番外07 2年後その7
※ ウィークリイ王国・王都、サタデイ男爵邸
グスタフ・サタデイ男爵
娘のクラリスが王城に招かれた。
何でも孤児院でやっている紙芝居というものを王子・王女様たちに
披露せよということだ。
下級貴族にしかすぎないわしの娘が王妃様に招かれるなんて、
たいへん名誉なことであることはわかっている。
だが、クラリスのための正装を用意する金がない。
クラリスとラザールの社交界デビューのための資金を何年もかけて準備して、
先日、やっと乗り越えたばかりだというのに・・・。
我が男爵家は貧乏というほどではないが、裕福でもない。
はっきり言って、それなりに金持ちの平民のほうがずっといい暮らしを
しているだろう。
仕方ない、社交界デビューのときのドレスを手直しするしかないか・・・。
などと悩んでいると、さらにとんでもない知らせがきた。
ホリデイ辺境伯家の嫡男アレックス殿からの、クラリスに会いたいという
先触れである。
孤児院の経営者の1人として、娘と打ち合わせをしたいということだ。
急なことなので何のもてなしも何もいらないということなのだが、
どうせ大したことは出来んわ! はっはっは・・・。
いや、居直ってる場合ではない!!
とりあえず、使用人たちに掃除だけは手抜かりの無いように指示しよう・・・。
そして約2時間後、家族総出で正面玄関に出て、辺境伯家の馬車を出迎える。
さすが武門で名高い辺境伯家の馬車だ。
華美な装飾は一切ないのに高級感があふれており、重厚な荘厳さがある。
そして、馬車から降りてきた若者。
一見、着痩せして見えるがなかなかの筋肉だ、相当鍛えているのだろう。
将来は美丈夫となるに違いない。
これが、『ホリデイの改革者』『神童』と言われる次期ホリデイ辺境拍、
アレックス様か。
彼のおかげでホリデイ領は発展し、領都ランチェスターは今では、
『南の王都』とまで呼ばれる繁栄ぶりだとか。
まずは、出迎えの挨拶を・・・、
と思ったら
「えええ~~~っ?!!若様~~っ!!!」
突然、娘のクラリスが叫んだ。
※ ウィークリイ王国・王都、サタデイ男爵邸
アレックス・ホリデイ
サタデイ男爵邸に着いて馬車を降りると、いきなりクラリスが
「えええ~~~っ?!!若様~~っ!!!」
と叫んだ。
驚いてくれるということは、やっぱり彼女が転生者だという可能性は
低いかな・・・。
おっと、そんなことを考えてる場合じゃない。
サタデイ男爵らしい人が驚いているからフォローしてあげないと・・・。
「クラリス嬢!防犯上の理由などにより身分や名前を偽っていたこと、
お詫びいたします」
クラリスの正面に立ち、貴族式の礼をしながら言う。
「は・・・、は、はいっ!」
あわててカーテシーをして応えるクラリス。
「初めまして、サタデイ卿、アレックス・ホリデイと申します」
「よ、ようこそいらっしゃいました、グスタフ・サタデイです」
男爵に続き、他の者たちとも挨拶した後、屋敷内に招かれたのであった。
※ ウィークリイ王国・王都、サタデイ男爵邸
ラザール・サタデイ
あれが、クラリスの言っていた『若様』か・・・。
本当に『貴公子』だったんかい?!!!(魂のツッコミ)




