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俺達の仕事

おっはようございまーす(( _ _ ))..zzzZZ


今回は、少し? いや長めのお話しです(*´꒳`*)


ブクマ、評価の支援魔法をありがとうございます( ̄^ ̄)ゞ


お陰様で、勝手になろうのVR部門ランキングは27位となっていました(´⊙ω⊙`)


これからも応援よろしくお願いします・:*+.\(( °ω° ))/.:+



 ここはエアストの街の裏路地。


 普段人が通ることは滅多に無いこの場所に、男性プレイヤーが4名居た。


「早く出せよ。」

 見た目は30歳くらいの柄の悪そうな顔をしたヤバンという男性が、気の弱そうな細身の男性シュンの胸板をど突く。


「い、嫌です。僕が頑張って稼いだお金なんです。」

 シュンは、ヤバンを筆頭とした3名の柄の悪そうな男に囲まれながらも、自分の意志を示していた。


「はぁ〜、俺達は穏便に済ませてやろうとしてるんだ、ぜっ!!」

「がはっ!?」

 ヤバンのボディーブローが炸裂し、細身の男性は蹲る。


「オラ、立てよ!」

 蹲るシュンの両脇に、残りの2人が近付き、両腕を拘束する。


「ほら、早く出さないと。ボコボコだぞ。」

 ヤバンが、シュンの顔を鷲掴みにして、睨みを効かせる。


「くっ!? ログアウトして、」

「この状態でどうやってログアウトするんだ?」

 シュンは両腕を拘束しているため、メニューを開いてログアウトすることが出来ない。


「ちっくしょう!? 離せ!?」

「離せと言って離す奴がいるかよ。オラッ!」

 暴れるシュンを、ヤバンが更にボディーブローを打ち込む。


「このまま、HPがゼロになればリセットされるだけだ。」

「……。ふっ!」

 シュンが言うように、HPがゼロになるまで、殴られ続ければ、この状況から脱出することが出来るのだ。

 勿論、デスペナルティが発生するが、この状況から抜け出せるなら安いものだとシュンは考えていた。


「……お前、馬鹿だろ?」

「何が、馬鹿だって言うんだ?」

 シュンは、自分の考えが間違っているとは思えなかった。


「お前がこのまま死んで、再び蘇っても、俺達には蘇る場所が分かってるんだぜ?」

 ヤバンの言葉をシュンは直ぐに理解出来なかったが、徐々にその答えに辿り着く。


「ま、まさ、か!?」

「そのまさかだ。お前が今回耐え切っても、俺達はお前が蘇った瞬間に取り押さえ、同じことの繰り返しだ。」

 シュンは、ヤバンの言葉に絶望を感じた。

 このままじゃ、いつまで経ってもログアウトすることが出来ない。


 しかし、シュンの考えついたことは、まだ序の口だったのである。


「ログアウト出来ないだけじゃねぇぜ。」

 ヤバンはそう言うと、腰に帯びていた剣を抜き放つ。


「ひぃ!?」

「これからお前の()()()()()()()()()()()。それが終わったら片腕、片足と切り飛ばし、最後には首を飛ばす。」

 シュンは、ヤバンの言葉に、自分の身体がバラバラにされる姿を想像してしまった。


「お前は、いつまで耐えられるかな?」

「わ、分かった!? 全部出すから止めてくれ!」

 シュンは、自分が耐えられる訳が無いと即座に諦め、ヤバン達の要求を飲むことにしたのだ。


「……止めてくれ?」

「い、いや、や、止めて下さい。」

 ヤバンの睨みに萎縮したシュンは、直ぐに言葉を訂正する。


「拘束を解くが、変な動きをしてみろ。直ぐに首を飛ばすぞ。」

「は、はい。」

 シュンはメニューを開き、有り金全てを取り出してヤバンへと差し出す。


「チッ! シケてんなぁ。道具も装備もお前の全てを出すんだよ!」

「そ、そんな、ぐわあぁぁあああ!?」

 ヤバンへ口答えしたシュンの右腕が宙を舞う。


「口答えとは、いい度胸だなオイ!!」

「ああぁあああああああ!? う、腕がぁああ!?」

 ゲームの為、実際の痛みとは程遠いが、それなりの痛みが伴う。

 更に、極度の緊張状態で腕が飛ぶされた為、自分の腕が実際に飛ばされたと頭で考えてしまい、激しい痛みを感じてしまったのである。


「黙れ。次は反対の腕を飛ばすぞ。」

「くぅうう。」

 シュンは、何とか道具と装備を全て取り出し、ヤバンへと差し出した。


「やれやれ。道具も装備も大したのねぇじゃねぇかよ。」

「こ、これで解放してくれるんですよね?」

 ヤバンは納得していない様子だったが、今渡したのが全てなのだから、シュンは助かると安堵していた。


「そうだな。俺は約束は守る男だ。」

「……。」

 シュンは、ヤバンにペコペコと頭を下げ、路地裏から早く出たい気持ちから、大通りの方へと振り向いた。


 そう、シュンはヤバンから目を離してしまったのである。


「え?」

 シュンは自分の視界がグルグルと周り、何故か自分の目が自分の身体全体を見ていることに気付く。


 そして、その身体に頭が無いことも。



「お前の全てを出せと言ったんだ。お前自身を殺さないと経験値が貰えないだろ? 俺様は約束は守る男なんだよ。ガァハハハハハ!!」

 このゲーム内では、プレイヤーがプレイヤーを倒しても経験値が発生する。


 本来は、プレイヤー同士で決闘をして経験値を得るための仕様なのだが、ヤバンの様にプレイヤーを襲って経験値を得ようとする者もいると、プレイヤー間で噂が広がりつつあった。




 俺はログインしていつものように、ヴァンに噴水広場で待っているとメッセージを送信し、初イベント報酬でゲットしたマテリアルブレスレットを眺めていた。


「良い物ゲット出来たな。」

 俺達は、報酬をギルドで受け取った後に、効果を確認するために、草原フィールドの敵と戦闘を行ったのだ。


 結果は良好。


 まだレベルが低く、ステータスも低いため上昇値は高く無いが、それでもプラス10%の恩恵やゴブリンキラーの効果は大きく感じていた。


 これが、高レベル高ステータスともなれば、10%上昇はかなり大幅な上昇値となる。


 何度か戦闘を行い、リンは今まで通りソロで活動すると離脱し、スノウとシグレも、また機会があれば一緒に行動しようと約束して別れた。


 また、その後にスカイが離脱したいと申し出たことは意外だった。


「クラウドさん。僕はこのままじゃこのパーティーの足手纏いでしかありません。」

「いや、そんなことはないだろ?」

 スカイは、そんなこと考えていたのか。


「いえ。今のままじゃダメなんです。魔法使いでありながら、僕は魔法が使えません。クラウドさんやヴァンさんに甘えてしまう自分がいるんです。」

「……。」

 確かに、魔法使いであるスカイは、現在魔法を使えないため前衛になってしまうが、攻撃力も防御力も魔法使いなので高くは無い。


「だから、パーティーを抜けます。」

 スカイの目は、本気の目だな。

 何を言っても聞かないだろう。


「分かった。スカイが考えて決めたのなら仕方ないな。」

「はい。……もし、僕が強くなれたら、また一緒にパーティーを組んでくれますか?」

「ああ。楽しみにしてるぞ。」

「はい!ありがとうございます。」


 こうして、俺達のパーティーからスカイが離脱することとなったのだ。


「あぁあああああああああああああああああああ!」

 と、俺が考え事をしていると、叫び声が広場に響き渡った。


 な、何事だ!? あれはプレイヤーだな。


 細身の男性がフラフラと周囲のプレイヤーやNPCにぶつかり、その後自分の頭を両手で触り、安堵したのか涙を流しながら膝をついて蹲っていた。


 い、一体何があったと言うんだ?

 他のプレイヤー達は、余りにも常軌を逸した細身の男性プレイヤーの行動に、近付く事はせずに、遠巻きに成り行きを見守っていた。


 ……仕方がない。


 俺は細身の男性プレイヤーに歩み寄り、目線を合わせるために腰を落とした。


 相手と話をする時は、まず相手の目線に合わせないとな。


「大丈夫か? 何があったんだ?」

 俺は、なるべく相手が落ち着けるように、優しく声を掛けた。


「はぁはぁはぁ。……襲われた。」

 襲われた? モンスターにってことか?


「モンスターにか?」

「違う!! プレイヤーにだ!」

 プレイヤーに? どう言う事だ?


「経緯を話してくれないか?」

 話を聞くと、このプレイヤーの名前はシュンと言い、一人で街中をプラプラしていたところを、いきなり柄の悪い男3人に囲まれ、そのまま路地裏に連れていかれたそうだ。


 そのまま、男達に痛め付けられ、有り金と道具、装備を差し出したにも関わらず、首を切り落とされたそうだ。


「悪どい奴は、どこでも居るもんだな。」

 現実世界だったら、強盗殺人だぞ?


「ちくしょうーー!!」

 シュンは、俺に説明してその時の状況を思い出したのか、再び泣き出してしまう。


「どうしたんだクラウド?」

 いいところに来たなヴァン。


「実はな……。」

 俺はヴァンに、シュンから聞いた話を説明した。


「何だと!? そんな奴俺が懲らしめてやる!」

 ヴァンならそう言うと思ったよ。


「え? 仇を討ってくれるんですか?」

「おう。俺達に任せておけ。」

「だな。取り敢えず、犯人の特徴を詳しく教えてくれないか?」

 こうして俺とヴァンは、強盗殺人?を犯したプレイヤーを捜すための行動を開始した。


「まずは、現場100回!! 犯行現場を確認だな!」

「そうだな。」

 本当に現場に100回も行く警察官は居ないと思うがな。


 そして俺達は、シュンの案内でエアストの路地裏を奥へと進んで行く。



「行き止まりか。」

「遺留品も無いな。」

 犯行現場には、犯人の特定に繋がる遺留品が落ちている場合もあるんだが、現実世界と違って、仮想世界には防犯カメラも無いし、現場に毛髪が落ちてDNA鑑定なんてことも出来ないから、犯人捜しは難航しそうだな。


 俺とヴァンが踵を返し、後ろを振り返ると、衝撃の展開が起きていたのである。


 俺達の後ろには、柄の悪そうな顔の男が3人と、その背後にへこへこしているシュンの姿があった。



 あ〜、これは、アレだよな。


「嵌められた訳だ。」

「シュンもグルだったのかよ!?」

 俺は状況を整理し、俺とヴァンが罠に嵌められたと悟り、ヴァンは俺達を嵌めたシュンに激昂していた。


「がははははは! 間抜けな偽善者が二人か。良くやったぞ。」

「は、はい。」

 この裏路地は、道幅が広く無いため、俺達はコイツらを倒さなければ抜け出せない状況だ。



 時は、シュンがヤバンに襲われていた頃に遡る。


 シュンが全ての所持品を差し出した後、ヤバンはシュンの耳元で囁やく。


「助かりたかったら、生贄となる次の獲物をここへ連れて来い。そうしたらお前は助けてやろう。もし、誰も連れて来なければ、お前を一生付け狙い殺し続けてやる。」


「ひぃ!? お、お助け下さい! 何でもします!」

「分かればいんだよ。」

 この後、シュンの首が切断され、クラウドと出会うことになったのである。



「ヴァン、コイツらにはキツイお灸が必要なようだな。」

「ああ! とっ捕まえて豚箱にぶち込んでやる!」

 俺とヴァンは武器を取り出し、身構える。


「!? コイツら良い装備持ってんじゃねぇか。やっちまえ!」

「「へい!!」」

 ヤバンが部下の二人に指示を出し、一人が剣、一人が杖を持って身構える。


「炎に飲まれろ! 『ファイアー』!」

 狭くて避けにくいな!


「任せろ! 『ウインドシールド』!」

 ヴァンが前に飛び出し、盾技を発動して魔法を弾き飛ばす。


「な、何だと!?」

 男達は魔法が弾かれると考えていなかった為、動揺が隠せない。


「一気に畳み掛けるぞ!」

「おう! 『シールドアタック』!』

 俺は剣を持つ奴に斬りかかり、ヴァンは盾を構えて杖を持つ男に突撃した。


 俺の剣は相手とぶつかると、相手の剣を砕き、そのまま返す刃で男の胴体を峰打ちして壁に叩きつけ、ヴァンもシールドアタックで、杖の男を弾き飛ばし、男二人をノックアウトさせた。


「こ、コイツらつえぇ!?」

 ヤバンは、身の危険を感じ、一目散に大通りへ向けて走り出す。


「逃すかよ! 『サンダーブレット』!」

 俺は、掌を逃げる男の背に向け、雷の魔法を放った。


 逃げ出した男にサンダーブレットが命中し、断末魔を上げながら、男は地面に倒れた。


「う、うそ!?」

 シュンの間の抜けた声が、裏路地内に響き渡る。


「シュン。何故俺達を罠に嵌めた?」

「お前も仲間だったってことか!」

 シュンの様子から察するに、シュンも被害者だったのだろうが、だからと言って、他の人を巻き込んで言い訳が無い。


「さ、さっき話したことは本当なんです。誰か生贄を連れて来れば助けてやると言われて、それで。」

 シュンは涙を流しながら事情を説明してくれた。


「自分が助かるためなら、他の人がどうなっても良いって言うのか? ふざけるなよ。」

「本当にごめんなさい。」

 泣きながら土下座するくらいなら、最初からこんなことするんじゃねぇよ。


「ヴァン。取り敢えずコイツらを縛り上げて、盗んだ物を返させるぞ。」

 この世界には、犯罪者を取り締まる機関が無いため、コイツらを突き出す場所は存在しない。

 また、運営側もプレイヤーが好きに行動できるように、禁止行為も特に設けられていないのだ。


「あいよ。コイツ以外にも被害者は居たかも知れねぇしな。」

 こうして俺とヴァンは、悪人どもを噴水広場へと連れて行き、被害に遭った人を探したところ、数名の被害者が名乗りを上げ、盗まれた品は無事に持ち主の手に返すことが出来た。


「ありがとうございます。」

「もう、二度とコイツらの顔は見たくない。」

 感謝する人も居れば、コイツらに怒る人もいるだろう。


「殺してやる!」

 いきなり、被害者の一人が剣を振りかぶり、犯人に斬りかかる。


 キイィン!


「落ち着け!」

「落ち着けるか!? 俺はコイツらに何度も殺されたんだ! 俺にはコイツらを殺す権利がある!」

 成る程、そう言うことか、でも。


「お前の怒りが分かるとは言えないが、そんなことをしてどうする? コイツらと同じことをするのか? こんな奴らと同じになりたいのか!?」

 ゲーム内とは言え、何度も殺されるのは不快なことだったろう。

 どのように殺されたのかは知らないが、コイツらを殺したいくらいのことはされたのだろう。


「くっ、……ちくしょーーが!!」

 被害者の男は、剣を上に掲げて、思いっきり振り下ろした。


「あぁああああああああ……あれ?」

 剣は犯人の横に振り下ろされ、命を刈り取ることは無かった。


「俺の前に二度とそのツラ見せるんじゃねぇ! 次はその頭をカチ割ってやるからな!」

「は、はい!」

 犯人は、被害者の気迫に萎縮し、何度も頭を下げていた。



「なぁヴァン。」

「なんだ?」

「このゲームの中では、人が人を殺しても罪にはならないんだな。」

「……そうだな。所詮ゲームのアバターが倒されただけで、実際に死ぬ訳じゃないからな。」

「確かにな。でも、しっかり自分を持たないと現実世界でも人を簡単に殺すような奴が出てきそうだな。」

「それを捕まえるのが俺達の仕事だ。」

「いや、それを防ぐのも俺達の仕事だぞ。」

「ちげぇねぇ。」

 こうして俺達は、ゲーム内の事件を無事、解決に導いたのだった。



今回のおまけ



ヤバン;おら、早く有り金だせよ!


シャイン;嫌ですよ。


ヤバン;痛い目見ないと分からないようだな。


シャイン;貴方達カッコ悪いですね。見た目もやってることも。


ヤバン;何だとこのアマ!?


シャイン;関わるとおバカが移りそうなので、帰っていいですか? 怪我人がいると言うから付いてきたと言うのに。


ヤバン;舐めてんじゃねぇぞ小娘! オイお前らこの小娘を取り押さえろ! 少し調教が必要みたいだ。


男1;へい兄貴。


男2;ぐへへへへ。俺の好みだな。


シャイン;……それ以上私に近付くと、迎撃します。


ヤバン;は? 小娘に何が出来るってんだよ?


男1;大人しくしろ!


男2;あ〜手が滑った〜!


シャイン;フッ! ハッ! ヤァッ!


男1&2;ぐあぁぁああ!?


ヤバン;な、何て動きだ!? コイツただの小娘じゃないのか?


シャイン;私に触れていいのは、クラウドだけです。


男1&2;あ、兄貴ぃ。


ヤバン;3人で一斉に掛かるぞ。相手は一人だ。怯むな。


男1&2;へい!


シャイン;まだやるのね。……いいわ。後悔させてあげる。


その後、シャインは男3人をボコボコにしては、ヒールを掛けるという作業を繰り返し、相手を倒して蘇生させることなく、エンドレスに痛め付け続けた。


ヤバン;姐さんに従いやす!!


男1&2;姉貴!!


シャイン;……変な下僕が出来てしまいました。お兄様。

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