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番外09 2年後その9

※ ウィークリイ王国・王都、王城・音楽室

  王妃・エウデリケ・サンデイ


「・・・そして勇者はお姫様と結婚し、末永く幸せに暮らしました。

おしまい」

タタ~~~ン♪


クラリスの物語を終わりを告げる言葉と共に、アレックスのピアノの音が

紙芝居の最後を締めくくる。


「わ~~~っ!」

パチパチパチパチパチ・・・・・・・・・・・・

そして、末の王子・王女が大喜びで拍手をする。


パチパチパチパチパチパチ・・・・・・・・・・・・

もちろん、私やまわりのメイドや執事たちも・・・。


それに応え、アレックスがクラリスの手を取り、一緒に貴族式の礼をする。


「お気に召していただけましたか?」

「うむ、とても面白かったぞ!」

「とてもすてきでした!」

王子も王女も満足そうだ。


「子供向けと聞いていましたが、大人でも十分楽しめましたよ」

私も同意する。

「紙芝居そのものもよかったけれど、あなたのピアノがさらに臨場感を

高めて面白さが増していましたね」

アレックスがピアノでBGMや物音を入れていたのがとても効果的でした。


「ありがとうございます。今回は王子様、王女様のためということで、

もう少し凝ったものを・・・と考え、初めて試してみたのですが、

そう言っていただけると嬉しいです」

とアレックス。


なるほど、そういうことでしたか。

本当に彼の発想や知識には驚かされます。


王家に取り込めたら、どれだけ利益になったことか・・・。

うちに彼と同じ年頃の王女がいなかったことが返す返すも悔やまれます。


もっとも、高い技術を持つドワーフのフライデイ侯爵家のシャルロッテと

婚約し、協力してさらにさまざまなものを生み出して国に貢献して

いるわけですから、結果的には、よかったと言うべきなのでしょう。


「クラリス嬢、あなたもたいへんお上手でしたよ」

「もったいないお言葉、ありがとうございます」


クラリスが礼をする。

きれいな所作だわ。

きちんと教育されているようね。


ただ、特に変わった所はないようだけれど・・・。

まあ、アレックスが注目しているそうだし、もう少し様子を見てみましょう。


「ねえねえ、次はいつ来てくれるの?」

「申し訳ありません、まもなく私とクラリス嬢は学園に入学いたし

ますので、あまりこちらに来る時間がとれないかと・・・」

「え~~~~っ?!」


「これこれ、無理を言ってはいけませんよ」

とりあえず、王女をたしなめる。

「でも、確かにこれでおしまいというのは残念ね」


「それでしたら」

とアレックス。

「基本的にはこの紙芝居の道具があれば、誰にでも出来ますので

そちらの使用人の方々などがなさってはいかがでしょうか?!」


確かに上手下手はあるだろうが、やり方さえわかれば誰にでも

出来そうだ。


「御覧ください」

アレックスが近くに来て紙芝居の構造の説明を始めた。


「基本的には、この付箋ふせんの番号順に前から後ろに絵を移動させ、

絵の裏側に書いてあるストーリーや台詞を読めばいいのです」


紙芝居のそれぞれのページには、めくりやすいように付箋ふせん

ついており、番号がふってあった。


「なるほど、『1』の裏には『2』の話が、『2』の裏には『3』の

話が書いてあるということですね」

「はい。あと、さっきクラリス嬢がやったように、『半分だけずらして、

少し間をとる』等の指示とかも書いてあります」


そいえば、勇者がドラゴンと出会うシーンでは、ドラゴンの部分を

隠したままにしておいて、間をとった後に、すばやくめくっていました。


「なるほど、その部分に何が隠れているか想像させて、盛り上げるのですね」

「そのとおりです」


ふむ、子供向けの娯楽とはいえ、なかなか奥が深いようです。


その後、使用人たちも交えて、さらに紙芝居についての説明を受けました。



※ ウィークリイ王国・王都、王城・音楽室

  アレックス・ホリデイ


「では、今日はこれで失礼いたします」

紙芝居についての説明も終わり、退出しようとしたのだが・・・。


「何を言っているのです!」

「えっ・・・?!」

王妃様に止められた。


「さっきの紙芝居の演奏でもわかりましたが、あなたのピアノは

相当なものでしょう。しかも、誰も聞いたことのないような

すばらしいメロディーと歌詞の曲を知っていると、聞いていますよ」


ありゃりゃ!

そういえば、シャルロッテの母のカンデラス様が俺のピアノ演奏のことを

自慢してるって聞いたことがあったな・・。


「はい!アレックス様のピアノと歌はとてもすばらしいんですよ」

クラリスまで同意してきた。


「アレックスぅ~・・・、私も聞きたいです」


ううっ!王女様、その上目遣いは反則ですよ。

うん、かわいさには勝てません。


というわけで、結局1時間近く、ピアノを演奏しながら歌わされる

ことになったのであった。

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