第七話 世界情勢……だけど二人には関係ない!
大和帝国 天魔高等学園
山崎健二と白浜 優が天魔高等学園に留学して4日が経過していた。『大和帝国』の極端なまでの男女比と惑星アースで常識となっている一夫多妻制度や『日本』とは異なる婚姻制度や常識に困惑はしていた。二人はコレも「異世界の文化だから」として全てを受け入れてるのは難しかったが割り切る事にした。その中で基本的にあまり物事を深く考えないでお調子者の山崎は『大和帝国』の生活も、極端な男女比や婚姻制度を除けば『大和帝国』と『日本』は似た文化な為に苦にならなかった。山崎からすると歴史の教科書に記載されている過去の『日本』にタイムスリップした感覚だが、彼には然程問題にはならなかった。
その中で白浜はまだまだ環境に慣れようと必死になっている様子。意識はしてないが無意識に山崎が生活面でフォローしている事もあり、あまり問題となっていなかった。ただやはり山崎よりも勉学に対しては真剣であるため『大和帝国』の名門校『天魔高等学園』の授業は山崎が付いていくのが精一杯で苦戦しているが、白浜は難なくとクリアしていた。
「やっぱり私は山崎君派!元気いっぱいで明るい感じが最高よ!なにあの保護欲の塊!」
「私は白浜君派かな。山崎君も悪くないけど白浜君の知的で優しい雰囲気が最高じゃない」
と、こんな感じで学園の授業が全て終わり放課後の教室に残っている女子グループの何人かは山崎と白浜の話題で持ちきりだった。
「山崎君と白浜君。誰と『何人』まで結婚するんだろう?」
「二人の様な女性の夢を体現した男性なら候補者が多そうだよね」
「私は絶対に立候補するわ!」
「私も!」
男女比が女性93%と男性7%の割合が世界的に平均である惑星『アース』。それ故にかつて『日本』の故郷である『地球』の中東地域では一般的であった一夫多妻制度が世界全体で浸透している為に、女子生徒達も正妻を望んで入るが、側室候補として立候補する事は珍しくなかった。
「二人の妻や側室になるのは難しいと思うわ。だって二人とも『複数』の女性と結婚する事に戸惑っているんだから」
「どうして?二人とも極端な女嫌いな感じはしないけど?」
「ほら、日本って男女比がほぼ一対一の国で、それもあって婚約制度も一夫一妻が当たり前って聞いたことあるわ。それで二人とも戸惑っていると思うわ」
「ええ!それ本当なの!?」
『日本』の婚約制度を聞いて驚く女子生徒達。
まあ、一夫多妻が当たり前で女性比率が極端なまでに高い惑星『アース』からすれば一夫一妻制度は常識的にあり得ない制度であったから驚くのは無理なかった。
「私も信じられないけど本当よ。しかも日本は男性国って言われてるけど実際は男性に凄く優しくはないわ。肉体労働の主力は男性とも聞くし、軍隊、警察、消防といった職業も男性が殆どなのよ」
「そんな!」
「ありえない!」
この世界の男性は基本的に女性に保護してもらう事が当たり前であり、故に肉体労働する事は殆どない。それどころか働かないで一生を過ごす男性もいるくらいだ。実際に『日本』は前の話でも触れたが男性に対する扱いが惑星『アース』ではダントツの最下位とされており、そのため世界各国から男性の扱いを見直せと非難されて『日本』はもの凄く困惑している。
「日本だと男性は特別な存在でもないから日本の女性は男性を選び放題で、女性に見向きもされないで一生を過ごす男性も入るって聞くわ。二人が留学する前の私達なの様に」
『日本』の男性の事実を聞いて絶句する女子生徒達。どうして国の宝である男性がそんな苦しい思いをしなければいけない。どうしてそんな最悪な待遇を受けても二人は女性にとって理想な男性で居られるのか?
『日本』の男性事情を聞いていくうちに女子生徒の一部は涙を浮かべる者もいた。
「だから二人は自分達が女性に特別視されないと本気で思っているのよ。ほら、二人が留学して4日たつけど二人とも凄く無防備でしょ」
「ま、まあ、それは確かに……」
「二人とも女性に対する警戒心が驚く位に低いもんね」
惑星『アース』の女性からすれば『日本』の男性は女性に対して無警戒に等しく警戒が甘い男性が多い事も有名であり、それが余計に世界的に日本男性の人気を強める要因の一つではある。
「でも、だからこそ私は二人を諦めたくないわ!絶対に私は二人どちらかの正妻、妥協しても側室候補に入ってやるんだから!」
「私だって!」
「私も!山崎君と白浜君と婚約するチャンスを逃したら一生男性と縁がなくなるもの!」
こうして日に日に山崎と白浜の二人と結婚しようとする大和女子達の人数は日に日に増えていく。現在のところ張本人の二人は、まだ知らない
ーーー
大和帝国 首都秋桜 大和帝国警察秋桜本部
現在『大和帝国』の全国から厳しい訓練により選び抜かれた選りすぐりのエリート達が『大和帝国』帝都の秋桜の警察本部に集められていた。大和帝国警察秋桜本部の第四会議室にて集まったエリート警官達は現在『大和帝国』で最も話題となっている男性国『日本』の男性留学生の警護を任された男性保護警官達である。
「では、これより日本男性留学生達についての会議を始める」
集まったエリート警官達を前に一人のキャリアウーマンを思わせる女性がそう告げて会議が始まった。男性保護警官は警察官の中でも男性保護や警護を主任務とする惑星『アース』にとっては最も人気が高い管轄の一つであり、国の宝と言われる男性をあらゆる面で守る事から男性との接触も多く任務中に恋仲になり結婚するケースも多い為に勤務を希望する女性警官はとても多い。
「知っての通り現在、日本から来た留学生が少数ではあるが我が大和帝国に留学生として来ている。君達の任務は日本人男性留学生を警護する事だ」
その言葉にエリート警官達の目がギラつく。
「日本人留学生受け入れ……本来なら日本の様な異例中の異例がある国家ならばこんな短期間で受け入れる事はまずない」
「ですが、無謀とも言われた留学生受け入れを少数とはいえ認めてくれました。しかし、こんな時期に男性留学生が傷の一つでも負い、日本人男性に訴えられでもすれば、我が大和帝国の国際信用は地に落ちる……ですね」
「そうだ。故に日本人男性留学生の警護は必ず成功させなければならない。軍の方でも特殊部隊が留学先の高校や大学に秘密裏に警護はしているが油断はするな。男性保護警官は常に男性と密接して行動する。男性保護警官が男性を守る最終防衛戦として覚悟しろ」
キャリアウーマンを思わせる女性の言葉にエリート警官は問い、キャリアウーマンの女性も、その問いに答えた。
「手元にある資料を読んでほしい。それが日本人男性留学生の確認された現在までの行動だ……」
言われた通りに机に置いてある資料を読むとエリート警官達は驚きが隠せなかった。
「男性がこんな薄着をするなんて無防備すぎる!」
「男性が女性を口説く?なに、その夢の様な展開!?」
「一人で街中を歩くなんて、男性が裸で無法地帯を歩く様なものよ……」
色々と惑星『アース』の男性の価値観が違う事に驚いていた。
「この様に、日本人男性は大和帝国の男性とは極端なまでに価値観が違い過ぎる。故に警護も我々のセオリーが通用しない事も懸念される。そのため、本来ならば一人の隊長を筆頭とした三人一組体制だが、そこで日本人男性の警護に関しては保険を込めて五人一組とする」
こうして大和帝国側も日本人男性に対する警護を本格化する様に行動していた。
「女性に対して無防備すぎる所はあるけど、資料を見る限りは日本人男性は優しくてお淑やかの様な理想な男性が多いようね」
「女性に笑顔で答えてくれるなんて、どんだけだよ……」
「こんな理想な男性が大勢いる……日本に行きたい」
「「「「確かに」」」」
護衛する男性の資料を見ながら、エリートである男性保護警官達は、早く日本人男性留学生と会う事を楽しみにしていた。




