第二部15 嵐の前の・・・
※ ウィークリイ王国・王都内某所
ルクスタイン王国諜報部所属カート・ウィリアムス
「いったい何で、こんなことになったんだ?!」
俺は頭を抱えた。
最初の襲撃であっさり片が付くはずだった。
それを失敗したばかりか、慎重を期した2度目の襲撃の準備段階で
ここまでつまずいてしまうとは・・・。
「まさか、ウィークリイ王国で最強と言われるホリデイ辺境伯軍が
警備にあたるとは思っていませんでしたからねえ・・・しかも数十人単位で・・・」
部下が同情するように言うが、何のなぐさめにもなってない。
「何とか、その警備の隙をつけないのか?!」
「そう思ってホリデイ領軍の兵士に変装させたんですが・・・」
「どうなった?」
「奴ら全員、顔見知りのようで、あっさり偽者だと見抜かれました」
俺は再び頭を抱える。
すでに10人も捕まっている。
このままでは、ジリ貧だ。
・・・・・・
覚悟を決めるしかないか・・・。
もう暗殺なんていう状況じゃない。
相手は軍をだしてきているんだ。
よろしい、ならば戦争だ!!
※ ウィークリイ王国・王立学園、中庭・東屋
アレックス・ホリデイ
「う~~ん・・・、あきらめたのか、それとも・・・」
「え?!どうなさいました??」
マルグリッド王女が小首をかしげながら聞いてきた。
「あ、いえ、すみません、つい独り言を・・・」
つい、考えが口に出てしまった。
考え事をしてると、いつのまにかやっちゃうんだよな・・・。
この癖、治さないといけないな。
ここ一週間ほど、ルクスタイン王国の手の者と思われる者を1人も
捕まえてないのだ。
もちろん、来客はあるのだが、その全てが問題なかった。
マルグリッド王女の暗殺をあきらめてくれたのならいいのだが・・・。
なんて考えていると、
「アレックス様、お友達がご用があるそうです」
護衛の1人が言ってきた。
彼の示す方を見ると、クラリスの弟のラザールがいた。
俺は、ラザールの側に行き、
「やあラザール、お姉さんをこき使ってごめんね」
と言う。
元々、孤児院や病院、コリンズ商会のこと等、クラリスに手伝って貰って
いたが、最近、俺がマルグリッド王女の護衛で学園の外に出られないので
さらに彼女に頼むことが多くなっているのだ。
なので、クラリスに会う時間が少なくなっているだろうから、恨まれて
ないかと少し心配になっていたのだ。
こいつ、重度のシスコンだからな。
(お前が言うな!!>陰のツッコミ)
「あ、いえ、ちゃんと報酬はいただいていますし、姉も将来のための
勉強になると申しておりますから・・・」
ラザールは、周りを見回した後、顔を寄せてきて、
「実は、気になることがありまして・・・」
小さな声で言う。
「ふむ・・・、詳しく聞こうか」
少し離れた場所に移動し、ラザールの話を聞く。
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「なるほど・・・、在りうるな。さすがサタデイ家だ!」
「い、いえ、それほどでも」
「いや、お手柄かもしれないよ。そのときは、ボーナスをはずむね」
「あ、ありがとうございます。では、失礼します」
「うん、ありがとね」
俺は、嬉しそうに去って行くラザールを手を振って見送る。
その夜、俺は領軍の指揮官を呼び、作戦会議をするのであった。




