と弟
※ ウィークリイ王国・王立学園、校庭
ラザール・サタデイ
戦闘で荒れた校庭の修復作業が終わった。
もう夕方か。
日が落ちる前に終わってよかった。
「兄ちゃん、お疲れさん!」
現場の親方が、ねぎらいの言葉をかけてきた。
「いや~、さすがに貴族様の魔法は、平民とはレベルが違うな~。
明日までかかると思ってたんだが、1日で終わるとはな、ありがとうな」
「いえいえ、お世話になりました」
「おう、また機会があったら手伝ってくれ。じゃあな!」
「はい、お疲れさまでした」
それにしても、我ながら、よく働いた!
さすがに姉さんには敵わなかったけれね。
と言うか、その姉さんは、何処に行ったんだ??
そう思って周りを見回すと、夕暮れの光の中を姉のクラリスがこっちに
向かって走ってくるのが見えた。
揺れる金髪が夕日に透け、幻想的で一枚の絵のようでとても綺麗だ。
って、どこのヒロインだよ?!お前は!
などと、心の中でアホなツッコミをしてる間に、姉さんは目の前に来ていた。
「姉さん!どこ行ってたの??」
「ごめんなさい、ラザール!ちょっとサロンに行ってたの」
姉が息を切らせながら答える。
「サロン?!アル様なら、さっき来てたじゃん」
「シャル様に用事があったのよ」
「シャルロッテ様に?!」
「そそ、それでね・・・」
言いにくそうな姉さん。
ん?!これは、まさか、アレか?!!
「ラザール、ちょっとお願いがあるのよ・・・」
姉さんが軽くうつむいて、上目遣いで僕の顔を見てきた。
何かおねだりをするときのパターンだ!
ということは・・・。
「昨日と今日の報酬、あなたの分も使わせてもらえないかしら?!」
やっぱりそうか~~い!
まあ、いいけどさ。
それで何が欲しいんだ・・・??
※ ウィークリイ王国・繁華街、路上
ラザール・サタデイ
「ひゃっほ~~~~い!!」
「きゃ~~~っ!!」
前輪を持ち上げて小ジャンプして段差を乗り越えると、後ろに立ち乗り
している姉のクラリスが楽しそうな叫び声を上げた。
あれから一週間後、僕は、マウンテンバイクに乗って街中を疾走していた。
そう、姉が欲しいと言ってきたのは、このマウンテンバイクだ。
アル様やホリデイ領軍の兵士が乗ってるのを見て、興味を持ち、
『何これ?!めっちゃ便利じゃん!』となったらしい。
それで、アル様に聞いたところ、『自転車の権利は全てシャルにプレゼント
して生産も販売も彼女に任せている』と言われたそうだ。
そこでシャルロッテ様に頼んだところ、、最新の素材と技術が使われて
いるので、量産化はまだ無理だそうで価格も今回の僕と姉さんの報酬を
合わせたぐらいじゃ全然足りなかった。
それでも、お友達価格&量産化に向けてのモニターをする(週に1度、
使用記録を提出する)ということで、譲っていただいたとのことだ。
なので、僕も使った場合は使用記録を出さなくてはならない。
まあ、この便利さに比べたら、そのぐらい何でもないけどね。
すれ違う人たちは、皆、驚きの表情を浮かべている。
こんな乗り物を知ってる人はいないはずだからね。
「ほら!そのお店よ!」
姉さんが僕の後ろから腕を伸ばして、一見のレストランを指さす。
ジェネシス
コリンズ商会経営の人気店、というかアル様の店だ。
今回の報酬でマウンテンバイクを買ったことを言ったら、『ラザール君と
行っておいで』と言われて、優待カードをもらったということだ。
ほんと、何ていい奴なんだ。
でも、姉さんは渡さないけどね。




