第二部09 占いババア
所用で、しばらく更新をお休みします。
再開は未定です。
ではまたねっ!
※ ウィークリイ王国・王立学園
ライアン・チューズデイ
外出許可をもらった俺は、学園の門をくぐり外に出る。
今日はフラン様とデートである。
ウキウキ気分で待ち合わせ場所へ向かう。
え?!俺も学園に入学したんだから、2人で一緒に出ればいい?!
わかってないなぁ・・・。
待ち合わせをして、
「すみません、お待たせしました」
「遅いわ!私を待たせるなんて何を考えているの?!」
「申し訳ありません」
「本当にクズね!今日は私を楽しませないと承知しないわよ!」
というやりとりをするのがいいんじゃないか。
もちろん、俺は約束の時間に遅れたりしないぞ。
このやりとりをするためにフラン様は、ちゃんと時間前に待ち合わせ場所に
行ってくれているのだ。
(注:特殊な趣味のバカップルですので、参考にしてはいけません)
「もし、そこの筋肉バ・・・じゃない、たくましい坊ちゃん、
占いをやっていかんかね?!」
ローブを着てフードで顔が陰になった怪しいバアさんに呼び止められた。
ババアの前の台の上には水晶玉が置いてある。
水晶玉占いか・・・。
街中ではたまに見かけるが、なんでこんな場所でやってるんだ?!
というか、お前、今、『筋肉バカ』と言いかけなかったか?!
まあいい、今は気分がいいから許してやろう。
第一、年寄りをぶっ飛ばすわけにもいかないからな。
「悪いが急いでるんだ、じゃあな!」
そう言って、その場を立ち去ろうとしたが、
「そんなことじゃ、今日のデートは失敗だね!」
ババアの言葉に足が止まった。
「え?!な、何で、デートだと・・・?!」
「ふぇっふぇっふぇっ・・・、わしにわからんことなぞないわ」
水晶球に両手をかざしながら言うババア。
「おや!お相手は、相当、身分が高いところのお嬢様みたいだね。
デートコースは決まっているのかい?」
「ああ、イルフォード通りを散歩した後、レストラン・レインハムで
食事をして、ブロムリー劇場で観劇をする予定だが・・・」
本当は、もっと長く一緒にいたいが学園の門限があるから、今日は
これぐらいしか出来ない。
まあ、長期休暇に期待だな。
「ダメじゃ!ダメじゃ!そのパターンは4か月前にやったじゃろ?!」
「え~~~~っ??!!なっ、何で知ってるんだぁ~っ??!!」
思わぬダメ出しが飛んできた。
「わしにわからぬものなどないと言ったじゃろ。まあ、劇の方は
演目が変わっておるからいいとして、行くのはフィーンズ通りじゃ。
そして食事はここじゃ」
ババアはそう言って、何かを差し出した。
それは、5cm×10cmほどの四角い銀色の金属製の板だった。
受け取ってよく見ると『ジェネシス』と刻印されていた。
「んっ・・・?!ジェネシスってフィーンズ通りに最近出来たという
レストランか?!大人気で予約もなかなかとれなくて大行列が
出来るという・・・」
「そうじゃ。じゃが、その優待パスがあれば、優先的に入店できるぞい。
さらに、特別なサービス付きじゃ」
自慢げに言うババア。
フードで顔はよく見えないが、間違いなくドヤ顔だ。
「いや、何でそんなもん、あんたが持ってるんだ?しかもなぜ俺に
譲ってくれる??」
「ふぇっふぇっふぇっ・・・、わしぐらいになると、いろいろあるんじゃよ。
それより、さっさと行かんと、待ち合わせに遅れるぞい」
「あっ!」
遅れるのはあくまでも建前で、本当に遅れるわけにはいかない。
「またなっ!ババア」
「こりゃっ!ババアとは何じゃ?!!」
バアアの声を背に、おれは待ち合わせ場所に向けて走り出した。
※ ウィークリイ王国・王立学園近くの路上
アレックス・ホリデイ
「リリー、ご苦労様。なかなかの名演技だったよ」
走り去ったライアンの姿が見えなくなったところで、俺は一緒に隠れていた
メリンダ、シャルロッテとともに物陰から出て占いのバアさんに声をかける。
「もう、こんなことはこれっきりですよ」
占いのバアさん改め従者メイドのリリーが、フードをはずして、その
膨れっ面を見せながら言う。
「嘘でも、『ババア』と呼ばれるのは乙女心に地味に効くんですからね」
「え~~~っ?!シリーズ化するつもりなのに?!!『謎の幸せの
占いバアさん』って、ちょっとよくない?!」
そう、今回のことは俺の仕込みだ。
フィーンズ通りのジェネシスという店も俺がオーナーである。
「よくありませ~~~~ん!!」
ぷいっと横を向きながら言うリリー。
うん、ちょっとかわいいぞ、メリンダほどじゃないが。
「そうですよ、お兄様」
そのメリンダが間に入ってきた。
「ほんとに、何をやってるんですか・・・」
「そうだぞ」
シャルロッテまできた。
「かっこいい優待パスを作りたいと言うから、協力したのに
こういう使い方だったとは・・・」
さっきの金属製の優待パスは、シャルロッテのお手製である。
偽造防止と高級感をだすために頼んだのだ。
まあ、一流の金属加工の腕を持つ彼女にとっては、簡単なことだが。
「いいじゃん、善意なんだから」
「いや、単に面白がっているだけだろ?!」
「シャル姉様の言うとおりですわ」
う~~ん、まずいな。こういう状況で『フランとライアンを見物に行く』
なんて言ったら、絶対、怒られるな・・・。
「まあまあ、それより、俺たちもデートに行こうよ。せっかく外出許可を
もらったんだしさ」
仕方がない、2人をこっそり見守るプランAはあきらめて、プランBだ。
「そうですわね、シャル姉様、どうなさいます?」
「まあ、いいか。でも、ジェネシスには行かないぞ」
「も、もちろんだよ・・・。じゃ、行こうか」
偶然を装ってジェネシスでフランたちに会うプランBも見抜かれたか・・・。
仕方ない、今回は店員たちからの報告だけで我慢しよう。
俺たちは連れだって、待機させてある馬車の方に歩いていくのであった。




