第44魔 『謎の少女』
『……様、オックス様!』
目を覚ますと、見知らぬ部屋だった。
どうやらベッドで寝ているらしい。
異様に固いベッドだ。これでは床で寝ているのと大差ないであろう。
なぜわざわざ、こんな粗末なベッドに?
そのとき鈴の音のような声が聞こえた。
『やっと起きましたか……。今日は帝都に出発するって、おっしゃいましたよね? もう日が高くなってますよ!』
声の主であるオレンジ色の髪をした少女が、あきれ顔でこちらを見ている。
誰だ?
その青紫の瞳には、見覚えがあるのだが。
とりあえず起きるか、と上体を起こす。
ん? ……んんッ!?
な、なんだとッ!
思わず二度見をしてしまう。そして愕然とした。
枕元に、少なくない量の金の髪が落ちていたのだ。
「ま、まさか……」
急いで手を頭に当て、頭髪を確認する。
う、薄い……。
スッカスカではないか。
これでは日光から頭皮を守れそうにないぞ。
『だ、大丈夫ですよ! オックス様はふさふさ……とは言えませんけど……モゴモゴ。――だ、大丈夫です! まだ、そんなには進行していません! これからがんばれば、復活も可能です! ……多分』
し、進行……。
そ、そんなには……。
ふ、復活……。
少女の拙いフォローが胸に染みる。
申し訳なさそうな少女の笑顔は、心の中にある大切な何かをゴリゴリと削っていった。
それはさておき、ここはどこだろうか。
フォロー下手な、この少女は誰だ?
俺の髪は金髪だっけ?
オックスって……誰……なんだ……。




