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第十話 ユニオン留学&男性保護委員会


大和帝国 帝都秋桜 天魔高等学園


「あ、山崎君、白浜君。先輩から聞いた話なんだけど、今日ユニオン王国の留学生が私達のクラスに来るんだって」


「へえ、俺達以外の留学生。ちょっと楽しみだな白浜」


「そうだね山崎君。僕も大和帝国以外の国の文化に興味はあるから良い人なら話を聞いてみたいな」


SHRが始まる前に、クラスメイトの女子生徒から新たな留学生が来ると聞いて興味を示す山崎と白浜。


「でも気をつけたね二人とも」


「ユニオンって腹黒で有名な国だから」


「外交官をやってる私の叔母さんもユニオンには色々とやられて苦い経験したって聞くから」


「特に山崎君と白浜君は貴重な男性なんだから、腹黒ユニオン貴族の口車に乗ったらダメだよ。世界で『ユニオン人とは交渉するな』て言われるくらいに腹黒の集まりなんだからユニオン人は……」


「ヨーロピアン一の嫌われ者だからね」


と、女子生徒達は山崎と白浜に気をつける様に言った。実際に女子生徒が言った様に惑星『アース』では『ユニオン王国』は腹黒貴族の代表と言われる位に世界から警戒されてる国家である。『ユニオン王国』の国土も対して広くなく、資源も少ない島国である『大和帝国』とドッコイドッコイなのに、一度は惑星『アース』の陸海を事実上全て支配したと言わる所以も軍事力もさる事ながら、他国を圧倒する諜報機関や外交力が主な理由であり、そのため現在は『アメリア合衆国連邦』や『コザック共和国』に一歩劣る国家であるが、それでも列強第三位の国力は保持している。


「はーい皆んな席に座って」


『ユニオン王国』から来る留学生の噂話をしていたらチャイムの鐘が鳴り、一年三組の担任の先生が入ってきて直ぐに話を中断して席に座る。『大和帝国』の全国からエリートが集まる学校なだけあり規律がしっかりしてる。担任の先生が来ても一部は話を辞めずに何回か注意してやっと終わる俺の学校の連中とは大違いだなと、改めて思う山崎であった。


「知ってる人もいるけど、今日わたし達のクラスにユニオンの留学生が転校して来ました。入って来てください」


「失礼します」


流暢な日本語……いや惑星『アース』では大和語であるが、現地の人間と変わりない言葉で挨拶をする黒のセーラー服が特徴な天魔高等学園の制服を見に纏う金髪の女性が教室に入って来て挨拶した。


「ユニオン王国から来ましたキャロル・アークライトです。皆さんよろしくお願いします」


様になっている正しい姿勢からのお辞儀と立ち振る舞いに、礼儀正しい貴族のご令嬢といったイメージが似合うと美少女だなと山崎と白浜は同じ感想をキャロルに抱いた。そんな中、クラスの何名かはキャロルの家名を聞いてザワザワと騒ぎ出した。


「え、アークライト?本当にアークライト家のご令嬢なの?」


「アークライト家なんて、ユニオンの名門の中の名門貴族じゃない」


天魔高等学園は名門校。名門校であるため大商人や高級士官を親に持つ生徒もいるために、ユニオンの重鎮に対する知識も豊富であるためアークライト家と聞いて驚いていたのである。


「皆んな静かに、じゃあキャロルさん。空いてる席に座って」


空いてる席。そこは山崎の隣である。それを理解した女子生徒達の大半はキャロルに殺気を篭った視線を浴びせる。


「はい」


しかしキャロルは社交界で男性と触れ合う機会も多い。そのため現在に匹敵する殺気も女性貴族達から浴びせられ経験があったキャロルは気にもしないで山崎の隣の席に座った。


「よろしくお願いしますヤマザキ様」


「あ、どうも」


笑顔で山崎に返事をするキャロルに山崎も返事を返して頭を下げた。山崎はアニメ・漫画・ドラマに出て来そうな貴族令嬢を思わせる上品な貴族様に挨拶されて、自分の様な野郎に返事をしてくれて不思議に思っていた。


ユニオンの名門貴族アークライト家のご令嬢の転校を気に山崎や白浜を巡って争う天魔高等学園の乙女達の仁義なき戦いが始まる事になる。


ーーー。


大和帝国 帝都秋桜 世界男性保護委員会大和支部


「今回の男性保護議題は日本の男性の待遇についてです。日本の男性に対する扱いが酷すぎます!何ですか!世界の宝でもある男性に対する冒涜な内容は!」


男性保護委員会の大和支部会長である高野愛たかのあい会長は、会議室に集まっている男性保護委員会職員と、日本より招かれた政治家数名に対して『日本』の男性の『常識』に対する大量の資料を机に叩きつけて断言した。


なお、世界男性保護委員会とは惑星『アース』の国連ともいう組織である世界列強代表連盟という組織が作り上げた。その名の通りに世界の男性達の保護や待遇に対する事を目的とした組織であり、世界男性保護委員会は世界各国の男性に対する扱いのランクもつけており、このランクは惑星『アース』に住む男性達は安全性や自分達の待遇の目安にしており、ランクが低ければ男性達はランクが高い国に亡命や非難の材料にする件もあり、列強国も世界男性保護委員会は無視できない存在である。


「我々男性保護委員会は、男性待遇『最下位』の日本に対して男性の待遇改善を要求します!」


「冒涜ですか……しかし日本には『地球』で築き上げた長年の価値観があります。こんな日本にとって非常識な『男性優位』な内容は受け入れられません!地球の女性達が長年『男性』に対して苦労だけでは表せない苦難の道を歩んで来ました!ここまで苦労して女性達の立場が改善した苦労を水の泡にしろと言うのですか貴女達は!」


コレに対して日本の政治家から初老の女性政治家である佐藤幸子さとうさちこ議員も負けじと反論。彼女は『地球』にいた頃より長年に渡って女性に対する地位向上を目標にしてきた政治家である。日本の女性の更なる社会進出や労働改善に対する事で、真っ向から日本の男性政治家と戦い女性政治家達を引っ張ってリーダー格の一人であり、その影響力故に次期総理になるのではと、言われる位に実力もある女性政治家である。


「女性の待遇!……今でも日本の女性達は恵まれています!いえ、恵まれすぎです!貴女は今でも恵まれていないと言うのですか!」


「ええ、恵まれていません!真の男女平等とは程遠いと断言します!私こそ大和帝国の行きすぎた男性優位な条約を改善するべきです!」


なお、この会議を参加して戦慄した表情と胃に穴が開く感じで聞いている補佐として来ている他の日本女性政治家達は頭を抱えていた。何でよりにもよって惑星『アース』では国際関係で一番問題となるこの会議に、女尊男卑筆頭格の佐藤幸子議員を参加させたんだよと日本女性政治家の誰もが思った。


確かに日本の現状からすれば男性保護委員会の示した『最低ライン』の内容も難しい事は確かだ。でも、だからって……この会議で真正面から喧嘩をしかねない、いやもうしてるけど、どうしてこの議員を会議の代表に選んだ!?


「日本は男性がいなくなっても良いと!」


「この程度で日本の男性が国内からいなくなることはあり得ません!」


頼むからこれ以上喧嘩を売らないで!と、日本の女性政治家達の誰もが頭痛で頭を抱え、そしてこの会議に女尊男卑筆頭格の佐藤幸子を代表として選んだ上層部に絶対に恨みますよ!と、誰もが考えが一致した。


ーーー。


時間は戻って天魔高等学園。ユニオン貴族が留学生として山崎や白浜のクラスに編入してきた。そんなキャロルは、午前の授業が終わり昼飯も食べ終わり、昼休みに入って教室で休んでいる男性である山崎と白浜に接触した。


「改めてご挨拶を、私はユニオン王国より来ましたキャロル・アークライトです」


「俺は山崎健二。同じ留学生同士よろしく」


「僕は白浜優。山崎君と同じ日本から来た留学生だよ。」


当たり前の様に二人は普通に挨拶を返して握手する。握手が終わると二人にキャロルは微笑む。


「やはり噂通りにヤマザキ様もシラハマ様もお優しい殿方なのですね」


またこの反応だよと二人は目を合わせて苦笑いする。山崎も白浜も、こんな絵に描いた様な、理想の美人はこうあって欲しいを体現した人を蔑ろにする方が可笑しいだろうと二人は思っている。実際にクラスメイトで一緒に行動する事が多い三人組の桜、穂乃果、志野の三人組も美人であるのに男性から蔑ろにされる。


この『世界』の男性はどれだけワガママで傍若無人なんだよと二人は同じ事を思っていた。


「俺達は普通だよな白浜」


「そうだね。逆にいつも僕達を過度な位に助けてくれるクラスメイトの皆んなや寮のオバさん達に申し訳ないくらいだよ」


「だよな。俺は別にそんなに気を使わないでいいって言ってるんだけどな」


二人にの言葉を聞いたクラスメイトの大半は「ぶわぁ!」と、涙をながして感動していた。前に穂乃果が話した様に、男性に出会う機会が少ないのに男性から軽視される女性が多い昨今、そんな中で山崎や白浜の様に男性から感謝の言葉を貰うのは惑星『アース』の女性達にとっては本当に感謝の極みに達する位の名誉なのだ。


「いいえ、お二方は慈悲深くお優しい殿方です。ヤマザキ様とシラハマ様の話を聞いて確信しました。私達の国の男性は世界から見ても特にプライドが高く、女性が男性の世話をするのは当たり前と思い、逆に自分達の世話をできる事が名誉だと発言する男性も珍しくありません。ヤマザキ様やシラハマ様の様に女性に感謝を口にする男性がいると本国で話したら、恋愛小説の読みすぎと同じ貴族達から笑われるレベルの話ですよ」


「そ、そうなんだ……」


やっぱりこの世界の女性って凄く苦労してるんだなと改めて思う二人であった。そして本当にそんな男性と一緒にされたくもないと思っていた。


「で、ですからその、今度の休みにお二方を私のお屋敷に「はーい下がって下がって」何ですか貴女達は!?」


山崎と白浜の盾になる様に立ち塞がったのは、クラスメイトで特に仲が良い桜、穂乃果、志野の三人組であった。


「悪いけど山崎君も白浜君も腹黒ユニオンの好きにさせないからね」


「そ、その、今度のお休みは、私達三人が二人と遊ぶお約束があるんです!」


「……ダメ」


「は、腹黒!?私は純粋にお二方と仲良くしたいだけです!」


「ユニオン人の言う事ほど信用できるか!!」


そう言って三人は山崎と白浜を手を強引に握って教室から飛び出した。


「山崎君、白浜君!腹黒ユニオン人から離れるよ!」


「つ、ついてきて下さい!」


「……二人とも来る」

 

こうして山崎と白浜に仲良し三人組である桜、穂乃果、志野の他に、ユニオン王国の貴族令嬢であるキャロル・アークライトが加わり、更に騒がしい学園生活が始まるのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ぺろっ、これは新ヒロインの匂い! 貴族令嬢はいいですね(感動) ただし、実家は全盛期イギリスの名門中の名門(白目) 腹黒どころか全身黒の上、黒いオーラが吹き出す存在なんだよなぁ。 …
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