番外01 2年後その1
久しぶりの更新です。
また、しばらくお付き合いください。
※ ホリデイ辺境伯領・郊外
「ひゃっほ~~~っ!!」
マウンテンバイクで勢いよくジャンプしながら叫ぶシャルロッテ。
「メリンダ!俺たちも行くよっ!!」
「はいっ!お兄様!」
「とりゃぁ~~っ!」
「きゃ~~~っ!」
後ろに立ち乗りしているメリンダに声をかけた後、彼女に続いて
俺たちもジャンプする。
そして、一瞬の浮遊感の後に着地。
ずしゃっ!
ぽにょん・・・
「あんっ・・・!」
着地の衝撃で俺の後頭部にメリンダの胸が当たった。
うんうん、順調に成長してるようだね。
お兄ちゃんは嬉しいよ。
俺たちの社交界デビューから2年。
メリンダは身長が伸びたのはもちろん、体つきもふっくらと
女性らしくなってきた。
『たそこい』の本編で見た姿以上に健康的で美しく育ってくれるに
違いない。
もちろん俺だって育ち盛りだ。
14歳の現在、身長は170cm近くになり体つきもたくましいと
言えるほどになっている。
何しろうちは武闘派貴族だからね。
その厳しい鍛錬を受けていて、たくましくならない方がおかしい。
ただ、『たそこい』のアレックス、つまり俺は8歳で死んでるはずなので、
どういう見た目になるのかわからなかった。
まあ、あの父と母の子供だし、妹であるメリンダも美少女なので
ブサイクにはならないと楽観視していたが、まさかこんな美少年に
なるとは?!
自分で言うのも何だが、元の世界ならハリウッドスターにさえ
なれるんじゃないかと思うほどだ。
まあ、演技力に問題がなければだが(笑)
おかげで、裕福な上級貴族の嫡男という地位も相まってモテモテである。
いや~、参ったな~・・・はっはっは・・・。
ギュイーーーーーーーン!!
(注:読者の好感度が急降下する効果音)
ごめんなさい! 調子に乗りました!
でも、本当に他の貴族家からのアプローチがすごいんだよ。
婚約者のシャルロッテという防波堤があるのにこれだから、
彼女がいなかったら、いったいどうなっていたことやら・・・。
シャルロッテといえば、俺の知っている『たそこい』ではシャルルという
男キャラだったので、彼女がどういうふうに成長するのか、俺以上に
想像がつかなかった。
それが・・・
「とうちゃ~~~く!!」
目的地に先に到着したシャルロッテが一声上げて、こちらを振り向く。
その姿はと言えば、170cm余りの身長、すらっと伸びた手足に
ほどよくのった筋肉、そして引き締まったウエスト。
ワークキャップをかぶり、その後方の穴からポニーテールにした長い髪を
出し、その人懐っこそうな顔つきの瞳の奥には強い意志が宿っている。
まるで少年漫画の主人公かと思えるほどの凛々しい美少年である。
その豊かな胸のふくらみと丸みをおびたぷりりんヒップがなければの
話であるが・・・。
いや、胸は大胸筋だと言ってごまかせば・・・って、何を考えてるんだ?!
俺は!!
とにかく、あのぽっちゃり癒し系少女がこんなボーイッシュグラマー美少女に
変貌するとは思わなかった。
現在のシャルロッテも充分に魅力的で、俺としては別に文句はないんだが、
身長で追い越されたのはちょっとショックだった・・・。
まあ俺もまだまだ成長期だ! すぐに追い越し返してやるさ!
・・・大丈夫だよね?!ちゃんと伸びるよね?!
そしてメリンダはといえば、順調に正統派美少女の道を歩んでいる。
数年後に、美淑女にクラスチェンジするのが楽しみである。
もちろん、他にもいろいろとあった。
馬車のダンパーやベッド用のマットレス等、スプリングを使った製品は
貴族や裕福な商人などの間でひろまっているし、せっけんや化粧水などの
製造・販売も順調である。
おかげで、我がホリデイ家とシャルロッテの実家のフライデイ家は
大儲け。 俺も個人的な資産をそれなりに蓄えることができた。
ただ、そのままでは妬みや恨みを買うので、両家で話し合って
いろいろな福祉事業に儲けの一部を使っている。
病院や学校、孤児院などを作り運営し、王都からうちの領やフライデイ領
へのインフラを整備したりしたのだ。
もちろん、領内のインフラも整備してるよ。
そのインフラ整備中に、なんとゴムの木を発見したのである。
そして、発見から1年、タイヤを作ることに成功した。
というか、ギルベルト様をはじめとしたドワーフたちがやってくれた。
それを自転車に組み込んだ試作車をシャルロッテが届けてくれたので、
試乗ついでに近くの池までサイクリングにやってきたところである。
「ほいっ!」
キュキュッ・・・
ブレーキをかけてシャルロッテの近くに停車する。
もちろんブレーキもゴムを使っている。
今はまだリムブレーキだが、ディスクブレーキも開発中である。
「どうだ?!俺が作ったマウンテンバイクは??!」
自慢げに言うシャルロッテ。
そう、自転車の開発は、シャルロッテが中心になってやっているのだ。
元々、物作りが好きだったシャルロッテだが、婚約者である俺の役に
立ちたいとさらに熱心になった。
そして、あるとき俺が自転車というものについて話したところ、
興味を持ち、自分が作ると言い出したのだ。
まだ市販化は無理だが、試作機は王家に献上され、王城の庭で王子様や
王女様たちが乗り回しているらしい。(タイヤは革製)
今回、ゴムタイヤが出来たので、さらにダンパーも付けた悪路仕様の
マウンテンバイクを開発してみたということだ。
「うん、操作性もいいし、ブレーキの効きも問題ないね」
もちろん、元の世界の日本の自転車にはいろんな面で劣るが、この世界で
これだけのものが、こんな短期間で作れるとは思わなかった。
「シャルちゃん、こんなものを作るなんて、すごいねっ!」
マウンテンバイクから降りたメリンダが、シャルロッテに駆け寄る。
「えへへへ~~っ・・・」
照れるシャルロッテ。
うん、そういう仕草もかわいいよ!
心の中で、そう思いながら俺は釣りの用意をする。
後から馬車でここに来る母上たちと合流してバーベキューをやることに
なっているのだ。
もちろん、魚が釣れなくても十分な食材を持ってきてくれることに
なっているが、それまでの暇つぶしも兼ねてである。
「ほい、出来たよ」
折りたたみ式の椅子を置き、メリンダに竿を差し出す。
彼女が怖がるので、生餌ではなく疑似餌をつけている。
「ありがとう、お兄様」
メリンダは、椅子に座り竿を受け取る。
シャルロッテは自分で竿の用意をしている。
俺も自分の竿を用意して適当な石の上に座る。
そして、3人並んで池に糸を垂らし、母上たちが来るまでのんびりと
釣りを楽しむのであった。




