第二部05 入学式 その3
※ ウィークリイ王国・王立学園
アレックス・ホリデイ
いきなりの出会いに、どういう対応をしたらいいか考えていると、
カ~~ン
入学式開始の予鈴が鳴った。
「おっと、入学式が始まっちゃうよ、ルーシー」
「あら、遅刻はいけないわね、ルーカス」
「「 じゃ、またねっ! 」」
ウェンズデイ姉弟は、仲良く手をつないで、入学式の会場である講堂に
入って行った。
女体化までは予想していたが、分裂までしていたとは・・・。
いや、実際は女体化も分裂もしていない。
原作の『たそこい』を知ってる俺の主観だと、そう思えるだけで、
彼らにしてみれば、普通に男女の双子として生まれただけだ。
勘違いするんじゃないぞ!アレックス!
俺は自分に言い聞かせる。
たまにゲーム脳がでてきて、『始末しちゃえばいいじゃん』とか
過激なことを囁いてくるのだ。
元はゲームだったのか、それとも逆にこの世界がゲームの元だったのか
わからないが、今は俺たちも彼らも、ちゃんと生きてるんだ。
俺たちに幸せになる権利があるように、彼らにもある。
その権利は、不当に奪われてはいけない。
「お兄様、どうなされましたの?」
胸元からメリンダの声がした。
俺は、無意識でメリンダを抱きしめ、頭を撫でていた。
「あっ・・・と、ごめん」
あわててメリンダを開放する。
「いえ、いいのですが、私も会場に行かないと・・・」
恥ずかしそうに上目づかいで言うメリンダ。
うん、間違いなく世界一かわいい!
もう一度、抱きしめたいが、遅刻させるわけにはいかない。
「そうだね、俺も父兄席に行くよ」
「はい、では、行ってきます」
メリンダは小走りで講堂の入り口まで行くと、振り返って軽く手を振り、
中に入って行った。
手を振り返す俺を、呆れた顔で見ている従者メイド2人。
うん、こいつらのボーナスの査定、下げてやろうかな・・・。
そんなことを思いながら俺は、メリンダが入った入り口とは別の
父兄用の入り口から講堂に入るのであった。
そして入学式だが、まあ入学式なんて、どこも同じようなもんだろう。
学長の式辞や来賓の挨拶、学園内における主な規則と罰則の説明、
生徒会長の祝辞と新入生代表の答辞、国家斉唱などである。
学長の式辞は無駄に長くて退屈だったり、来賓が挨拶でウケようとして
ギャグを言ってスベったりとかもお約束である。
生徒会長は、もちろんジルベスター王子だ。
普通は、2年生の中期から3年生の中期まで1年間の任期なのだが
王族である彼は、1年の中期から3年生の中期まで2年間
務めることになっている。
そして新入生代表は・・・マンデイ侯爵家のマッティオか~~い!!
彼はメリンダと結婚したいと言っている。
そのために、いろいろと頑張っていると聞いていたが主席入学とは
たいしたものである。
まあ、メリンダの方は、普通の友達ぐらいにしか思っていないようだが。
俺としては、能力も家柄も申し分ないので、あとは『たそこい』原作の
ように闇堕ちしなければ認めてもいいかな・・・とは思っている。
まあ、これからの彼の学園生活を見てからかな?!
最終的には、メリンダ次第だが。
というわけで、特に何事もなく入学式は終了したのであった。




