第二部01 1年後
更新再開です。
またしばらくお付き合い願います。
※ ウィークリイ王国・王都、王立学園
アレックス・ホリデイ
カラ~~ン♪コロ~~ン♪
午前中の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
俺は、皆が退室する中、教室に残って考え事をしていた。
ふっふっふ・・・、俺はついにやったのだ!!
この1年で身長も180cm近くになり、ついにシャルロッテを
追い抜いたのだ!
まあ、1cmだけだけどね・・・。
しかし、一人の人間にとっては小さな1cmだが、俺にとっては
偉大な1cmだ!
って、何を言ってるんだ?!俺は剛腕船長か?!
月にでも行くつもりか?!
というか、シャルロッテも普通に伸びてるんじゃね~~よ!
追い付けないんじゃないかと不安になったわ!!
お前はスーパーモデルにでもなるつもりなのか?!
美人で家柄もスタイルも、さらに性格までいいなんて、お前は完璧超人か?!
しかも俺の婚約者だぞ!
こんなことがあってもいいのか?!
すっごく嬉しいじゃないか!!
「いや、社交は苦手だぞ」
「・・・え??!!・・・」
「だから社交は苦手だから完璧じゃないぞ」
「シャ、シャルさん、何を・・・?!」
いつの間にか側にいたシャルロッテに驚いて、おもわず『さん』付け
してしまう俺。
「うふふ・・・、アル様は、考え事をしているとき、思ってることが
よく口に出ていますから」
「クラリスもいたんかい?!」
この1年で、こちらがクラリスを呼ぶときの『嬢』はとれたが、
あちらからの『様』は取れなかった。
代わりに愛称呼びになったが・・・。
まあ、このへんが身分の違いと親しさの妥協点だろう。
それはともかく、考えが口に出ていて、それを聞かれてたと?!
「ど、どこから聞いてたのかな??」
「『月にでも行くつもりか?!』ぐらいからですかね?!
アル様、月に行く予定がおありなのですか?」
いや、そんな予定あるはずないだろ?!
ア〇ロ11号なんて作れるはずないだろ?!!
ア〇ロチョコなら、そのうち作るかもしれないけど。
おいしいロケット~♪ ア〇ロっ♪
・・・って、ほぼ最初から聞かれてたんかい?!!
「ううっ・・・」
がくっ・・・
俺は力なく机に突っ伏した。
「アレックスは、恥ずか死したのであった。
第2部完
今までありがとうございました。次回作をご期待ください」
・
・
・
「何、バカなことを言ってるんだ?!ほれ、元気を出せ!」
ぐいっ
むぎゅっ!
シャルロッテは、机に突っ伏した俺を引き起こし、その豊かな2つの胸で
俺の顔を挟み込んだ。
「ほれほれほれっ・・・」
むぎゅむぎゅぎゅぎゅぎゅっ!
俺は、10秒ほど、むぎゅむぎゅされたあと開放された。
「ほらっ!元気がでたか?!」
明るく聞くシャルロッテ。
「う、うん、でたよ・・・」
元気がでました・・・特に下半身の一部が・・・。
「そうか、よかった!じゃ、食堂に行くぞ!」
シャルロッテに手を引っ張られる俺。
俺は、あわててもう片方の手をズボンのポケットに入れ、元気な部分を
ごまかしながら食堂に向かうのであった。
食堂で昼食をとる俺たち。
「ところで、なぜジルベスター様が一緒にいらっしゃるのでしょうか?」
そう、俺たちのテーブルには、第二王子もいた。
この1年で彼とも親しくなって、お互いに名前呼び(もちろんあちらは
呼び捨てで、こちらは『様』付け)するほどになったのはいいが、
しょちゅう俺の側にいるのだ。
「だって、君の側にいるのが一番安全だろ?!1年生で武闘大会に優勝した
校内最強の男なんだから、なにより『王国の盾』ホリデイ家の嫡男だし」
そう、俺は武闘大会で並みいる上級生たちをなぎ倒し優勝した。
まあ、これはホリデイ家の伝統みたいなもので、父や祖父も成し遂げている。
「それはもちろん、何かあったら、この身に代えてでもお守りしますが
ジルベスター様にはマークス殿がいるではありませんか?!」
そう、王子には常に従者兼護衛のマークスが付いているのだ。
「アレックス殿、それは私に対する当てつけでしょうか?!」
王子の斜め後方に控えていたマークスが機嫌の悪さを隠そうともせずに言う。
俺としては、そんなつもりは全然ないんだけどね。
困ったことに、武闘大会で負けてから、俺をライバル視してくるのだ。
彼も代々王都の騎士を務める武門の貴族の一族だからだろうけど、
ほんと、めんどくさい・・・。
「とんでもない!知ってのとおり、俺は魔法が使えませんから
マークス殿の方がいろいろと応用が効くでしょう」
俺は、マークスをなだめるように言う。
そう、うちの家系は基本的に魔法が使えない。
正確に言えば、ファイアーボールやストーンバレットのような放出系の
魔法が使えないのだ。
まあ、身体強化は使えるので戦闘力は充分にあるし、実は切り札が
あるのであまり問題はない。
だからマークスが魔法を使ってきても負けないが、ここは彼の顔を
たてておく。
王子の従者と敵対するなんて損だからね。
「だから魔法ありの模擬戦を申し込んだではないか?!!」
俺が気を使ってやったのに、さらに追及してくるマークス。
「それは、私が禁じたはずだぞ!」
王子がマークスを一喝する。
「し、しかし・・・」
「くどい!この話はこれで終わりだ!」
「は、はっ!」
うん、そうやってちゃんと飼い犬の手綱を握っておいてくださいね、王子様。
「アレックス様、お迎えが参りました」
そこに、メイドのリリーが迎えの馬車が来たことを伝える。
「わかった、すぐに行く」
俺はそう言って、残っていたサンドイッチを口に放り込み、紅茶で
流し込んだ。
そして立ち上がり殿下に挨拶をする。
「では、ジルベスター様、お先に失礼致します」
「ああ、今日は外泊だったな」
「はい、明日の入学式で妹をエスコートしますので」
そう、明日はメリンダの入学式なのだ。
お兄ちゃんとしては、はりきらざるをえない。
「シャル、クラリス、また明日ね」
「ああ、また明日!」
「はい、またねっ!」
挨拶を終えた俺は、リリーを従え食堂を出て、馬車の停車場へ向かう。
いよいよ明日から、『たそこい』本編の開始である。




