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第十三話 仲良し三人組の場合


築島 穂乃果の場合



天魔高等学園で注目を集めている男性二人。山崎健二君と白浜優君。男性と女性比率がほぼ均一という非常識な男性王国とも言える『日本』から僕達の祖国『大和帝国』に来た男性留学生。山崎君と白浜君は転校初日で僕達の心をガッツリと掴んだ。元気いっぱいで女性に対して嫌な顔しないで僕達とたくさん話をしてくれる山崎君。まるで神話の男神の伝承で聞く様な整った顔立ちと高身長と物静かに優しく微笑んで山崎君よりは積極的に話さないけど、こっちも山崎君同様に女性に対して嫌な顔しないで優しい口調で話してくれる白浜君。


本当に二人が来てから学園のみんなは凄く女性としての身嗜みに気を使う様になり、言葉使いも粗相がない様に練習している同級生や上級生の先輩達もたくさん見かけた。何しろ僕達の学園は『大和帝国』屈指の名門校で卒業後は軍の士官学校や五本指に入る名門大学に進学する生徒ばかりだ。僕達の学園は名目上は男女共有化の学園だけど、国の次世代の人材を担う為の学園だからカリキュラムも男性や女性だからって関係なく厳しくて一年を待たないで脱落する生徒もいるくらいだ。その中でも例外なく勉強についていけなくて脱落してしまう男性も多く、最近は男性に対して苛烈だと非難されるくらいだ。


特に問題となっているのは世界男性保護委員会の要望で、世界各国共に男性の安全を守る為に女性と男性を分ける女子校と男子校を分ける様な要望だ。コレが原因で最近は男性校の波が進んで僕達の天魔高等学園も名ばかりの『男女共学』になってしまった。そんな状況を壊してくれたのは山崎君と白浜君だ。さっき話したけど二人が来てから天魔高等学園の女子生徒達は女性としての身嗜みや言葉使いを強く意識する様になった。勉強や運動ばかりで化粧品に対する関心が薄かったのに美容関連の雑誌を購入してお化粧する女子生徒達や礼儀作法や言葉使いを直す為に学校終わりに茶道を学びに行く生徒もいるくらいだ。


そんな僕も今は他の女子生徒達と同じ様に山崎君達の虜になっているけど、僕は最初は男性が二人が留学生として来ると聞いても関心が薄かった。最初に声をかけて歓迎会に誘ったくせに何を言ってるんだと思うけどコレは本当だよ。


僕は人工授精で産まれた子供。今どき父がいない事も珍しくないから何処にでもいる母子家庭。生まれ故郷は帝都秋桜とは比べ物にならない田舎村。地元には数少ない希少な男性はいたけど基本的に田舎の村ほど男性は家族の宝として扱っていている家庭が多いから村の家から出さない様にしているから僕は一度も合わなかった。だから天魔高等学園に入学するまで本物の男性に出会った事はないし、僕にとって男性は小説や神話に出てくる物語の登場人物という印象しかなかった。


『大和帝国』屈指の名門校『天魔高等学園』に入学すれば希少な『男性』と接点が出来ると入学した女子生徒の誰もが興奮してたけど、一度も『本物』に出会った事もなかった僕はイマイチ実感が湧かなかった。それに入学してしばらくして『天魔高等学園』の先輩達に言われた事が僕は男性に対する関心を薄めた。


「いい、男性に対して変に理想像を抱かない方がいいわ」


たったそれだけ男性と接点がある先輩に僕達は警告されて言われた。その意味を『天魔高等学園』に一年に数回ある男性との交流会で僕は理解した。普段はおしゃれする事がない女子生徒達も『男性』との交流会と聞いて気合を入れて化粧をしてめかしこみ、名門校という事もあり、僕の様な田舎生まれの百姓とちがって名家の生まれの人もいて、名家の人達は化粧専属の人を雇っておしゃれする人もいるから、男性との交流会に気合を入れる事がよくわかった。


「早く僕を案内しろ!」


「僕は大和帝国の代表だ!代表に対する扱いがなってないな!クズども!」


傍若無人な振る舞いをする男性達。僕はこのとき先輩達が言った言葉を理解した。現代の男性達は希少という事もあって僕の様な百姓の生まれでも厳しく教育しない。国の宝として生まれた男性達は自分の求める要望が拒否される事なく誰からも守られて育つから自分が特別である事を疑問に思わないらしい。だから僕達女性に対しては百姓以下の奴隷という認識を持つ男性は多いと後から先輩に教わった。


だからだろう。周りは横暴な態度な男性を殿様の様だとして魅力だと言ってるけど僕はそうは思わなかった。あんないかにも甘やされて育って贅肉の塊や、いつ折れておかしくない枝の様な体格の男性の何処に魅力を感じるのだと思っていた。僕は男性に対して高望みしすぎだって先輩や同級生は言うけど、今の時代は人工授精で子供を産めるんだから男性に執着する必要性が感じなかった。


そんな風に男性に幻滅して男性熱に冷めている時に僕は山崎君や白浜君に出会った。男性国『日本』からの留学と聞いたけど男性に幻滅していた僕は最初の『男性交流会』の時に出会った『最悪』な男性を想像したけど想像とは全く違った男性が転校してきて僕に衝撃が走った。いや、あの時はクラスメイトの誰もが衝撃が走った事は理解しているし、いつもあがり症で積極的に前に出れない桜も、本の虫で僕や桜以外とは交流しようとしない志野も同じ様に山崎君や白浜君に興味を抱いていたのだ。


僕達女性達に対してあんなに敵意や悪意もない純粋で綺麗な瞳と、無防備とも言える危うい隙の多さ、そして女性達に対して作り笑いでもない本物の笑顔を向けてくれる優しさ。初めは僕もどうして男性が女性に対してあんなに優しくしてくれる事や、野獣の様に男性と『ヤル』事しか考えない女性も多いのにあんなに女性に対して無防備でいられる事に僕は最初はわからなかった。でも歓迎会から山崎君や白浜君と一緒に行動する機会が増えたら二人の優しさは『本物』だって僕は理解した。何よりも僕は男性に対して扱いがガサツだって言われて注意されてるのに山崎君は……。


「俺は穂乃果達と一緒に遊べて楽しいぜ。穂乃果の様な可愛い女の子と接点があるなんて知られたら地元の野郎達から嫉妬されちまうよ」


可愛い……山崎君は僕を『可愛い』って言ってくれた。女性が男性に言われたい言葉を僕にお世辞もなく言ってくれた。周りからガサツで女の子らしくないって言われたのに、そこから僕は本当に山崎君を好きになってしまった。山崎君は留学生だから『大和帝国』にいる期間は短いけど、僕は山崎君を諦める事ができない。山崎君は僕の初恋の相手なんだ……僕は断言するよ。ここで山崎君を逃したら山崎君以上の男性と出会う事は一生ない。だから山崎君……男性に幻滅した僕の心をここまで射止めた責任は絶対にとって貰うからね。


ーーー


天宮 桜の場合。


わ、私は天宮 桜です。私は現在『日本』の留学生二人組の山崎君と白浜君と一緒に行動する事が多いです。も、もちろん私一人だけじゃなくて友達の穂乃果ちゃんや志野ちゃんと一緒に行動しています。山崎君と白浜君はとても優しい男性です。交流会の時に『男性』に相手にもされなかった私に山崎君と白浜君は友達の穂乃果ちゃんや志野ちゃんと同じ様に優しくしてくれます。


山崎君や白浜君と一緒に行動してから私は男性に対して苦手意識はなくなりました。わ、私は自分で言うのも何ですか『大和帝国』が統一される前から存在する武家の家系に生まれた三女です。そ、そんな私は武家の家系に生まれた私は男性達とも出会う機会があるのですが、どのお方も凄く誇りが高くて気性の強い人ばかりで私の様な女性なんて見向きもされませんでした。それから男性に酷い罵声を浴びせれる事も多々あり、私は男性に対して苦手意識を持つ様になりました。


でも、そんな時に山崎君と白浜君に出会いました。二人は『大和帝国』の男性達とちがって非常に優しくて紳士的な人達です。穂乃果ちゃんの様に元気いっぱいな山崎君と、知的で優しい笑みが特徴で美の男神とクラスメイトから言われている白浜君。私はとにかく女性に対して凄く優しい二人に出会い、穂乃果ちゃんや志野ちゃんと一緒に行動するうちに男性に対する苦手意識がなくなってきました。あまりの嬉しさに実家に山崎君や白浜君二人と接してきた事に対してお手紙を書いたらお母様やお姉ちゃん二人からこんな返事が来ました。


「いい桜!絶対に逃したちゃダメよ!貴女の男性恐怖症を治した慈悲深い男性と結婚しなさい!」


「大学生になっても婚約どころか付き合ってもいない私に対する当て付けか桜!それはそれとしてその男性二人を紹介して!」


「出来れば有名な男性国『日本』の優しい男性を紹介してくれないかな。私も貴女の様な出会いが欲しいの!」


お母様は結婚しなさいって言うけど競争率は凄く高いんだよ。クラスメイトもそうだけど同級生や先輩達もそうだけど、先生達も山崎君や白浜君を狙ってるから今から争奪戦に参加しても難しいと思うよお姉ちゃん。


穂乃果ちゃんは山崎君を逃したら一緒後悔するって気合を入れてるのがわかります。穂乃果ちゃんの様に積極的にいけないけど私も頑張ります!


ーーー。


春日部 志野の場合


山崎君と白浜君。二人はいま『天魔高等学園』で凄く注目を集めてる男性。歓迎会をきっかけに私の数少ない友達の穂乃果と桜と一緒に行動する事が多くなった。そのせいで周りからのやっかみや嫉妬が凄い。まあ、いま学園で一番の注目を集めている男性二人と一緒に行動してるから仕方ないけど。


穂乃果は山崎君に積極的にアプローチをかけてるけど、私は白浜君が好き。白浜君とは本の話題で話が合うから白浜君の日本の有名な小説の話や好きな本のジャンルの話をしていて凄く楽しい。それに私の様な本の虫で喋る事が得意でもなく、穂乃果や桜と比べてちんちくりんで幼女体型の私を白浜君は馬鹿にしない。


「人それぞれ個性があるから僕は一概に決められないよ。それに志野さんには志野さんの魅力があるから」


そんな感じに言ってくれた男性は初めてだ。男性交流会の時の男性は私の幼児体型を凄く馬鹿にしていたのに、白浜君はお世話もなく私の口下手も幼児体型も個性の一つとして認めてくれて嬉しかった。


だから私は白浜君の事が好きだ。穂乃果が山崎君にゾッコンである様に私は白浜君にゾッコンだ。私の様なめんどくさい女に優しく接して私を認めてくれる男性は山崎君と白浜君しかいないと断言できる。穂乃果が山崎君との結婚を考えて行動してる様に、私も白浜君の結婚を考えて行動する。白浜君は山崎君以上に女性達からの人気が高くて競争率も高いけど、基本的に白浜君と一緒に行動している事が多いのは桜と私。一緒にいる機会が多い事を活かして私は白浜君と結婚してみせる。白浜君は留学生で『大和帝国』の滞在期間が短いけど私には関係ない。


白浜君。私も初めて気づいたけど、私は一度好きになった男性に対して諦めたくない。他の女性に目移りしてもいいけど、私は白浜君にふさわしい一番の女性になる様に頑張るから覚悟してね。


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