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26 社交界デビュー その12

そしてラストダンスも済み、社交界デビューパーティーは

国王様の閉会の言葉で締めくくられた。


さて、帰るとするか・・・と思ったら、


がしっ!


腕を掴まれた。


「どこに行こうとしているのですか?」


掴んだのはフランチェスカだ。


「いえ、屋敷に帰・・・」

「何をおっしゃるのです!」


食い気味に否定された。


「ラストダンスを踊ったのですから、母に挨拶をしていただきますわよ」


あ、やっぱりそいう流れになるのか・・・。


「では、少しお待ちいただけませんか?」

「なぜです?」

「うちの使用人に、ご希望の物を取りに行かせましたので」

「希望の物・・・というと王妃様に献上した?!」

「はい、化粧品です」


周りの人たちに聞かれるとまずいので、最後の方はこっそりと

耳打ちする。


「なるほど!」


「「 わっ!!! 」」


いつの間にかシャルロッテが近くに来て耳打ちに加わっていた。


「あなたは何をしているのです!!」

怒るフランチェスカ。


「いや、こそこそと話してたら当然、気になるだろ?!」

シャルロッテ、まるっきり悪びれる様子がない。


「ほんとに下品なドワーフは・・・」


「で、それって、あたしにもくれるんだろ?!」

フランチェスカを無視して俺に話しかけるシャルロッテ。


「ああ、もちろんシャルの分もあるよ」

「そうかそうか」


嬉しそうなシャルロッテ。


ちなみに、シャルロッテとダンスをしてるときに、

『アレックスと呼び捨てにする代わりにシャルと呼んでくれ』

と言われて、そうすることになった。


「シャルだけ愛称呼びなんてずるいですわ!私のこともフランと

呼んでくださいませ」

とフランチェスカ。


ほんと、このはシャルロッテへの対抗心がすごいな。


「では、フラン様、で」

「シャルは呼び捨てなのに私は『様』付けですか?!」


ちょっと不満な様子のフランチェスカだが・・・


「だってシャルですから・・・」


俺がそう言うと、


「・・・そうですわね。シャルですもの・・・」


なぜかフランチェスカも納得した。


「お待たせいたしました」


そこにメイドのリリーが執事を連れてやってきた。


執事が持っている箱に化粧水が入っているのだろう。


「ん?!」


何か違和感が・・・。

もう一度執事を見る。


「あ!ゴンじい!」


執事はホリデイ領都屋敷の庭師のゴンじいであった。


「こっちに来てたのか」

「ふぉっふぉっふぉ・・・、ホリデイ領から追加の資材を届けに

先ほど王都屋敷に着きましたらリリーと出会いましてな。

ちょうどよいので一緒に参りました」


ゴンじいは、いつものように笑いながら話す。


「そうか、それにしても執事姿も似合うな」

「でしょ~、私たちも驚きました」

とリリーが言う。


「ふぉっふぉっふぉ・・・、そう言ってもらえるとは、わしも

捨てたもんではありませんな」


うん、姿勢がいいので立ち姿が決まっているし、白い髭がいかにも

ベテランの執事という感じだ。


「じゃ、リリーは母上に、『サーズデイ家にご挨拶に行く』と伝えて、

ゴンじいは付いて来てくれ」


「は~~い」

「かしこまりました」


というわけで、フランチェスカをエスコートしてサーズデイ家の

控室に向かう俺であった。

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