第二部08 第2王子
※ ウィークリイ王国・王立学園
ジルベスター・サンデイ
私、ジルベスター・サンデイは、この国の第2王子である。
この第2王子という立場がわりと面倒なのだ。
基本的に、王太子である兄上に何かあったときのスペアの役目だ。
兄上が王位に就き、跡継ぎが生まれてそれなりの年齢になればお役御免だが
そうなるには、少なくとも10年以上かかる。
その間に兄上に何かあれば、私が王位に就くことになる。
そうならないのが一番だが、世の中、何があるかわからない。
最悪を想定して動くのが賢い為政者の条件だ。
だから、城内の一部の区画などの安全が確保された場所以外では、
兄上と一緒にならないようにしている。
事故や暗殺などで、2人まとめて死んだ、なんてことがないようにだ。
正直、何事もなくすんなりと兄上が王位に就いてほしい。
私は、あくまでもスペアで十分だ。
だが、そのスペアという役目を利用しようとする者がでてくる場合がある。
兄上を指示する者たちの反対勢力や対立国家などだ。
そういう者たちに操られ、王位を簒奪した者、しようとして
失敗した者、さらには、そういうつもりはないのに、あらぬ疑いを
かけられ反逆者として処分された者などいる。
とりあえず自分は、そういった者になるつもりはないし、なりたくない。
だが、私まで兄上を指示する勢力につけば、そちらの力が大きくなりすぎ、
国内の貴族間の勢力のバランスが崩れる。
本当に政治とは難しい。
というわけで、組むというか親しくなるのは中立派だ。
都合のいいことに、その中立派の筆頭とも言えるホリデイ辺境伯家の
嫡男であるアレックスが同級生だった。
ホリデイ辺境伯家は、強力な武力を持つため、反乱を疑われないように
政治からは一歩引く立場なのだ。
しかもアレックスは、フライデイ侯爵家のシャルロッテと婚約している。
ドワーフの総元締めであるフライデイ侯爵家は、わが国がドワーフの人権を
尊重する主義の象徴として侯爵家の地位を与えられている。
なので侯爵家と言っても名誉職みたいなものなのでフライデイ家も
基本、政治的には中立だ。
ただ、フライデイ家を敵に回すということは、国中の木工・金属加工業の
職人たちを敵に回すということに等しい。
絶対に怒らせてはならない。
しかも最近わが国では、石鹸や馬車のサスペンションなど、新技術を
使った製品が広まり生活が豊かになっている。
アレックスが開発し、ドワーフの協力のもと商品化されたものだ。
そのため、この両家の立場はさらに強くなっている。
おまけに、アレックスとシャルロッテはサーズデイ公爵家のフランチェスカとも
仲がいい。
サーズデイ公爵家もフライデイ侯爵家とドワーフのようにエルフを
束ねる立場で中立派だ。
つまりアレックスと仲良くすれば、自動的にフライデイ侯爵家と
サーズデイ公爵家とも、つまり3大中立家全部と繋がりができるという、
お得なバリューセットだ!
んっ・・・?!バリューセットって何だ??
・・・、まあ、いいか・・・。
そこで、この1年間、アレックスと仲良くしようとしてきた。
だが、本来なら王家と縁ができることを望むものなのに、彼は私と
必要以上に親しくなろうとしなかった。
普通なら、王家と繋がりを持ちたいはずだが、彼にはそういう下心が
まったく無いのだ。
というか、こっちが下心があったんだが(笑)
だが、もうそれもどうでもよくなってきた。
普通に彼らとの付き合いが楽しいからね。
さすがに1年も近くにいれば、それなりに仲良くなれたし・・・。
護衛のマークスは、彼に対していろいろと不満があるようだが、ささいなことだ。
というわけでアレックス、これからもよろしく!




