表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/83

01 お約束

新作です。

よろしくお願いします。

「えっ?!!!」


ずるっ


「わああああっーーーー!!!」


「お兄様ーーー!!!」

「坊ちゃまーー!!」

「アレックス様ーー!!」


ガタガタッ、ドドンッ!!!


なんてことだ・・・。


ほんの不注意で階段を踏み外しただけなのに・・・。


メリンダ・・・僕のかわいい妹・・・


最後に見るのが君の泣き顔なんて・・・


ごめんよ・・・


こうして、僕、ホリデイ辺境伯家嫡男アレックスは死んだ。

享年8歳。




2か月後・・・


「お兄様っ、こっちですわ」

1つ年下の妹のメリンダが坂道を小走りに駆け上がりながら

俺に言う。


金髪青眼、そしてぬけるような白い肌。

紛れもない美少女である。


「メリンダ、ちゃんと前を見ないと転ぶよ」

と俺が注意したとたん、


「きゃっ!」

彼女は小石につまづいてこけそうになった。


「危ないっ!!」


がしっ


「ふ~~~っ・・・」

俺はなんとかメリンダを抱きとめることが出来た。

「だから言っただろ!めっ!」


「ごめんなさい、お兄様・・・」

ちょっと涙目で謝るメリンダ。


うん、かわいい!!


うちの妹が世界一かわいい!!!!!!!!!!!!!


だが、不満がある。


「メリンダ、身内だけのときは『お兄様』じゃないだろ?!」

メリンダの頭を撫でながら言う。


「あ・・・、お・・・お兄ちゃん・・・」

頬を赤く染めながら上目遣いで言うメリンダ。


語尾が微妙に上がっているのがまたいい。


ド~~~~~~~~~ン!!!!!!!!


俺の心の中の富士山が噴火する。


かわいい!!!!!


うちの妹が宇宙一かわいい!!!!!!!!!!!!


むぎゅ~~~~っ


「お、お兄ちゃん、苦しいです・・・」


あ、いかん。あまりのかわいさに、つい抱きしめてしまった。


「ごめんごめん、メリンダがあまりにかわいいから、つい・・・」

「お兄様ったら、いつもそんなことばかり・・・」


ありゃ、また『お兄様』に戻ってしまった。


「がっはっは・・・、本当にお二人は仲がいいのう」

付いてきていた庭師のゴンじいが言う。


本名はゴンザレスだが、俺がそう呼んでいたらそれが定着してしまった。

本人もその呼び名が気に入っているようだ。


「お坊ちゃまも記憶をなくされたときは本当にびっくりしましたが、

それもすっかり回復されて・・・本当によかったです」

メイドのリリーがちょっと涙ぐみながら言う。


そう、俺、アレックス・ホリデイは2か月前に階段から落ちて大怪我をし、

そのショックで一時的に記憶をなくしていた・・・ということになっている。


実際は、身体は確かにアレックスだが、精神は日本の大学生・真白晶ましろあきらだ。


第一志望の大学に合格し、これから大学生活を満喫するぞと

意気込んでいた俺であったが、大学入学後わずか一か月でトラックに

跳ねられ死んでしまった。


志望大学に入ったとたんに死亡・・・うるさいわ!


そして、どういうわけなのか、このアレックスの身体に転生していたと

いうわけである。


当然、目覚めたばかりの俺には状況がわからないし、周りの者たちのことも

知っているはずがない。

そのため医者は俺がショックで記憶をなくしたという判断をした。


だが、周りの者たちの話を聞いていくうちに、俺はこの場所や人々を

知っていることに気が付いた。


黄昏たそがれの聖女と七曜しちようの恋人たち』(トワイライトセイント&セブンラヴァーズ)

略称:『たそこい』という恋愛シミュレーションゲームの舞台の1つ、

ホリデイ辺境伯領とそのキャラクターたちにそっくりなのだ。


俺はどうやらお約束のゲームキャラ転生をしてしまったようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ