第39魔 『奇妙な食卓』
∮
教会に隣接した家屋の食堂。
湯気を立てる食事が、狭いテーブルに所狭しと並んでいる。
そこに腰を下ろしているのは4名。
大きい2人は共に女性で、修道服姿。
1人は50代、もう1人は10代中頃であろう。
小さな2人は男女1名ずつで、粗末ながらも清潔な服に身を包んでいる。
ともに5~6歳に見える。
「では、シスター・ナトリ、お願いします」
修道服の年配女性が、隣の人物へ促す。
それを受け、同じく修道服を着た若い女性――ナトリが、コクンと頷く。
「はい、シスター・リーチ。――コホン」
テーブルの上で手を組み、目を閉じる
「今日の糧を与えて下さった、全能神ローレンシアに感謝を」
「ローレンシア様に感謝を」
赤い髪の少女――ルビーも同じように祈りを捧げる。
「全能神ローレンシアに感謝を」
黒髪の少年――オックスも祈った。
「全能神ローレンシアに感謝を。――さあ頂きましょう」
リーチと呼ばれる年配のシスターが、スープを飲んだ。
「頂きます」「いただきまーす」
シスター・ナトリとルビーも同じように、スープを飲む。
それを見届けて――
「……いただきます」
オックスがスープを飲んだ。
次に、オックス以外の三人が水を飲む。
それを見届けて、オックスも水を飲んだ。
次に、オックス以外の三人がパンを食べる。
それを見届けて、オックスはパンを食べた。
野菜も、果物も同じようにした。
まるで女性3人が毒見役をしているように見える。
それは、なにか儀式めいた、不思議な食事風景だった。




