番外編〜1月10日今日は何の日?〜
本日の2回目の投稿は、番外編となります。
皆さん、今日は何の日でしょうか?
「毎年恒例の日がやって来たな。」
「そうだな。」
今日は俺も風雅も日勤であり、制服姿である。
「この日をどんなに待ち望んだことか!」
「そんな待ち望むようなことだっけ?」
この日は絶対仕事になるからどちらかと言うと、来ないで貰いたい日だと思うのだが。
「馬鹿野郎!? こんな大事な日に何を寝惚けたことを!」
「す、すまん。風雅。」
そんなに風雅はこの日を大事に思っていたんだな。
「そうっスよ係長。桃木部長の言う通りっス。」
「番匠まで!? お前らそんなに仕事熱心だったんだな。」
今日は何を隠そう、いや何も隠してはいないか。
寧ろ一年に一度アピールしている日なんだが、何の日かみんなは勿論分かっているよな?
そう、今日は1月10日。
110番の日だ!
毎年、110番の適正利用を呼びかける日なんだ。
これは、1985年に警察庁が制定したらしい。
未だに適正利用とは言えない通報が無くならないのが現状である。
例えば……。
『自宅の鍵を閉めたか、確認してくれ!』
確かに泥棒に入られたら大変ですよね。
直ぐに確認に向かいます。
あれ? 玄関空いてますけど、帰ってくるまでどうしろと?
『自宅の鍵を無くしたから開けてくれ。』
家に入らないと大変ですもんね。
直ぐに向かいます。
あれ? 俺らも鍵は開けられませんよ? 泥棒じゃないんだから。
呼ぶなら鍵屋さんですよね?
『彼氏が浮気したから怒ってください!』
浮気はダメですね。
分かりました直ぐ行きます。
彼女を大切にしなさい。浮気はダメですよ。
これ警察が言うことですかね?
『車がガス欠で動かない、ガソリン持って来て。』
車はガソリンが無いと動きませんからね。
かしこまり〜。
いやいや、ロードサービス呼びましょうか?
取り敢えず、手で押して道路端に退けますね。
『家の庭にヘビが出ました。』
蛇の住居侵入ですね。
直ぐ確保に向かいます。
噛みつかれたら大変ですもんね。
俺って、何の仕事だっけ?
『道に鹿がいます。』
ここは、田舎で周りは山だらけですからね。
直ぐ行きます。
鹿ですね。
どいて下さい。轢かれますよ! って、言葉通じませんけど?
鹿とぶつかってもシカトしないで事故の届け出して下さいね。
『終電が無いから泊めてくれ。』
朝まで長いですもんね。
仕方ないですね。
お泊りしますか?
特に保護する要件はないですね。
ホテルに泊まるとか、カラオケ屋で始発を待つか、タクシーをご利用下さい。
本当に110番することでしょうか? 俺達が必要な現場に直ぐ駆けつけられるように、よく考えて通報して下さい。
って、俺は誰に対してしゃべってんだ?
「来たぞ神!」
「来たっスよ係長!」
ん? 何の話だ?
「今人気沸騰中の売れっ子アイドルの黒姫ちゃんだ!」
「俺めっちゃファンなんスよ!」
お前ら、何でそんな団扇作ってんだよ!?
俺達の目の前には、女性警察官の制服に身を包んだ、黒髪ロングストレートの美女が姿を見せた。
「もしかして? お前らの待望の日ってのは。」
「勿論、一日警察署長に決まってるだろ!」
「当然っス!」
……コイツら。
「あっ!? こっちを見てるぞ!?」
「こっちに来るっスよ!?」
「お久しぶりです。神さん。」
「久しぶり。大っきくなったね姫ちゃん。」
「も〜ぅ、ちゃん付けはやめて下さいよ。子供じゃないんですから。」
「そうだね。」
「それより、どうですかこの格好? 似合ってますか?」
「うん。バッチリだよ。こんな綺麗な女警なら、みんな捕まりたいんじゃないかな。」
「そうですか!? ありがとうございます!」
こんな綺麗な女警が居たら、男性警察官は大喜びだよ。
何故俺と姫ちゃんが、こんなフレンドリーに話しているかというと、姫ちゃんの本名は、田黒 姫と言い、俺の元部下である刑事課の田黒慶次の妹だからである。
田黒とは、よく遊ぶ仲だったので、何度か姫ちゃんとは面識があるのだ。
「神てめぇ〜黒姫の知り合いだったのか!?」
「何で言ってくれなかったんスか!?」
うるさいな。
「言ったら絶対騒いだだろうが。」
「「勿論!」」
はぁ〜。
「そろそろお時間です。」
付き人が姫ちゃんに声を掛け、キャンペーンの準備に移動となる。
「分かりました。神さん、またデートして下さいね。」
デートって、田黒と一緒に遊んでただけだろ。
姫ちゃんの一言で、火の付いた2人を宥めるのに手古摺ったのは、言うまでも無いだろう。
キャンペーンは滞りなく進行し、売れっ子アイドルとして、人気のある姫ちゃんを一目見ようと多くの人が集まった。
はぁ〜一日警察署長で人気者に来てもらって、人を集めて110番の適正利用を訴えても、結局一日警察署長を見に来てるだけだから、殆ど話を聞いてる人がいないんだよな。
まぁ、姫ちゃんが上手く呼びかけてくれたから、いつもよりちゃんと聞いてくれてる人が多かったかな。
「どうだった? 上手く出来てたかな?」
「ああ。バッチリだよ。」
「ホントに!? あ〜よかったぁ。緊張して肩凝っちゃったよ。」
「お疲れ様。」
姫ちゃんに手を振って別れを告げた。
さて、家に帰ってNMやるかな。
正解は110番の日でした!
新たにブクマ&評価の支援魔法ありがとうございます(^^)
風雅:遂にこの時が来たか!
神:そんな大袈裟な。110番の日ってだけだろ?
風雅:バカ言ってんじゃねぇ! この日がどれ程待ち遠しかったこたか!
神:え? そんなに?
風雅:ああ。胸の高鳴りが抑えられん。
神:そ、そうか。
風雅:来たぞ!
神:あの車って、今日の一日警察署長が乗ってくる車だよな。
風雅:ああそうだ! 今日は、売れっ子アイドルの黒姫ちゃんが来る日なんだよ!
神:あーー姫ちゃんね。
風雅:......ひ、め、ち、ゃ、ん?
神:いや、何でもない。
風雅:何だよ早く言えよ。
神:ん?
風雅:お前もファンだったんだな。ほら、団扇使えよ。
神:恥ずかしいだろ!?
風雅:照れんなよ。ほらほら。
神:まぁ姫ちゃんのことは応援してるからな。でも、俺らが団扇持ってたら変だろ?
風雅:それだけ歓迎してるって伝わるだろう。
神:市民の視線が痛いんだが?
風雅:何だよ連れねぇなぁ。そんなに恥ずかしいなら、あのグループに混ざって来いよ。
神:ん? いやいや、あんな完全追っかけの人達の中になんて入れるかよ!
風雅:そんなことじゃ真のファンとは言えないな。
神:はいはい。
風雅:ドアが開いたぞ!? いよいよだ。
神:......なぁ桃木、今日なんだけどさ。
風雅:今、話し掛けるな!
神:はぁ〜。
風雅:な、な、な、な、何で?
車から降りて来たのは、ハゲのお笑い芸人だった。
神:姫ちゃんは、昨日インフルエンザになったから来れないって、連絡があったんだ。
風雅:そ、そんなぁーー!? てか、神知ってたなら早く言えよ!
神:いや、言おうとはしたんだが。
風雅:やる気でねぇ、帰る。
神:帰るな仕事しろ!
俺は、事前に姫ちゃんから連絡が来ていたのだ。
『姫です(o^^o)一日警察署長に選ばれたから、神さんに会えるの楽しみにしていたのに、インフルエンザ_:(´ཀ`」 ∠):と診断されてしまいました(´;Д;`)残念です(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)』
『久しぶりに会えるの楽しみだったから残念だよ。お大事に。』
『私も警察官の制服着てみたかったな。゜(゜´Д`゜)゜。』
『きっと似合っただろうねo(^-^)o』
『ありがとうございます(//∇//)また、前みたいに家に遊びに来て下さいね(=^▽^)σ』
『元気になったらな!』
『やったーー(((o(*゜▽゜*)o)))♡楽しみにしてますねヾ(๑╹◡╹)ノ"バイバーーイ』
神:さて、仕事仕事。




