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32 フライデイ侯爵家 その3

「さて、さっき話したシャルとの婚約の話じゃが・・・」


酒好きおやじから、上級貴族当主にモードチェンジした侯爵様が

話し始める。


「急いで決める必要はないし、断ってもお主に不利益があるような

ことにはせん。あくまでも、『よかったら』という話じゃ。

とりあえず、考えておいてくれ」


「それならいいんですが、なぜ急にそんなことを?」

「そりゃ、お主を気に入ったからに決まっておるじゃろ?!

シャルも、まんざらでもないようだしの」


「それは、先ほどおっしゃった『こっち側の人間』という言葉と

関係あるのでしょうか?」

さっき俺が疑問に思ったことを言ってみた。


「ああ、その通りじゃ。お主は『こっち側』、つまり貴族というより

わしらドワーフのように物作りをする職人に近いということじゃな。

先ほど、サスペンションの説明をするときに、よくわかったわい」


なるほど、そういうことか・・・。

俺の中身は現代日本の理系大学生だしね。


「サスペンションを開発し、さらにそれをよりよく改造しようとしたり、

シャルに土産としてくれた化粧水を作ったりしたのじゃからな」


「そうそう、化粧水のお礼を言いいそびれていたわ。

どうも、ありがとう」

カンデラス様が話に入ってきた。


「いえいえ、使い心地はいかがですか?」

「まだ2回しか使ってないけど、心なしか肌の調子がいいわ」

「それはよかった」


そして、俺はお約束の化粧水の市販化の話をする。


「市販化されるまでは、なくなったらホリデイ家の王都屋敷に

行けばいいのね」

「はい、ただ在庫が少ないので、他の方に譲ったりはなさいませんように」

「わかったわ、自分の分がなくなったら困るものね」


そろそろ化粧水を広めるのをやめないと、本当に在庫不足に

なりそうだな。

なにしろ、うちのメイドたちも使ってるし。


メイドたちに試作品を試してもらって意見をもらい、改良したおかげで

市販化のめどがついたんだけど、それ以降も使い続けさせることに

なっちゃったんだよな~。

まあ、仕方ないけど。


「そんな物より、スプリングの製法についての話だ」

じれたようにライムンド様が言う。


あとで聞いたところによると、社交デビューパーティーで

シャルロッテにスプリングについて探ってくるように言ったのは

彼だということだ。


人族がドワーフよりも優れた物を作るというのが気に食わないらしい。


教えてあげるけど、当然対価はもらうよ。


ということで、まずは契約の話だよ!ライムンド様。

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