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第一話 各国の思惑1


新世界歴659年 11月7日 日本側


日本が国家転移して一年が過ぎていた。何しろいきなり国家が異世界に転移して地球各国と連絡が取れなくなりネットが繋がらず孤立してしまい、挙句には日本国内にいた在日外国人や各国の外交官まで消滅という不可思議な現象まで起きたのだ。日本国内は大混乱となった。そして異世界に国家転移した事がわかれば国内は大混乱。特に異世界に転移や異世界国家と接触すれば日本の架空戦記物であれば訳もわからず戦争突入など当たり前にあり、何十年前に一部のマニアに流行った日本国○喚やGAT○自衛○といった内容を知る架空戦記好きは戦争の可能性大と警戒して警告。


無論架空戦記の様になるとは思いたくはないが、日本政府もファンタジー小説の様な現象に巻き込まれた現象には参っており、日本外交官は歴史学者や先程話した架空戦記マニア等に対策を学んでいた。何しろ本当にネット小説や架空戦記の様な展開になると事を恐れ、最大限の警戒を持って『大和帝国』との国交樹立むけて交渉した。結果としては『大和帝国』とは国交樹立は成功した。コレは下手な外交をしていきなり戦争に突入するという最悪な事態を想定していた日本政府はホッとした。


まあ『大和帝国』側からすれば男性と女性比率が一対一であり何千万という男性がおり、世界の女性達の理想に近い男性が沢山いる日本と戦争するという考え事態はなく下手に戦争して男性を殺したとなれば世界から非難されかねないのだが、最初の交渉の時点で日本政府は知る由もなかった。


こうして日本政府は『日本』で問題となっていた資源、食料といった問題は『大和帝国』経由で国交樹立がスムーズに進み地球にいたとき程に経済が回復した訳ではないが問題を解決していった。そして日本政府は『大和帝国』より兼ねてより強い要望があった『大和帝国』に日本の留学生を送る事に対して、まだまだ惑星『アース』対してわからない事が多い日本政府としては難色を占めたが、惑星『アース』各国の国交樹立や常識に対して『大和帝国』に多大な恩もあり下手な対応ができない日本政府は、大多数はまだ不可であるとして少数ではあるが男性の比率を多くして留学生を『大和帝国』に送る事を決定した。


ーーー。


大和帝国側 皇居


「そうですか……日本は留学生の件を受け入れてくれたのですね」


歴史を感じる和服を着ている穏やかな表情が特徴な十代後半の和美人の女性。だが、その若い見た目からは想像できない高貴ながら威厳を感じさせる感じは、特に日本の男性は絶滅危惧種である大和撫子と絶賛するだろう。


彼女こそ、若いながらも『大和帝国』の頂点に立つ天皇である篁真矢たかむらまやである。


「よくやってくれました喜美。大儀です」


「ありがとうございます陛下」


島田首相は頭を下げてそう呟く。


「これで初めの目標は達成出来ました。ですが我が大和に留学生としてくる日本の殿方に不快な思いをさせては全てが台無しです。その辺りを大事ないですか?」


「それはご安心ください陛下。日本の男性留学生には厳しい選抜で選び抜かれた男性保護警官の中でも選りすぐりを選抜しており、更に陸軍、海軍の中にも精鋭の中の精鋭な兵士を護衛に着かせる様にしています」


「わかりました喜美。貴女の言葉を信じます。是非とも日本の殿方には我が祖国大和を第二の故郷と思わせる様にするのですよ。他の国に遅れを取る事は許しません」


「無論です。日本は大和と類似性が強い男性国家です。殿下の期待にこの島田、必ず……否、絶対に答えます」


最初に『日本』と関係を持った強みを生かして、より関係を強固にしようと『大和帝国』は動く。


ーーー。


ユニオン王国 アトランタ宮殿


ユニオン連邦はかつて惑星『アース』の陸と海を事実的にすべて支配したと言われた国家。しかし初めて経験した国家総力戦による全世界を巻き込んだ戦争の影響により、植民地の大多数は消失により影響力も低下したが、それでも列強国の中では未だに上位に位置しており、世界の影響力も強い。世界的にも国家の男性比率は8%と世界標準を1%上回っている。


「まさかヤマトに先手を打たれるとはね」


十代後半のロングヘアーが特徴の金髪の白人のクラリッサ女王は呟く。彼女も『大和帝国』の篁真矢と同様に十代と若い指導者であるがその才覚は真矢同様に劣らない指導者としての器を備えていた。


「申し訳ありません女王陛下。まさか普段は後手に回るヤマトが、あそこまで積極的に、かつ大胆に行動するとは……」


「言い訳はいいわ。男性国家が最初に国交樹立を望んでいるという黄金より魅力な物を前に出されてはどんな国家も積極的に動くのは当然よ。それよりも、大量の石油や黄金よりも絶対に他国より早く入手しなければいけない情報がヤマトがニホンと国交樹立した時なんて……情報部はいったい何をしていたのかしら?」


笑顔で穏やかに呟いた言葉だが、クラリッサは明らかに怒気を発していた。コレには多くの重鎮達は冷や汗を流し恐怖していた。


「そ、それはニホンがヤマトと近くに転移した為に発見が……」


「だから言い訳は聞きたくないわ。ヤマトが厳重に情報統制しても、私のお母様の代の情報部なら直ぐに情報を入手してヤマトより先にニホンと接触する事も造作はなかったわ。いい加減に今の情報部の怠慢が男性国家とのアドバンテージをヤマトより遅れを取った事実を認めなさい。それ以上言い訳を言うなら私も今以上の処分を情報部に考えないといけないわね」


その言葉に情報部高官は自分の待遇がどのようになるか悟り、それ以上は何も言わなくなった。


「いい。ヤマトに遅れは取った事実は変わりはないわ。でも、最後に笑うのは私たちユニオンよ。ニホンを絶対に私たちユニオン陣営に加える様にしなさい!」


かつて世界を事実的に支配した世界最強の国家である『ユニオン王国』は『大和帝国』から『日本』を自分達の陣営に加えるべく積極的に動き出す。


ーーー。


アメリア合衆国連邦 スターダストハウス


アメリア合衆国連邦。元々はユニオン王国が開拓した新大陸の植民地の一部でしかなかったが植民地時代のユニオン王国の横暴な搾取に反発し、市民兵が多大な犠牲を払い独立をした国家である。そのため『大和帝国』や『ユニオン王国』と違い、アメリア合衆国連邦は『日本』の地球各国最強の国である『アメリカ合衆国』と政治体制が類似している。


十数年前に勃発した初の国家総力戦の世界大戦勝利に貢献した事を皮切りに惑星『アース』において世界最強の国家としての地位に君臨している。


「あの腹黒国家ですら出遅れたのだから下手に攻めるつもりはないわ」


アメリア合衆国連邦大統領の白人の中年女性のレジーナ大統領は、そう呟き冷静に集まった幕僚達に応える。


「男性国家である事も魅力的なのは事実だけど、下手に追い詰めて敵には回したくわないわね」


「しかし大統領。私はにわかに信じがたいです。本当にニホンという男性国家が、この資料に書いてある通りに壮絶な経験をしたのですか?」


その資料には『日本』が産業革命を成功させ列強国の一員となって進んだ歴史資料が書かれていた。『魏覇連邦ぎはれんぽう』と類似性がある『清国』との産業革命を果たして行われた最初の戦争である日清戦争や『コザック共和国』と類似性がある『ロシア』との日露戦争や、そして祖国『アメリア合衆国連邦』と類似性がある『アメリカ合衆国』との太平洋戦争。


大国三国の戦争は『アメリア合衆国連邦』の幕僚達や軍の高官達を驚かせるには十分な内容であった。特に太平洋戦争末期の『旧大日本帝国』が実際に使用した特攻兵器や『アメリカ合衆国』が『日本』に対して使用した核兵器等は軍部高官達から「絶対に国民に見せられない」と、言わしめ、同じ連邦制の国家が男性国家に対してあの様な悪魔の兵器を使用した事に驚きが隠せなかった。


「全部事実である事は間違いないわね。今はニホンは比較的に温厚な国家である事には変わりはないわ。でも下手に追い詰めれば資料に書いてある様な全軍死兵となって我が合衆国に逆襲するわ。わかった事はコレ程の潜在能力が秘めたバイタリティがある男性が大勢いる事実。私が言いたい事はわかるわね……」


欲を言えば『日本』を『大和帝国』より引き離して此方の陣営に引き入れたいが、国民感情も考慮に入れて下手な刺激もまずい為に『日本』も『大和帝国』を此方の民主主義陣営に引き入れて敵対関係にある共産主義国家に対応する為に動き出す。


ーーー。


コザック共和国 コザック宮殿


元々コザック共和国は、コザック帝国という帝政国家であった。しかし、王族や貴族の過酷な搾取に反発していた民衆を王族や貴族は弾圧したが初の国家総力戦である世界大戦で敗北して王族や貴族の影響力が低下し、民主主義革命が起きようとしたが、コレにペラゲーヤという社会主義革命家が民主主義革命に異を唱え、人民は平等であるべきと民衆に主張した。


このペラゲーヤの演説に大勢の市民が賛同。元々王族や貴族の作手や戦争の敗戦により、心身共に疲弊していたコザックの民衆は社会主義に共感して、帝政を打破する為に大勢の民衆や平民出身が大多数を占めていた軍隊の大半も革命派に合流した。こうして、多大な犠牲を払い、国家に大打撃を与えつつも革命によって帝政を打破した。その爪痕はまだ残っており、他の列強と比べると技術力で劣るものの、人口は列強の中でも群を抜いており、列強の中では最強の陸軍国家として軍事力は世界で二番目として名を馳せている。



「ヤマト帝国と同じようにニホンの留学生を我が国で受け入れる件はどうなりました?」


「それが同志ユリーナ。ニホンは現在様子を伺っているようです。現状はヤマトだけに留学生を送るようで他の国も打診していますが受け入れは難しい様です」


「く、ヤマトに先を越されましたか……」


現在のコザック共和国最高指導者である、銀髪が特徴的な二十代後半の白人女性のユリーナは悔しそうな表情を浮かべる。


「ですが安心してください。ニホンの留学生を我が国に受け入れる事は現状難しくなりましたが、ヤマトに留学生を送り、ニホンの留学生と接触する事は不可能ではありません」


「可能なのですか?それにヤマトの方も他国がその様な対応をする事は理解している筈です。下手に他国の留学生を自国に入れてニホンの留学生に問題を起こす真似はしたくない筈です」


「ええ、無論承知しています。ですがニホンは現在ヤマト以外にも友好国を増やしたいと思っている筈。何しろニホンは地球という惑星で自国が築き上げた経済圏を失って日が浅いのです。直ぐにでも元の国家基盤を回復させる為にもニホンも必死。そこに付け入る隙はあります」


「わかりました。ニホンの留学生の対応は貴女に任せます。ですが、くれぐれもニホンに不信感をこれ以上強くたれないようにお願いします。何しろ我が国は社会主義国家の始まりの国というだけでニホンはかなり警戒心を持たれていますから」


『日本』が惑星『アース』の社会主義国家の始まりの国の『コザック共和国』を警戒するのも無理はなかった。第二次世界大戦の時や冷戦時代にも『ソビエト連邦』時代の『ロシア』にかなりの被害を受けており、『コザック共和国』の樹立した経緯もかなり『ソビエト連邦』と似ている為に『日本』は他の国以上に留学生を送る事を躊躇していた。


『コザック共和国』からしたら傍迷惑なトバッチリだが地球にいた時に『ソビエト連邦』のやらかした内容を知っている『日本』は『コザック共和国』を冷戦時代の『ソビエト連邦』と同じと認定しており、惑星『アース』の仮想敵国の一つとして認定されつつある。それを理解しているユリーナは『ソビエト連邦』とは違うとして『日本』に対して自国の負のイメージ払拭をしようと四苦八苦していた。


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