最初の街〜エアスト〜
徐々に閲覧が増えて、テンションの上がる作者ですww
そろそろ眠いのですが、余力次第であと少し投稿するかも知れません(^^)
街の中は、店先で野菜や果物を売っているお店や食べ歩きできそうな物を販売しているお店、服、鎧、剣などの看板が取り付けられている建物が建ち並んでいた。
「……すげぇな。」
流石ゲームの世界だ。
街の中では、多くの人が忙しなく動いていた。
赤色のツンツンヘアーをし、槍を片手にスタスタ歩いている中肉中背の青年。
水色のキノコヘッドをし、杖を胸の前で持って、オドオドと周囲を見回している小柄な少年。
綺麗な青色の長髪をし、大きな弓を背負っている背が高く、とても大きな胸をしている女性。
顔も性別も判明しないが、フードを被って歩いている者。
その他にも色々な服装や見た目の者が歩き回っている。
これじゃぁ、誰がプレイヤーだか分かりづらいな。
「あれ?」
ふと人の頭の上にアイコンの様な物が浮かんでいることに気がつく。
「NPCは、頭上にアイコンが出ているのか。」
見ただけじゃ分からんな。
まだ始めたばかりのプレイヤーは、初期装備だから、服を見れば見分けはつくが、直ぐにみんな服装なんて変わるだろうから、アイコンが無いと見分けが付かなくなるな。
「取り敢えず、風雅と合流するか。」
俺は、ログイン前に風雅から待ち合わせ場所として聞いていた噴水広場を目指して歩き出した。
「えっと噴水広場はどこだ? 確かマップ機能もあるんだったな。……“マップ表示”。おお!?」
俺の視界の隅に、街のマップが表示されて、現在地にはアイコンが示されていた。
「この街はエアストって言うのか。噴水広場は、街の中心だったな。もう少し西の方か。」
俺はマップで現在地と噴水広場を確認して歩き出した。
噴水広場に到着したが、風雅から聞いていた特徴のアバターが見つからなかった。
「まだ来ていない様だな。」
俺は噴水広場のベンチに腰を下ろして、周囲の人の会話へと耳を傾ける。
「お前今何レベルになった?」
「昨日でレベル5になったぜ。お前はいくつになったんだよ?」
「俺も昨日でレベル5だよ。」
「まだ、敵モンスターも雑魚ばっかで、経験値少ないからな。」
「噂によると、既にレベル10のプレイヤーがいるらしいぞ!」
「は? どんだけやり混んでるんだよ? まだ未実装が多いし、この辺の雑魚を何体倒せばそんなにレベルが上がるんだよ。」
「すげぇよな。どんなプレイヤーだか見てみたいもんだぜ。」
男性アバター二人の会話によると、敵モンスターを倒せばレベルは上がるが、経験値は少ないらしいな。
まだゲームが出たばかりだから、そんな直ぐにレベルが上がるような設定にはしていないか。
めっちゃやり混んでいるプレイヤーはいるみたいだけど。
しばらくすると、俺の目の前に、スキンヘッドで緑色の瞳をした、身長2メートル越えのガタイのいい男性アバターが立ち尽くしていた。
「ヴァンか?」
風雅から聞いていたアバターの特徴と一致しているので、間違いないとは思うが、一応確認する。
因みに、ゲーム内の風雅の名前は、ヴァンであることも聞いている。
「おう。カッコいい見た目じゃねぇかよ。名前は何にしたんだ?」
「ありがとよ。名前はクラウドにした。」
「クラウドか。名前もかっけぇな。取り敢えず、フレンド登録とパーティー登録しちまおうぜ。」
俺とヴァンは、フレンド登録とパーティー登録を行った。
フレンド登録は、フレンドとの通知をオンにしておくと、相手の位置情報を知ることが出来る。
勿論、フレンドの全員に対して通知をオンにしておくことも、個別にオン、オフを設定することが出来る。
また、パーティー登録しておくことで、敵を倒した際の経験値やお金等を共有することが出来る。
それと、例えば俺が敵を攻撃した際に、剣がヴァンに当たってしまったとしてもダメージは発生しない。
勿論、ヴァンを盾にして、背後から剣でヴァンを突き刺して、そのまま敵を攻撃、なんて攻撃は出来ないようになっている。
あくまで、ダメージが発生しないだけである。
「パーティーを組むんだし、キャラの詳細教えてくれよ。」
「俺は、武器が剣で、属性は雷。マジック型を選んだよ。職業は、……勇者だ。ヴァンはどうなんだ?」
「は? 勇者? 何だよそれ!? 初期でそんな職業もあんのかよ! ……羨ましい。俺は、武器が盾で、属性は風。ディフェンス型で、職業は盾士だ。」
「え?」
俺の聞き間違いだろうか? ヴァンは今、盾と言ったのか?
「ん? どうした?」
ヴァンは首を傾げながら俺を見下ろしている。
「どうしたって、お前、盾でどうやって戦うんだよ!?」
盾で殴るってか?
「どうって、盾で殴るんだよ。」
「……それは、強いのか?」
本当に盾で殴るのか? 攻撃力高いのか?
「それ程でも無いな。」
ヴァンはハニカミながら答える。
「無いのかよ!! なんで盾を選ぶんだよ!?」
盾にメリットあるの?
「いや、俺ってこういうゲームする時は、いつも防御力重視なんだよね。」
ヴァンは頬を指先でポリポリと掻いて答える。
「まぁそういう選択もありなのか。」
人ぞれそれだしな。
「俺が敵を引きつけて、お前が倒す。完璧だろ?」
ヴァンは自分の考えを笑顔で話す。
「取り敢えず、モンスターとバトルしてみるか。」
剣と盾じゃあ、どっちも前衛だからパーティーとして完璧なのかは不明だが、実際に戦ってみないと分からないな?
「そうだな。北門からフィールドに出られるから、道具屋で回復アイテムを買いつつ北門を目指すか。」
「了解。」
俺達は、噴水広場から北門近くにある道具屋へと移動した。
道具屋に入ると、店の中には青色の液体が入った小瓶や緑色の液体の入った小瓶が綺麗に陳列され、店の奥にあるカウンターには、老婆が座っていた。
「いらっしゃい。お若いの、何をお探しだい?」
「これから初バトルしにフィールドへ出るので、回復アイテムが欲しいんですが。」
「体力回復薬だね。いくつ必要かね?」
この世界の通貨はマネと呼ばれており、俺の所持金は、ゲームスタート時にオマケで貰っている100マネだけだ。
体力回復薬(小)は、一個10マネする。
「う〜ん、3個下さい。」
「ありがとね。」
老婆に手を振り、俺達は北門へと向かった。
「よし。外のフィールドにはモンスターが徘徊しているから、装備を身につけてから出よう。」
「おう。えっと、武器、石剣」
俺は、武器を取り出すコマンドを唱え、初期装備の石剣を取り出す。
ヴァンも石盾を取り出して、準備万端である。
俺達はエアスト北門から、モンスターがうろついているフィールドへと飛び出したのだった。
次回、初バトル!
今回のおまけ
クラウド:ヴァン、武器は何にしたんだ?
ヴァン:盾だ!
クラウド:は?
ヴァン:盾は最強だ!
クラウド:盾でどうやって攻撃すんだよ!?
ヴァン:どうって、盾を投げつけるに決まってんだろ!
クラウド:いや、盾投げるなら盾持つ意味ないじゃん! 投げた盾どうするだよ!
ヴァン:投げた盾は回収するに決まってんだろ?
クラウド:拾う前に攻撃されんだろうが! 投げるだけなら、盾じゃなくてもいいだろ!
ヴァン:た、確かに!?
クラウド:この先が不安だよ。
 




