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VRMMO〜New me新しい自分〜

今日は、年末最後の仕事の人が多いですかね?

今日を乗り切れば、休みの人は頑張って下さい!

そうじゃない方は、......お疲れ様です!

 時は西暦2050年。


 現代社会は、目まぐるしい発展を遂げ、車が空を飛べるようになり、昔はテレビや実物大を作るのが精一杯だった二足歩行ロボは、実際に動く実物大が作り上げられていた。


 勿論、この二足歩行ロボは戦いが目的では無く、災害時の撤去作業等で活用されている。


 この二足歩行ロボに乗れるのは、選ばれた一握りの人だけである。


 こんな世界で過ごす俺は、雲河原 神(くもがわらじん)、一人暮らしの独身29歳。

 俺の見た目は、中肉中背の黒髪短髪、顔はイケメンって言いたいけど、イケメンでもないし、醜くも無い。


 ぶっちゃけパッとしないよな。


 変われるもんなら、イケメンに生まれ変わりたいよ。


 俺は、高校を卒業して警察官になった。


 何故俺が警察官になったかと言うと、安定を求めたのが最大の理由だろう。


 勿論、安定を求めるだけなら公務員なら何でも良かったんじゃねぇの? って思われるかも知れないけど、子供の頃の憧れや悪いことをする人を許せないって気持ちがあったから、市役所や消防では無く、警察官を選んだのである。


 そんな警察官となった俺は、現在自宅から車を運転して渋滞に嵌っている。


 昔と違って、車が空を飛べるなら渋滞が無いと思ったら大間違いだ。


 適当にみんなが好き勝手に空を走り回ったら、事故だらけですよ。


 下にいる人や民家に、空から車が落ちたら大惨事だからね。


 だから、車が空を走れるのは、緊急走行を許されている車両だけだ。


 現在は、パトカーや白バイ、救急車、消防車などしか空を飛べない。


 緊急車両が空を飛べるようになり、通報から素早く現場へ急行出来るようになったのはありがたい。


 現場へ急行する時間が短くなれば、それだけ犯人確保に繋がるし、逃走した被疑者の追跡も楽チンである。


 俺が警察官を選んだ理由の一つには、空飛ぶ車に乗りたかったってのもある。


 理由が不純だって?


 まぁ、理由は人それぞれだろ?


 因みに、警察にも二足歩行ロボが配置されている。


 テロや重大かつ重要な事件や事故、警護の際には、使用が許可されているのである。


 警察に配備されている二足歩行ロボに乗ってみたかったけど、二足歩行ロボに乗れるのは各都道府県に1人。


 狭き門なのだ。


 俺も二足歩行ロボに乗ろうと過去にパイロットの試験を受けたのだが、見事に不合格であった。


 まぁ空飛ぶ車のパトカーなら、警察官になれば大体乗れるのだ。


 要するに、俺は二足歩行ロボに乗ることは出来なかったが空飛ぶ車には乗ることが出来たのである。


 負け組と言いたければ言えばいいさ。


 自分のこれまでの人生を悲観していると、俺は目的地である職場へ到着していた。


「やっと着いた。」

 俺は、自分の勤め先である、堂平(どうだいら)警察署の駐車場へ車を駐車した。


「よっと。」

「あっ!? 雲河原係長おはようございます。」

「おはよう。大野さん。」


 俺は、昇任試験を突破して、現在の階級は警部補であり、係長とみんなから呼ばれている。


 中間管理職の立場なので、それなりに偉いのである。


 勿論、それに伴う責任は重いし、苦労も多いんだがな。


 俺に朝の挨拶をしてきたのは、俺の部下である女性警察官の大野(ゆき)さんだ。


 話はそれたが、先ほど俺に挨拶をして来た大野さんは、今年警察学校を卒業した新人である。


 容姿は、黒色の長髪をしており、顔に髪がかかっていて表情が読み取りにくい人であるが、体型はスリムな身体をしている。


 大野さんってどんな顔しているのかな? 謎だ。


 性格は内気で、自分の意見を言うことは殆ど無い。


 けど、剣道の時は別だ。

 大野さんはお爺ちゃんが剣の達人らしく、その腕前はかなりのものだ。


 仕事は、真面目にこなすし、分からないことがあればちゃんと質問して来るので、上司としては大野さんのような部下は育てやすいし、助かっている。


 女性なので、絡みにくいところを除けばね。


 大野さんと並んで、堂平警察署へ入り、更衣室はもちろん男女別の為、別れて更衣室へ向かう。


 俺が更衣室へ入ると、既に部下の番匠 熱士(ばんじょう あつし)が制服に着替えを終えていた。


「係長ちーース。」

 この軽い感じで挨拶してきたのは、大野さんと同期の番匠である。


 少し茶色かかった髪をしており、体型は中肉中背で、言われた仕事はするが、それ以上は無い。

 向上心もあまり無く、将来刑事になりたいなどと言う目標も無い男だ。


「おはよう。朝の掃除、ご苦労様。」

 俺も若い頃は、朝早く来て掃除していたな。


「係長〜俺いつまで掃除なんスか? そろそろ後輩の日影(ひかげ)さんが来たんですから、もう掃除来なくてもいいですよね?」

 番匠は、箒を野球のバットの様に振り回しながら、俺に尋ねる。

 番匠は、黒髪短髪中肉中背の普通の青年の見た目だが、言葉遣いの態度はかなりチャラい。


 おい!? 掃いてた箒振り回すなよ! 汚いだろ!


「掃除する範囲が広いんだから、後輩に全部押し付けるなよ! お前が来た時だって、先輩も掃除していただろ! 俺も若い頃はやってたんだから、諦めろ! それと床を掃いていた箒を振り回すな。」


「掃除する人くらい、雇えばいいのに。」

 番匠は文句を言いながら、別の場所を掃除するために、更衣室から出て行った。


「はぁ〜。」

 文句ばっか言ってないで、ちゃんとやる事やってもらいたいもんだぜ。


「悪いな(じん)。俺からも注意しておく。」

「ん? おう。風雅(ふうが)おはよう。聞いてたのか? 頼むよ。」

 俺に声を掛けてきたのは、俺の部下であり、大野さんと番匠の上司に当たる桃木 風雅(もものき ふうが)部長、俺と同い年だ。

 見た目は、ガタイも良く、面は悪くはない。

 面倒見がいいが、いい人止まりなため、彼女は居ない。


「アイツはチャラいからな。神も手を焼くよな。」

「同期の大野さんを見習ってもらいたいもんだよ。」

 俺は、今年昇任して係長になったため、部長の頃よりも部下の教育をしっかりするように上司から言われているのだが、自分の指導教育力不足を感じているだけでなく、癖のある部下が多くいるため、悪戦苦闘中である。


 こうして、今日の勤務が開始となり、相変わらず、番匠は仕事をこなすが、それ程真剣にやる様子はなかった。


 俺の仕事は交代制勤務のため、朝から翌日の朝までが勤務時間である。


 仕事が終わり、俺が更衣室に入ると、番匠と一緒になった。


「なぁ番匠、もう少しやる気を出したらどうなんだ?」

「別に仕事はしてるんだから、いいじゃないですか?」

「お前は通報現場の処理だけで、率先してパトロールしていないだろ! 少しは自分で考えて仕事をしたらどうなんだ?」

「ガソリンの無駄ですよ。現場へ行く時と帰るときに管内のパトロールしてるじゃないですか? それより、なんで俺の報告書にあんなに付箋が貼られているんですか? それにあの報告書要ります? 無駄じゃ無いですか?」

「お前は……もういい。報告書は必要なところが抜けているから付箋を付けたんだ。文句があるなら、ちゃんとした書類持って来い。」

「……絶対、無駄だし。」

 番匠は不貞腐れながら、煙草の箱を片手に更衣室から出て行った。


「今の若い奴は、あんなのばっかりなのかね。」

 俺は、番匠が出て行った更衣室の扉を見つめながら溜息を吐く。


「さとり世代ですね。俺らの若い頃は、上司に口答えしていたらぶっ飛ばされていましたね。」

 背後から声が聞こえ、振り返ると風雅が立っていた。


「……そんな年寄りじゃねぇだろ。いつの時代だよ。今の世の中、手を出したらクビになるだろ。」


「昔は、ひっぱ叩いても問題にはならなかったなんて凄い時代ですね。まぁ番匠の言うように、俺らの仕事はお堅い仕事で、昔からこういうもんなんだってのが、多く残ってますよね? 俺らも「これ無駄じゃね?」っての多かったし。」

「確かにな。下の人間は、そう思っているのに、それを上に報告しても、結局改善されないだろうと諦めてきた結果だろうな。俺にも責任はあるか……。」

 俺も着替えを終えたので、ロッカーを施錠して、更衣室から出ようとした。


「話は変わるんだけどさ、最近発売されたVRMMOのNew me(ニュー ミー)を遂に手に入れたぜ!」

 俺の後ろから風雅が話しかけてくる。


「世界初のVRMMOゲームの? あれ、10万円くらいするんだろ? てか、完全フルダイブ型ゲームって本当に安全なのかよ?」

 今、風雅が話していたのは、数日前に発売が開始されたVRMMOのゲームである。


 これまではゴーグルを掛けて、現実の自分の身体を自分を動かすゲームは発売されていた。


 やってる本人は楽しいだろうか、ゴーグルを掛けて、コントローラーなどを持って動いている姿は、はたから見ると異様な光景だった。


 しかし、仮想世界を作り出し、脳波によって、仮想世界の自分のアバターを動かす技術は、中々完成に至らなかったのである。


 それがつい最近完成し、発売されたのである。


 ただ、仮想世界にダイブするって、接続がちゃんと切れなかったら、そのまま仮想世界に取り残されるのでは? と懸念されるが、そこはメーカーが何年もの研究を重ね、絶対に起こりえないと強く宣伝している。


 ただこのゲームの発売には、一悶着あったのだ。


 それは、現実世界と仮想世界の境界がなくなり、様々な社会問題が起こるのではと言うことだ。


 しかし、ゲーム会社は、作り上げた世界初のVRMMOの発売を強行したのである。


 勿論、国のお偉いさん達があーだこーだ言った様だが、仮想世界へ行ってみたいと言う声も大きく、発売を認めざる得ない状況だった。



 このゲームは世界初のフルダイブ型ゲームで、仮想世界では、現実の自分の姿を写すことも出来るし、全く別の姿、性別になることが出来るそうだ。


 つまり、新しい自分になることが出来るのである。


 凄い世の中になったもんだな。


 その世界では、武器や魔法でモンスターと戦うなどの冒険をしたり、商品の開発や設計、モンスターの育成等、色々とやれるらしい。


 ゲーム世界なので、国や国王等もNPCとして存在しているが、国王になることも可能なのだそうだ。


「仮想世界なら、この世界でやれなかったことをやれるし、このゲームは、ファンタジー要素が満載だから魔法や剣でのバトルも出来る。昨日やってみたけどめっちゃ面白かったぜ! 一緒にやってみようぜ!」


「でもなぁ……。」


「番匠もこれ買ったらしいんだよ。若い奴らは殆どやってるらしいから、最近の若者を知るいい機会だと思って! それに、このゲームが関係する事件が起きた時に、このゲームを経験しておかないと取調べも(はかど)らないだろ! 頼むよ!」


「はぁ〜仕方ないな。やってみるかな。ゲームなんて久しぶりだよ。」

 確かに、最近の若者を知るには、いい機会かも知れないし、経験しておくに越した事はないな。

 てのは建前で、俺も興味あったゲームだしな。


「やってくれるか! これでNM仲間ゲットだぜ! 俺とパーティー組んで、二人で最強の冒険者パーティーになろうぜ!」

「パーティー組むのは決定事項かよ! まぁ良いけどよ。既に初日組からは出遅れてるけどな。」

「遅れは、直ぐに取り返すさ! 家帰る前に、買って帰れよ!」

 風雅は嬉しそうに、更衣室を出て行った。


「やれやれ。」

 とは言いつつも、俺もやるのが楽しみである。


 俺は、店に立ち寄ってNMを購入し、昼頃帰宅した。


「少しネットで調べたけど、まだあまり詳しい情報は掲載されていなかったな。」

 俺は、NMを開始する前に、勤務で掻いた汗を風呂で流し、昼食を食べながらネットを使って少し調べたのが、発売間もないゲームであることと、まだ実装されているものが少ないこともあってか、あまり参考になるものは無かった。


「取り敢えず、やってみるか。えっと、頭にヘッドギアを被って、これでよかったかな? 最初は、アバターの設定からだったな。……ワクワクして来た。“NM始動(スタート)”。」

 こうして、俺は、NM、新しい自分になれる世界へとダイブしたのだった。


雲河原 神のイラストになります↓

挿絵(By みてみん)

2話目も読んで下さりありがとうございます!

いよいよ、ゲーム世界へ入ります!

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