現実世界と仮想世界
今回は残酷な描写が含まれるので、苦手な方は飛ばし読みをして下さいm(_ _)m
今回は、現実世界です!
主人公が久し振りに登場ですε-(´∀`; )
ここは、現実世界。
一台の白と黒の塗色をした車、所謂パトカーが赤色灯を点灯し、サイレンを鳴らし空中を緊急走行している。
そのパトカーの車内には、雲河原警部補と大野巡査が乗車していた。
俺と大野さんは、現在飛び降り現場へ急行中だ。
110番通報で、「若い女がマンションから落ちて来た。」と言うものだった。
「女性は、大丈夫でしょうか?」
まだ、大野さんには飛び降り現場の経験が無いので分からないだろうが、下の階から落ちない限り、大抵は悲惨な現場だ。
「……下の階から落ちていれば、打ち所が悪くない限り、足の骨折程度で済むだろう。しかし、上層階から落ちれているなら、……身体はぐしゃぐしゃだろう。」
申し訳ないかもしれないが、今回はマンションの下に人がいなくて良かった。
落下地点に人がいた場合は、その人も危険だっただろう。
今回が事件なのか自殺なのか事故なのか、早く初動捜査をしないとな。
現場に到着すると、既に先着していた風雅と番匠の姿があり、現場保存をしていた。
風雅達の後ろには、ブルーシートが広げられており、辺りに血痕が飛び散っている。
「……神。」
風雅は、首を左右に振った。
既に落ちた者は、亡くなっていると言うことか。
俺がブルーシートを捲ると、鮮血と肉片が飛び散り、転落者の判明がつかない状況だった。
「身元は判明したか?」
「溝口千夏、このマンションの8階に住んでるようだ。」
溝口千夏? それって、この間俺と大野さんが取り扱った別れ話でトラブルになっていた当事者じゃないか!?
「前に扱ってるな。……第1発見者は?」
「あそこにいる男、古橋悟って奴とあっちにいる女性がそうだ。通報したのは女性の方だ。」
やはり、あの男か……これは、男女間のもつれによる殺人の可能性も出てくるな。
風雅に確認したところ、通報したのは古橋悟ではなく、通りかかったマンション住人の女性らしい。
通報した女性は、マンションに帰って来たところで、溝口千夏が落下しているのを目撃したそうだ。
落下した溝口千夏に近付く際に、古橋悟も一緒に近付いていたそうだ。
俺は、古橋悟から事情を聴取するため近付いた。
「この間、現場にいた雲河原です。」
「ああ、この間の。」
「第1発見者だそうですね。失礼ですが、本日はどうしてここへ?」
「この前の件で、もう一度話し合おうと思って、ここへ来たんです。……そしたら、マンションから落ちてくる人が見えて、近付いたら、ち、千夏だったんです。」
偶々今日話をしに来て、落ちてくるのを見ただけだと言いたいのか。
「……その時に上に人影などは見えませんでしたか?」
「いえ。見ていません。上を見る余裕もなかったです。」
元婚約者が亡くなったというのに、随分と冷静に受け答え出来るじゃないか。
取り敢えず、部屋の様子から見に行くか。
部屋で争っていれば、室内が散乱しているだろうし、自殺なら遺書があるかもしれないからな。
俺が溝口千夏の部屋へ入ると、室内は整然としており、争った形跡は見られなかった。
「係長。こっちに遺書がありました。」
大野さんに呼ばれて、発見した遺書を見るとこう書かれていた。
『私の身体は、ズタズタに切り裂かれ、潰され、抉られ、毒で蝕まれた。
今でも、自分の身体に傷が付いているように見えてしまう。
傷なんて見当たらないのに、傷があるように見えて身体に痛みが走る。
怖い、どうしようもないくらい怖い。
私の身体は、何人もの男に弄ばれて、汚れてしまった。
こんな身体は気持ち悪くて、生きていけない。
鏡に映る自分を見ただけで嘔吐してしまった。
身体の震えが止まらない。
けど、こうなったのは私の我儘が招いた結果なのかも知れない。
もう、この身体でいることが耐えられません。
先立つ私を許してください。
お父さん、お母さんごめんね。
バード、巻き込んじゃってごめんね。』
「係長。どう思われますか?」
「日記なんかの字と筆記が似てるから、本人が書いたんだろうね。」
最初の文面の身体を切り裂かれたとかっていうのは、遺体の破損が酷いから、判断し難いところになるな。
毒で蝕まれたってのも、本当の毒なのか、病のことを毒と表現したのか分かりにくいな。
病気の調査は勿論することになる。
何人もの男にってことは、暴漢に襲われたのか? この辺も調査しなければならない。
しかし、私の我儘が招いたってところから読み取るなら、この間の件って考えるのが最も自然だな。
そうなると、今回の死因に古橋悟が関係してくるのか。
俺が遺書の内容について考えていると、追加の情報が寄せられた。
このマンション入り口に備え付けられている防犯カメラ映像には、不審者や古橋悟の姿が記録されていなかった。
さらに、このマンションには別の出入り口もあるのだが、施錠設備があるだけでなく、そこにも防犯カメラが向いているが、誰の出入りも確認出来なかった。
古橋悟が溝口千夏を殺害することは、不可能な状況だ。
それと、最後のバードってのは、新しい彼氏かなんかの名前だろうか? 周りからその名前が出てくればいいんだが。
「ん? この写真は。」
俺は一枚の写真を手に取った。
オレンジ色のロングヘアーの美女の姿とチナツの文字。
「これは、NMの中の写真ですね。」
横から覗き込んで来た大野さんの言うように、背景に見覚えがある。
「ってことは、溝口千夏はNMのプレイヤー。バードってのもゲームのプレイヤーの名前か。」
そうなると、遺書の文面の切り裂かれたとかってのも全てゲーム内の話である可能性が出てくるな。
後から臨場した刑事の話では、現場の状況から、本件については自殺の可能性が高いが、死亡した溝口千夏の残した遺書の内容に不明点が多いため、遺体の解剖などの継続捜査をすることとなった。
この後、溝口千夏の両親が現場に現れ、状況を説明し、最近の様子などを聴取したが、特に心当たりはないそうだ。
何故若い女性がこのマンションに一人暮らしだったのか疑問だったが、父親の所有物だったからと判明した。
可愛い娘の為に、折角良いマンションに住まわせていたのに、こんな結果になってしまったのは、本当に残念である。
それと、溝口千夏の両親と古橋悟は、婚約していただけあって面識があるようだ。
「悟さん、千夏と何かあったんですか!?」
「僕がこの前、千夏さんに振られたんですよ。好きな人が他に出来たとか言われて。」
「千夏が? あの子からそんなこと聞いていませんよ!」
どうやら両親は、古橋悟を疑っているようだな。
「事実ですよ。なんなら、そこの警察官に聞いて下さい。別れ話の時に居ましたから。」
……コイツ、俺に説明を押し付けやがったな。
俺は両親に対して、二人の別れ話の件を説明した。
「そ、そんな!? 本当にあの子が悟さんを振ったなんて。」
両親は、娘が死んだショックと、娘が婚約破棄したことについてダブルでショックを受けていた。
その後、両親は古橋悟に謝罪し、溝口千夏の葬儀は、2日後に行うことになったことなどを、元婚約者の古橋悟に伝えていたのだった。
「まさか飛び降りるとはな。……こっちの世界じゃ死に戻り出来ないんだぜ。まぁいい気味だがな。」
古橋悟の言葉は、風に運ばれて消えていったのだった。
今回のおまけ
神:やべぇーー、ゲームし過ぎた。
風雅:なんだ神? 寝不足か?
神:あのゲーム、時間を忘れちまうよな。気が付いたら午前4時だぞ? 2時間しか寝れなかった。
風雅:そりゃ眠いよな。
神:なんでお前は、そんなに眠そうじゃないんだよ?
風雅:俺の神具『超熟睡』によって、2時間でも体力を全回復出来るのさ!
神:ま、マジか!? 俺も欲しいな。
風雅:俺の姉貴に頼んでやろうか?
神:良いのか!?
風雅:俺の姉貴に頼めば、半額で買えるぞ!
神:ぜ、是非頼む!
風雅:あいよ。
神:俺も神具『超熟睡』で、全回復するぞ!
番匠:なんスか? しんぐ超熟睡って?
風雅:フカフカで、それでいて、身も心も包み込む暖かさがあり、快適な眠りを提供してくれるのさ。
番匠:それって、神具じゃなくて、寝具っス。
神:あ〜、早く神具にダイブしたい。




