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41 フライデイ侯爵家 その10

「まったく・・・、重ね重ねすまないね、アレックス殿」

とアレッハンドロ様。


あらら、また『殿』がついちゃった。

だいぶ距離が近くなっていたのに・・・。


「シャルロッテ!お前もきちんと謝りなさい」

「ごめんなさい、アレックス」

カンデラス様の陰に隠れていたシャルロッテが謝る。


「うん、大丈夫だからね。ほら、こんなに元気!」

場の雰囲気を少しでも明るくしようと、両腕を上下に振り上げて、

軽い感じで答えてみた。


「ごめんなさいね、このったら・・・。

こんなことでは、アレックス様に嫌われてしまいますよ」

「え?!そうなのか?!アレックス、俺のことを嫌いになるのか?!」

不安そうな目で俺を見るシャルロッテ。


いやいや、大丈夫だから、そんな顔をしないでおくれ。


俺はアレッハンドロ様に向き直り言う。

「アレッハンドロ様」

「うむ、何かね?」

「シャルロッテ嬢との婚約を正式なものにしていただきたいのですが」


「ほう!」

「まあ!」

「アレックス!」


「ふむ、私がこう言うのも何だが、こんな貴族の娘っぽくない

いいのかね?!」

「だからいいんです。今のままのシャルロッテ嬢がいいんです」

と言った後にシャルロッテに向き直る。

「ねっ!」


「アレックスぅ~!」

「ごふっ!」


シャルロッテが抱きついてきた。

「好きだ!大好きだぞ!」

頬をスリスリしながら言う。


「うん、俺もシャルが大好きだよ」

俺の方は、アレッハンドロ様とカンデラス様に聞こえると恥ずかしいので

手で彼女の耳元を覆いながら小さい声で言う。


「あらあら、今日はお祝いね」

俺たちを見ながら楽しそうに言うカンデラス様。


「うむ、夕食時に皆に発表しよう。アレックス、ホリデイ家には

こちらから連絡させておくから、君も食べていきなさい」


お!アレッハンドロ様、呼び捨てに戻ってくれた。


「はい、御相伴ごしょうばんに預かります」

シャルロッテの頭を撫でながら言う。


「そういうことだから、料理長に伝えてね」

「はい、奥様」

カンデラス様が控えていたメイドに指示する。


「夕食まで、まだだいぶ時間があるわね・・・そうだわ!」

少し考えたカンデラス様は、何かおもいついたようだ。

「アレックスちゃん、あなたシャルにピアノを聞かせたんですって?!」


「は、はい・・・」

「私にも聞かせてちょうだい」


もちろん、俺に断れるわけがない。

カンデラス様のリクエストに合わせて、夕食までいろんな曲を

弾かされたのであった。




そして、数日後。


「アレックス、元気でな」

「うん、シャルもね。遊びに来るのを待ってるよ」

「ああ、必ず行くからな」


俺はホリデイ辺境伯領へ帰る挨拶にフライデイ侯爵王都屋敷に来ていた。

すぐ横では、母上とカンデラス様が、その向こうでは父上と

アレッハンドロ様が挨拶をしていた。


「そのときには、サスペンションを取り付けた馬車で行くからの」

とギルベルト侯爵様。


「はい、その他の物も楽しみにしています」


そう、他にもいろいろと新製品の開発を頼んだのだ。

出来たものは侯爵家の判断で商品化して売ってもらってもよいことにした。


もちろん、利益の一部はもらうよ。

うちもいろいろと資金が必要だしね。


王都に来るときには、こんなに製品開発が進むとは思わなかった。

ほんと、シャルロッテと知り合い、婚約できてよかった。


帰路の馬車の中で、餞別にもらった馬車用のスプリングクッションの

感触に感心しながら、幸運に感謝するのであった。



           第一部・完


         第二部『学園編』に続く

というわけで、今回で『おにあれっ』第一部完であります。

しばらく『にーこーぷ』を書くのでお休みすることに

なりますが、第二部の前に番外編を書く予定です。

ではまた、そのときに。

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