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第22魔 『オックスの策』



(隙間が無いのなら――)


「くおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」


 叫ぶオックスの全身から、滝のように汗が流れる。


(破壊するのみッ!)


 爆速で飛来する剣。

 霧散した剣の煙が天使を覆う。


 十数秒の後――そして静寂が訪れた。


 オックスは、ガクンと膝を落とした。

 ゼイゼイと息を荒げて、唇は紫になっている。


 十数秒、たった十数秒で、無尽と噂されたオックスの魔力は尽きた。

 先の技は、それほどの魔力を消費するものだった。


 必殺奥義、《蒼天万剣》に《無限剣舞》。


 ともにオックスの切り札と呼べる技だ。

 これでダメなら……。


「素晴らしいッ!」


 唐突な声と同時に、オックスの顔面に衝撃があった。


「グッ!」


 オックスが吹っ飛び、仰向けに倒れた。

 上体を起こそうとして……できなかった。 

 もうそんな力すらも残っていない。


「素晴らしいッ!」


 ボキッ! オックスの右腕が踏み潰される。


「素晴らしいですッ!」


 ボキッ! 左手も潰される。


「あぁ、なんと素晴らしいのでしょう。人間がここまでやれるとはッ! まさに技の極致! 実に素晴らしかったですよッ! わたしは感動しましたッ!」


 天使フェルミンがオックスの顔を踏みつけて、嬉々として芝居がかったセリフをそらんじる。

 驚くことに、まったくの無傷だ。


「どんなに鍛えようとも、人間に破れる障壁はせいぜい1枚か2枚だと思っていました。ですが、先ほどの攻撃で、わたしの障壁は、なんと4枚も破られてしまいました! これは恐るべきことですッ! わたしの障壁は、残りたったの6枚ですッ! まったく何ということでしょうッ! あと2回、今の攻撃を受けると、わたしは怪我をしてしまいますッ! こんなに心細い思いは初めてですよッ!」


 天使が饒舌にまくし立てた。

 

 その足の下で、オックスは笑いをこぼす。


 ――なるほどな。人間とは、そもそもの仕組みからして違うわけか。


 全身を覆う障壁が、しかも、()()()()()剣撃に耐えうるレベルの障壁が計10枚ときた。

 

 ――しかし、破壊した障壁は4枚か。()()()()()()いけたかもしれんな。


 オックスは、少しだけ自信を取り戻した。


 負け惜しみではなく、オックスは本気を出していない。

 天使を倒すことが『目的』ではないからだ。


 演説が終わると、興奮の収まった天使は、オックスから足を下ろした。

 慈愛に満ちたふうの笑顔で、オックスの襟首を掴むと、


「さすがに、もう、気が済んだことでしょう。さて、どうしますか? わたしと共に天界へ昇るか、それとも……」


 巨漢のオックスを、片手で軽々と持ち上げる。

 

 今、天使はオックスに触れている。


 ――つまり障壁の隙間がある? 今なら……。


 出来ればもう少し()使()()()()()()()

 しかし、魔力が切れて、さらに両腕が使えない今、どうやって?


 オックスが脳をフル回転させていた、そのとき、


「どりゃぁぁぁぁぁぁッ!」

「ぶわッ!」


 天使フェルミンが吹っ飛んだ。

 

 声とともに現れたのは……、


「なんすか、これッ? いったい、どうなってるんすかッ?」


 虎縞の髪に、毛皮のドレスを着た女悪魔。

 【暴食】の四翼、ボーリであった。

 

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