ただの登校です。(前編)
眠い。
ろくに支度もせず眠りについた私は、30分程度の睡眠の後急いで支度をする羽目になってしまった。
こういった睡眠は十二分に睡眠をとっていても眠気に襲われ、寝てしまういわゆる「睡眠癖」というやつだ。
支度を10分で済ませ、急いで階段を駆け下り、母親が用意してくれた弁当をカバンにつっこみ、玄関から自転車まで走る。
走ったせいか便意と尿意を感じるが、我慢する以外に選択肢はないわけである。
自転車にまたがった私は思いっきり足裏に交互に体重をかけ、前に進めた。
かかった重みでギアが最大であることを確認する。軽ければギアを確認し最大に直すだけである。
こういった一連の流れをいつも機械的に繰り返しているわけであるが、とあるところのみこの流れが不確定なものになるのだ。
私の家から学校までの道のりに割と急な坂がある。
行は下りで自転車で下ったときの感想は夏場は天国、冬は地獄といった具合だ。
しかし天国だろうが地獄だろうが、そこだけは気を抜いてはいけないのである。
自転車で坂を猛スピードで下って行っているわけだが、大通りとの合流地点で車が渋滞している。
これもいつもの事なのだがここでは私は慣れない感情に襲われるのだ。
――恐怖。
(あたらないでくれよぉ……)
と、誰に願うかもわからず、ただ己の運命を信じるだけの私がそこにいた。
横から出てくる人影。
下からくる車。
滑りやすい床。
ここで失敗すれば終わるであろう人生。
あらゆる感覚を研ぎ澄ませ、一瞬の異質な動きも逃さないようにする。
その目はものを睨み付ける目であった。
逵?縺??