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第54魔 『残念な2人』

 どうも変だと、オックスは首を捻る。


 三度目の休憩中、オックスは前方をジッと見つめた。


 視界の先では、ルビーが騎竜のペンタンと戯れている。

 とくに珍しくもない光景だ。


 そこで、どうにもおかしな現象が起きている。

 

 光っているのだ。


 どういうわけか、ルビーがキラキラと光って見える。

 その光が、どうにもしつこい。

 

 目を擦ってみても、やはり光っている。

 暫く目を閉じても、開けると、やはり光っている。

 嫌がらせかと思うほど、しつこくキラキラキラキラと光り輝いている。


「どうしたの、オックス? すごく難しい顔してるよ?」


 キラキラエフェクトのルビーが不思議そうに言った。

 その声も、いつもと違うのだ。

 いつまでも聞いていたいような、心に染みる声色だった。


 またまたオックスは首を捻る。

 

 すると、1つの考えに至ったのか、ポンッと手を叩く。


「ルビー、お前『ヒカリゴケ』を持ってるだろ?」


 オックスの質問に、今度はルビーが首を捻る。


「持ってるわけ無いでしょ。

『ヒカリゴケ』は生えてる場所から採っちゃったら、すぐ枯れちゃうじゃない」


「それは知っている。

 だが、枯らさずに『ヒカリゴケ』を採取する方法を見つけたんじゃないか?

 ズッコイぞ! 俺にも、その方法を教えろ!」


「そんな方法見つけたら、今頃特許を取って、左うちわで大豪邸よ。

 どうしたのよ。変な質問して」


「そ、そうか。そうだよな。

 ――いや、なんだか眩しくってな。

 目がチカチカするんだよ」


「へ? 大丈夫なの?」


 ルビーが駆け寄ってくる。

 心配そうにオックスの頬を両手で包んだ。


「うむ、なにか心臓もおかしくなってきた。

 息苦しいというか、切ないというか……」


「ほっぺたがすごく熱くなってるわ!

 大変じゃない! いいから座ってなさい! はい、お水飲んで」


 ルビーが腰の水筒を開けると、自分で一口飲んだ。

 その水筒を、オックスへ渡す。

 

 当のオックスはというと……。

 

 ボーッと、ルビーの唇を見つめていた。

 柔らかそうな、プルンとしたピンクの唇だ。

 こんなに柔らかそうだったっけ?


「ボーッとしてるじゃない! ほら、早く飲みなさい!」


 急かす声で、オックスは我に返る。

 ルビーの手から水筒を受け取り、中の水を飲んだ。


「んなッ!」


 オックスが仰天した声を上げた。


「ど、どうしたの!?」


「めちゃくちゃうまいぞ、この水! ど、どこで汲んだんだ!?」


「そこの小川だけど……。ちょっと貸してみて――グビグビグビ」


「どうだ? ありえん程うまいだろ?」


「……オックス、少し疲れてるんじゃない?

 全くもって普通の、極々一般的な水だよ、これ」


「はぁ!? ちょっと貸してみろ! ――グビグビグビ」


「どう? 普通でしょ?」


「めちゃくちゃうまいじゃねぇか! どうなってるんだよ、お前の舌は!

 変なもの食い過ぎて、バカになってんじゃねぇか?」


「バ、バカとは何よ! そ、それはこっちのセリフだわよ!

 大体、あたしとオックスが食べてるものは、この12年間ずっと一緒でしょうが!」


 それから暫く、12歳(♂)VS13歳(♀)の、低レベルかつ無益な言い争いが続いた。


「話にならん!」


 オックスが実質負けを認めたときには、キラキラは収まっていた。

 

 ルビーの顔は……と、ジッと見つめる。


「あに見てんのよ! バカオックス!」


 いつも通りの、小憎らしい顔だ。


 あのキラキラは、一体なんだったのだろうか?

 水筒の水も、普通の味になっている。

 まるで悪魔に化かされた気分だ。

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