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33 フライデイ侯爵家 その4

「スプリングがどういうものか、もうおわかりになったと思いますので

試しに作られてみたらいかがでしょうか?!」

俺はわざとライムンド様に、いじわるを言ってみた。


「うぐっ!」

言葉につまるライムンド様


「うむ、それなのじゃが・・・」

代わりに話し始める侯爵様。

「ライムンドがやったところ、均等な間隔をあけて鉄の棒を巻くことが

出来なかったのじゃよ」


「すでに試していたのですか」

なるほど、だからシャルロッテにスパイの真似ごとをさせたのか。


ということは、やらせたのはライムンド様かな?!

と、俺はこの時点で正解を引き当てていた。


「しかも、さっき見てわかったのじゃが、サスペンションに使われて

おるすべてのスプリングが同じに出来ておる。

あの数を均一に作るとは、いったいどうやったのじゃ?」

侯爵様も知りたいようだ。


まあ、いくらドワーフの鍛冶師が腕がいいからといっても、この

数日で作るなんて無理だよね。


何しろ、現代知識があっても実用に一年以上かかったんだよ。


スプリングの作り方そのものは簡単だ。


鉄の棒に、熱した鉄の棒を巻き付けて、欲しい長さに切った後、

焼き入れをして弾力を持つようにしたらいい。


だが、いくら熱して少しは柔らかくなってるとはいえ鉄である。

巻き付けるには、すごく大きな力が必要だ。


しかも素早くやらないと、冷えて固くなるし巻きが均一にならない。


細いスプリングならともかく、馬車を支えるような強いスプリングを

一気に巻くなんて、人力ではとても無理である。


さらには、さっき侯爵様がおっしゃった、『一定間隔で均一に巻く』

というのがもっと大変なのだ。


ということで、スプリングを作るための機械を作るところから始めた。


となれば、問題は機械を動かすための動力であるが、それはわりと

すぐに解決した。


水車である。


農業の灌漑かんがい用にと作っていたものを流用したのだ。


そして、職人たちと試行錯誤の結果、スプリングを巻き付ける鉄の

棒を回転させながら一定間隔で押し出す機械を完成させたのだ。


この機械、歯車の交換で押し出す間隔を調整できるスグレモノである。


いずれは自動車のギアチェンジのように簡単な操作で歯車を切り替え

られるようにしたいが、無理して耐久性が落ちたりしたらまずいので

それは当分先のことになるだろう。


まあ、そんなわけで、製法を教えてもまずは機械と動力をなんとか

しないといけないので無理である。


それとも、ドワーフの剛力なら機械なしでも・・・いや、無理だよね?!


「では、対価はいかほどいただけるのでしょうか?」

とりあえず聞いてみる。


「言い値を出そう!」

「「「 え?! 」」」


侯爵様の言葉に俺ばかりか、カンデラス様とライムンド様も驚く。


「何を驚く?!お前たちもあの乗り心地を体験したではないか。

しかも、さらに改良されるというのだぞ。間違いなく広まるじゃろう」

「確かに・・・」

「それは、そうですが・・・」


「どうじゃ?!アレックス殿!」

向き直って俺に言う侯爵様。


「タダで結構です」

「「「 何?!! 」」」


「その代わり、開発に協力してください」


うん、これで、サスペンションをよりよくできるアレを作ることが

出来そうだ。

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