第二部16 異変?!
※ ウィークリイ王国・王立学園、校庭
クラリス・サタデイ
「いろいろと面倒かけて、ごめんね」
アレックス様が言う。
「大丈夫です。特別ボーナス、期待してますよ。うふふふ・・・」
私は、わざと周りに聞こえるように言う。
私とアレックス様の仲を疑われないようにするためである。
男爵家なんていう家格の低い家柄の者のくせにAクラスになった場合、
家格の高い貴族から妬みや嫉みを買うことがままある。
だが私は、アレックス様をはじめ侯爵家のシャルロッテ様や
公爵家のフランチェスカ様に仲良くしていただいたおかげで
イジメなどにあわなくて済んだ。
アレックス様とシャルロッテ様は婚約しており、他の者が間に
入り込む隙間なんてないほどラブラブだ。
だが、それでも変な噂をたてる者がいるのである。
私は、アレックス様とシャルロッテ様の仲を邪魔することは絶対に
したくない。
なので、あくまでもアレックス様との関係は、雇用と被雇用、
つまりお金での繋がりだと強調したのである。
「うん、ラザールにも言ったけど、ボーナス期待してくれていいよ」
「わあ!ありがとうございます」
ホリデイ辺境伯家では、普通の報酬の他にもらえる特別な報酬を
ボーナスと呼んでいる。
異国の言葉らしいが、なぜかしっくりくるのでサタデイ男爵家でも
使うようになってしまった。
「じゃ、これ、頼むね」
「はいっ!!」
アレックス様から校庭をマッピングした紙を受け取る。
では、ボーナス目指してがんばりますか!
※ ウィークリイ王国・王立学園、校庭
マッティオ・マンデイ
今日は、闇魔法の隠形を使って校庭の隅でアレックスお兄様を
観察している。
ふっふっふ~、今日も素敵ですよ~。
あのクラリスとかいう娘が邪魔だけど。
彼女、男爵家なのにAクラスに入れるほど有能で、お兄様に気に
入られて、よく一緒にいるんだよね。
僕だって有能さでは負けてないつもりだが、1学年の違いは大きい。
あと1年早く生まれていたら、あそこには僕がいたはずなのに・・・。
それにしても、お兄様と別れた後、校庭にしゃがみこんで何を
やってるんだ??
よく見れば、離れた場所で彼女の弟のラザールとかいう奴も同じ態勢を
とっている。
紙を渡されていたし、植物採取でもしてるんだろうか??!
護衛の兵士たちの様子もおかしい。
何人かの兵士がクロスボウを装備しているのだ。
さらに変なのがライアンだ。
剣術の訓練のときの防具を着て、校舎の陰に隠れているのだ。
誰かを待ち伏せして闇討ち・・・とかじゃないよね?!
彼の性格からして、そんな卑怯なことはするはずがない。
お兄様も、いつもなら東屋の中でマルグリッド王女のお茶の相手を
してるのに、今日は立ったままだ。
いったい何が起ころうとしてるんだ??!!




