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第88魔 『ダメっすね』

次の更新は明日9月19日(日)だってーの!


「ク……クックック! ど、どうだ、化け物!」


 ギャスガルが勝ち誇る。

 その声に余裕はない。

 それほどボーリが恐ろしかったのだ。

 今や、恐怖の対象は、身動きひとつしていない。

 魔眼の効果だ。

 その威力は、今のオックスが身をもって知っている。


「これで手も足も……グエェェェッ!」


 ギャスガルの勝利宣言が、苦悶の叫びとなった。

 大きな手に首を掴まれ、持ち上げられたのだ。


「ごちゃごちゃうるさいっすね」


 驚いたことに、ボーリは平然と動いている。


 ジタバタと、ギャスガルが両手両足で攻撃する。

 しかし、そのすべてが見えない壁に阻まれた。

 防御障壁だ。


 ボーリは、じっくりと観察する。

 すると、ふむ、と何かを納得した。


「やっぱりオックス様に呪いをかけたのも、この魔眼っすね。どら……」

「ひぎゃぁぁぁぁぁっ!」


 ぐちゅぐちゅ……。


 ボーリが左手の爪を、ギャスガルの右目に突っ込んだ。

 そうか。

 魔眼の効果ではなかったのだ。

 ボーリの手は、小さくなったのではない。

 魔眼を抉るために()()()()()のだ。


 ギャスガルは、抵抗した。

 ボーリの暴虐を止めようと足掻きに足掻いた。

 だが、その全てが無駄だった。

 ギャスガルの両手を持ってしても、ボーリの指一本動かせなかった。

 まるで、自然災害に抗う人間のようだ。


 再び、己の右目が失われる。

 ギャスガルは、その事実を受け入れるしかなかった。

 なすすべもなく。

 耐え難い苦痛と共に。


 みちゃぁ……


 ボーリの右手が赤い糸を引く。

 

「イぃ▷◎◉☐▽★◀︎ぃぃぃぃッ!」


 声にならない絶叫。

 魔導の眼球は、くり抜かれた。

 ギャスガルが右目を抑え叫ぶ。

 血まみれとなった魔眼を、ボーリは爪先で器用につまんでいる。

 血まみれのそれを、マジマジと見つめる。

 ふん、と鼻で笑った。


「こりゃまた、ずいぶんと質の悪い呪物っすね。どこの三下悪魔っすか、こんな粗悪品渡すなんて」


 言うや、魔眼を握り潰した。


 パンッ! 

 弾けるような音、


 きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!

 そして、耳がつんざくようなおぞましい声。


 呪物の内に溜め込んだ呪いだ。

 その怨念が発した叫びだった。


 ボーリの握り拳から、濃い煙が溢れ出す。

 魔力……いや、これは魔眼が溜め込んだ〝命そのもの〟なのか。

 煙が次第に薄まる。

 叫び声も次第に小さくなった。

 静まり返った部屋に、ギャスガルのうめき声だけが聞こえる。


 そのとき、オックスの呪い解けた。

 同時に、錬成した武具の操作も可能となった。

 オックスは、立ち上がり四肢の動きを確認する。

 ホッとした。

 打撲はあるが、骨に異常はない。


 ボーリがニコリと微笑んだ。(ただし、牙の生えた異形の笑顔)

 オックスの無事を見て安心したのだろうか。


「あとはこいつの始末っすね」


 ボーリは楽しそうだ。

 反面、ギャスガルの顔が恐怖に歪む。


「ひぎぃぃぃぃっ! た、た、た、助け、助けて……」

「あ? そりゃ、ダメっすね」


 ボーリが冷たく言い放つ。

 首を握る左手に力を込めた。


「ぐ……ぐが……ぶぶぶ……ヒューヒュー……」


 ギャスガルの口からは涎がたれた。

 顔が土色へ変貌し、太い血管を浮き出してた。

 残った左目は白目を剥いている。

 まさか、このまま……。

 オックスは慌てて声を上げた。


「やめろ! それ以上はダメだ!」

「……殺さないんすか? このゴミを?」


 ボーリは心底不思議そうだ。

 やはり殺す気だったか。

 ボーリにとって、人の命は、どうやら軽いものらしい。


「ああ、そいつには聞きたいことがあるんだ。すまないが離してやってくれ」

「了解っす」


 あっさりとギャスガルを解放した。

 特にごねる様子もない。


 ドサッ


 大男は解放され、床に倒れ込んだ。

 白目を剥いたまま、ピクピクと痙攣している。

 かろうじて生きているか。

 ボーリは、ギャスガルに目もくれない。

 心底興味がないのだろう。


 オックスは拘束具を錬成した。

 動かないギャスガルの両手両足を拘束する。

 

 ギャスガルは完全に気絶していた。

 こうなると、当分目覚めそうにないな。


「こいつを起こして、尋問を……いや、起こすのに時間がかかる。それに素直に話すとは思えん」


 瞬時に判断したオックスは、次の行動に移る。

 壁に掛けていたバックルを引っ掴む。

 急いで腰に巻き、そこに錬成の剣を吊るす。

 少しよろけながら、ルビーのいた部屋に入る。

 ルビーの弓を手に取り、肩にかけた。

 この弓はルビーの宝物だからな。


 大部屋に戻る。

 ボーリは直立不動で立っていた。

 今は普通の腕、普通の表情だ。

 じっと、オックスの動向を見守っている。

 まるで獲物を狙う獣のようだ。

 そこに感情はない。

 ただただ、オックスを見つめている。


 普通の人が見れば気味が悪いと思うだろう。

 だが不思議とオックスは、ボーリを不快には思わなかった。

 命の恩人だからか?


「ボーリさん、でしたよね?」


 オックスの言葉に、ボーリが首を傾げる。


「そうっす。ボーリっす。でも、ダメっすよ、あーしに敬語は。他の奴らに示しがつかないっす。それに、敬称もいらないっす。それより、あのぉ……あーしには今の状況がチンプンカンプンなんすけど、一体全体どうなってんすか?」


 敬語がダメと言われちゃ仕方ない。

 では、お言葉に甘えさせてもらおう。


 チンプンカンプンか。

 それはオックスも同じだ。

 ボーリに聞きたいことは山ほどある。

 だが、今はそんな時間すら惜しい。


「では、ボーリ。今は説明している時間がないんだ。すまないが、ついてきてくれるか?」

「了解っす。落ち着いたら、いろいろ教えて欲しいっす」


 こうして、オックスは、頼もしすぎる仲間を得た。


 すぐに助けに行く。待っていろ、ルビー。


(お願い)


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