魔獣の森〜素材集めとごめんなさい〜
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俺達の目の前には、何処を見渡す限りの、木、木、木。
そう、ここは洞窟型ダンジョンが発見された東にある森である。
草原フィールドのモンスターは、既に俺達の敵ではない為、あっさりと突破し、俺達は東にある森、別名を魔獣の森へと足を踏み入れたのだ。
何故、この森が魔獣の森と言われているかと言うと、魔獣が多く生息していることは勿論のこと、草原フィールドや鉱山のモンスター達よりも、強いモンスターが現れるのである。
因みにだが、同じモンスターでも、生息場所が変わればレベルも変わってくる。
生息場所の他のモンスターが強いため、強くなければ奴らも生き残れないからだそうだ。
そのため討伐ランクは、生息場所毎に異なっている場合がある。
実際に、この世界の討伐ランクの設定はあくまでも目安であり、全ての個体に適合する訳ではない。
それと、この森が解放されたのは先日のイベント後であり、ある程度プレイヤーのレベルが成長した段階で解放されたエリアなのである。
「スノウ達は、この森に来たことがあるのか?」
「私とシグレは一度来てます。」
「どんなモンスターが出るんだ?」
「う〜んと、新しいのだとキラービー、グリズリー、ホーンラビットね。勿論ゴブリン、ウルフ、ワイルドボアも出てくるけど、草原フィールドの個体よりも少し強く設定されてたよ」
スノウの説明によると、キラービーは蜂型のモンスターで、黄色と黒の身体に太くぶっとい針がお尻にあり、ブンブン飛び回っているそうだ。
蜂って、あの黄色と黒色が嫌な色してるよな。
それであのブーンって音が耳元で聞こえると怖いんだよな。
注意すべきは、スピードと毒針を飛ばすことらしい。
毒に侵されるとHPが徐々に減少するため解毒薬が無いと、そのままお陀仏になる。
「キラービーが出ても私が居れば大丈夫だよ。」
シャインによると、前回のイベントの報酬で得たスキルポイントで状態回復魔法の『キュア』を覚えたらしい。
更に、余ったポイントで光属性の攻撃魔法『ライトレーザー』を覚えたため、回復だけでなく遠距離からの攻撃も可能となっていた。
本当に頼りになるヒーラーだ。
次にグリズリーは、灰色の熊であり、大きな身体に爪と牙があり、太い腕の一振りは、直撃するとかなりのダメージを受けるそうだ。
「それなら俺に任せとけ。」
ヴァンもシャイン同様に、前回のイベント報酬で得たスキルポイントで、『ビッグシールド』という技を覚えたそうだ。
盾を巨大化させ、防御範囲を広げられるらしい。
頼りになる盾役だ。
最後がホーンラビットだが、見た目は頭に角の生えた兎だそうだ。
見た目は可愛らしいが、油断していると、先端の尖った角が、身体を貫き、一撃でプレイヤーを葬るらしい。
……ホーンラビット怖い。
「私に任せときな。どんな小さい的でも命中させるわ。近付かれる前に仕留めればいいのよ。」
シグレはスキル技が無くても、凄腕の弓使いであり、動く的でも命中させる腕前だ。
更に、レベルアップで得たスキルポイントを使って、『ホーミングアロー』と言う追尾する矢を放つスキルを覚えたようだ。
どんなに逃げても、矢が物に当たるまで追尾を続けるそうだ。
「よし。回復薬の素材を回収して、調合を終えたらダンジョンに挑もう。」
こうして俺達の回復薬、素材集めがスタートした。
道具屋の婆ちゃんの話だと、キノコがなっているのは木の根元らしい。
俺達はキノコを見逃さないように、目線を下にして森の中を歩いていた。
「あったよーー!」
「こっちにもありました。」
「これね。」
女性達が次々とキノコを発見していく。
「おいクラウド。俺達はまだ一つも見つけてないぞ!」
「そうだな。俺達、運がないのかな?」
それ程散らばらないで探しているのだが、何故か女性達ばかりがキノコを発見していた。
俺とヴァンは、少し離れたところも探すことに決め、行動範囲を広げた。
「おっ!? 綺麗な花だな。そうだ。コレをシャインさんにプレゼントしよう!」
ヴァンは、黄色の花びらを綺麗に咲かせている花を見つけ、花に吸い寄せられるように近付いて行く。
「ん? おいヴァン。あんまり離れるなよ。」
聞こえてないのか? あっちに何かあったんだろうか。
「もう少しだ。」
ヴァンガ花に手が届きそうな時、恐怖を与える羽音を耳が捉える。
……ブーン
「え?」
プスッ!
「いってぇーー!?」
ヴァンの右太ももには、キラービーの大きな毒針が突き刺さっていた。
「この野郎!? ヴァンは盾を構えて、追撃に備える。」
しかし、キラービーは追撃することなく、上空に待機したまま動かない。
「攻撃して来ないのか? 俺には遠距離攻撃も無いし、あの高さには届かないな。」
ヴァンの装備は盾であり、魔法攻撃も覚えていない為、上空にいるキラービーに攻撃する手段が無いのである。
「くぅ!? 毒の影響か!?」
ヴァンは毒の影響でHPの減少が止まらず、毒の痛みで盾が下がる。
その時を待っていたかのように、キラービーが毒針をヴァンに向けて、発射する。
「不味い!? 『ビッグシールド』!」
ヴァンは咄嗟にビッグシールドを発動し、盾を巨大化することで毒針を弾くことに成功する。
「……あぶねぇ。どうすっかな。」
難を逃れたヴァンであったが、再びキラービーは様子見に入ったかの様に動かない。
カサカサカサカサ
状況は更に悪化する。
「おいおい。トコトンついてねぇな。」
何とか難を逃れたヴァンであったが、キラービーの他に、背後にホーンラビットまで現れてしまった。
「俺なんか悪いことしたか? ……あるとすればあれか。」
ヴァンは、現実世界で神が冷蔵庫に入れていたアイスを食べてしまったことを思い出していた。
「神にはバレてなかったが、神様は見てたってことなのか。」
自分の日頃の行いを反省していると、背後から現れたホーンラビットが角をヴァンの背中に狙いを付けて動き始めた。
「どっちを喰らっても死にそうだ。」
既にヴァンのHPは風前の灯火だ。
ヴァンは、諦めてキラービーに向けて盾を構えたままでいた。
もう、すぐそこまでホーンラビットの角が背中に迫っている。
「神のアイス食べちゃってごめんなさい!」
ヴァンは、自分がやられる前に懺悔する。
「『サンダーブレット』!」
その時、クラウドの雷魔法がホーンラビットに直撃し、ホーンラビットを消滅させた。
「おいヴァン大丈夫か?」
ヴァンの悲鳴が聞こえて来れば、キラービーとホーンラビットに襲われていたのか。
「クラウド〜。俺が悪かったよ。」
「何の話だ?」
「へ? 今の聞こえてなかったのか?」
「今のって?」
「……いや、何でもない。」
「……そうか。ヴァン。」
「な、何だ?」
「明日アイス買って来いよ。」
「聞こえてたんじゃねぇーーかよ!?」
「お前が勝手に吐いたんだろ。」
「マジでついてねぇーー。」
やれやれ、人のアイスを勝手に食べやがって。
ちゃんとアイスの袋に名前を書いておけば良かった。
まさか食べる奴がいるとは、油断していたよ。
俺は、ブンブンと羽音がうるさい蜂に目を向ける。
「キラービーか。お前じゃ相性が悪すぎだろ。」
「全然向かって来ねぇんだよ。」
「シャイン! ヴァンが毒を受けたようだ。回復を頼む。」
「分かった。『キュア』」
シャインも騒ぎに気付いて近くに来ていたので、直ぐにヴァンに状態回復魔法を施す。
すると、ヴァンの表情が和らぎ、体内から毒が無くなりHPの減少が止まる。
「助かったよシャインさん」
「後はHPね。『ヒール』『ヒール』『ヒール』。」
シャインの連続ヒールにより、死亡ギリギリまで失われていたヴァンのHPが完全回復した。
「さて、ヴァンの仇を取らなきゃな。喰らえ『サンダーブレット』!」
ブーン
「チッ!? 速いな。避けられるとは。」
キラービーは、サンダーブレットを避け、毒針を放って来た。
「私がやるわ。『ホーミングアロー』!」
シグレが後方から追尾する矢をキラービーに向けて放つ。
キラービーはサンダーブレット同様に回避しようと、高速で移動するが、ホーミングアローはその動きに合わせて軌道を変え、遂にキラービーへと命中した。
「トドメよ。」
スノウは、落下するキラービーへと突撃し、横一閃でキラービーの胴体を真っ二つに切り裂いた。
モンスターの討伐を終え、その後もキノコを大量に確保した俺達は、川辺にあるという赤色の草を探しに移動を開始したのだった。
今回のおまけ
黒姫:いつも兄がお世話になっていますので、その御礼です。みなさんで召し上がって下さい。
神:気を遣わなくてもいいのに。
黒姫:これからも兄のこと、よろしくお願いしますね。
神:ああ、分かったよ。
黒姫:物がアイスなので、気を付けて下さいね。
神:分かった。休憩中に食べさせてもらうよ。
神:みんな差し入れ貰ったぞ。
風雅:ん? 差し入れ? ブツは何だ?
神:アイスだよ。
風雅:いいねぇーー! って、このアイスめっちゃ有名なヤツじゃんかよ!? 誰からの差し入れだ?
神:これか? 姫ちゃん、田黒姫からだよ。
風雅:な、なんだってーー!? 黒姫が来ていたのか!?
神:さっきまで受付にいたぞ。
風雅:何故呼んでくれなかった!?
神:寧ろ、何故呼ばなければならない。
風雅:ちくしょーー!
神:人数分あるな。番匠みんなに分けてくれ。
番匠:了解っス! うひょーー黒姫からの差し入れっス! ちょーーうれしーース!
巌地域課長(初登場):雲河原係長、ちょっといいかな?
神:分かりました。アイスは冷蔵庫に入れとくか。
神が部屋から出て行くと、風雅はブツブツと喋り出す。
風雅:......黒姫が来ていた。呼んでくれなかった。黒姫からの差し入れ。神、お前のアイスは俺が戴く!
番匠:あっ!? 桃木部長それ係長のっスよ!
風雅:これは罰だ! 俺には食べる権利がある!
番匠:へ? 後で怒られるっスよ。
神が部屋へ戻り冷蔵庫を開ける。
神:あれ? アイスが無い?
風雅:......。
神:なぁ風雅俺のアイス知らない?
風雅:さっき部屋を出る前に食べてただろ?
番匠:いや、それは無理があるんじゃねーースか?(小声)
神:そうだったっけ? あんまどんな味だったか覚えてねぇや。課長の話が長過ぎて疲れたよ。
風雅:お疲れさん。
神:はぁーー。課長の所為で味が思い出せん。
番匠:いや、係長食べてないっスから!?(小声)




