6話 鉱山までの道のり
遅くなりすみません。
期末試験という面倒なものがありまして、なかなか書く時間が取れませんでした笑
試験マジダルい……(+_+)
とりあえずエレナとサラは森の入り口で休ませ、一人で食料を探した。
30分ほど探したところで、とりあえず三人分の食材は確保することができた。
この森には様々な山菜や木の実があるようだ。
冬になる前なので食べられるものは少ないだろうと思っていた。
植物の他に大きな鹿のような動物を見かけた。
道具が無いので捕獲はしなかったが、貴重なタンパク源になるだろう。
だが、魔物は見かけなかった。
あまり森の奥まで行ってないからだと思うが。
2人が待っている森の入り口まで戻る。
「お帰りなさい。食べ物は見つかりましたか?」
「あぁ。三人分は何とかな。味はわからんが」
そうなのだ。
食べるにあたって一番大切な『味』が分からない。
今の俺では、スキルを使っても『食えるor食えん』しか判断できん。
文字が読めれば別なんだが。
「まぁ、不味くて食えないなら言ってくれ。ほかの食材を探してくるから」
「いいえ、大丈夫です。せっかくご主人様が用意してくださったのです。ありがたく頂きます」
なんだか無理を強いているみたいで、申し訳ない気がする。
帰ったら美味い飯を食べさしてあげよう。
「それでは、頂きましょうか」
「いや、まだ食べるな。軽く火を通さないと腹をこわす可能性があるからな」
特にエレナは栄養が不足している。
こんな時に下したりでもしたら、死ぬ可能性もある。
「なるほど。ご主人様は医学も詳しいのですね」
この世界では病気に関することは、あまり知られてないみたいだ。
まぁ、日本でも冬場にはノロウイルスが流行することもあるからな。
「それじゃあ、火を起こすか」
「はい、分かりました。」
一番手っ取り早いのは、弓錐式という発火法だが……
「はい。火、つきました」
えっ!?
ホントだ。
サラの目の前にある落ち葉の山から煙が出ている。
熟練者でも10秒程かかるのにサラは一瞬で枯れ葉に火をつけた。
しかも道具を使っていない。
「ど、どうやったんだ?」
「火炎魔法を使ったんです。といっても私は体内の魔力量が少ないので火種を作るぐらいしかできませんが」
魔法という聞き慣れない単語が出てきて、びっくりしたがここは異世界だ。
魔力というものが存在すれば、魔法とも存在するだろう。
「魔法って便利だな」
「そうですね。私も魔法が使えたらいいのですが、魔法は加護持ちの方しか使えませんから。」
なるほど。
ということは俺でも使えるのか?
難しそうなイメージがあるが。
「なぁ、俺でも魔法って使えるのか?」
「そうですね。コツさえつかめば割と簡単にできますよ」
割と簡単にか。
時間もあるし少し挑戦してみるか。
「どうやったら魔法を使えるんだ?」
「まず、魔力の流れを感じてください」
と言われてもな。
今まで魔力とは無縁の生活だった。
だから、そう簡単にできる事ではない。
「指先に意識を集中させると、魔力を感じ取れやすいですよ。」
うーん……
指先集中……
お~
確かに意識を集中させると指先がほんのり温かく感じる。
これが流れというものか。
「流れを感じられたら、その流れを放出する感じです!」
なかなか抽象的な説明で分かりずらい。
一応言われたようにしてみるが……
放出する感じ、放出する感じ、放出する感じ、放出する……
ん? なんか違和感が……
あ、なんかやばい。
制御できん。
次の瞬間、5メートルほどの火柱が立ち上がり、目の前の落ち葉の山が一瞬で灰に変わった。
…………
エレナとサラが目をパチクリさせている。
一番驚いているのは俺なんだがな。
「……まぁそんな感じです」
いや、絶対違うでしょ。
確かに魔法は使えたけども。
俺は火種を起こす程度の魔法を使いたかったんだが、今のはナパーム弾並みの威力があった。
「と、とにかく何回か使ったら上手く制御できるようになりますよ!」
「そうだといいんだが……」
「そうだ! ジョブカードを確認してみてください。スキルの欄に火炎魔法が追加されているはずです」
おっ、あったあった。
相変わらず字は読めないが、新しい文字が追加されている。
しかも職業レベルが3に上がっている。
半日で2もあがった。
しかし恐るべき火炎魔法。
これを街で使ったら死人が出る。
魔法の練習は誰もいない開けた場所でするとしよう。
「それにしても、初めてであの威力の火炎魔法を発動できるのはすごいですよ」
「もともとの魔力量が多かっただけだろ」
「たとえ魔力を多く持っていても、技量が無いとあの規模の魔法は発動できません。レイさんは魔法の才 能がありますよ!」
まぁ確かに攻撃手段としては使えそうだ。
あの威力ならそこそこの強さの魔物にも通用するかもな。
その後、昼食を済ませ、本来の目的地である鉱山に向け歩き始めた。
森の中では数体のゴブリンに遭遇した。
見た目はゲームに出てくるような,まさにゴブリンって感じだ。
火炎魔法は使わず、持っていたナイフで倒した。
そもそもゴブリンはそこまで強い相手ではなかったので格闘術を使えば簡単だった。
木の棒で武装していたが、力任せに振ってくるだけなので難なく倒すことができた。
倒すと灰のような粉に変わり、粉の中から銅貨が出てきた。
魔物を倒すと稀にアイテムをドロップすることがあるという。
強力な魔物ほどレアアイテムをドロップするというらしい。
そういった強い魔物にはあまり会いたくないが。
今夜は野宿なので寝込みを襲われないか心配だ。
その後、日没前まで歩き続けた。
ここまでくると木々も少なくなり、ごつごつとした岩肌が多くなってきた。
目的地である鉱山はもうすぐだろう
歩いている間に食べられる木の実を集めておいたので、今夜はそれを食べよう。
それにしても二人ともよく歩いたな。
おかげで本来予定していた距離より、かなり進むことができた。
無理してないか心配だが。
「体がしんどかったり、痛いところがあったら遠慮せずに言ってくれ。倒れるといけないからな」
「大丈夫ですよ、ご主人様」
「私も大丈夫です。それより私の荷物まで持ってくださってありがとうございます。レイさんこそ疲れませんか?」
「俺は大丈夫だ。本当にしんどい時はすぐに言うんだぞ」
今日は早く休むことにしよう。
覚えたての火炎魔法で拾った薪に火をつける。
今回は上手く抑えて使うことができた。
岩陰なので風もあまり当たらない
これなら寒さは防げるはずだ。
森を抜けたので魔物は見かけないが念のため夜番として起きておこう。
「リュックの中に寝袋が入ってるから。二人とも先に寝ろ」
「いいのですか?夜番なら私がいたします」
「気持ちはうれしいが今日は長距離を移動したし、明日は採取した魔鉱石を抱えて帰らないといけないから、今は休んどけ」
「……分かりました。では、お先に失礼します」
2人ともすぐに寝付いた。
これだけ歩けば当然だ。
しかし、これからどうやって暮らしていこうか。
あの街だとエレナが奴隷商の追っ手に見つかる可能性もある。
犬族ということでも差別されているし、あの街では暮らしにくいな。
どこかほかの国に旅をしたほうがいいかもしれん。
まぁ、このことは後日エレナと話し合うことにしよう。
それにしても星がきれいだ。
こんなにゆっくりと星を眺めたのは何年ぶりだろう。
今まで平穏を求めて生きてきた。
だが俺の意に反し、待ち受けていたのは平穏とは程遠い人生だった気がする。
挙句の果てには異世界召喚ときた。
だが嫌なことばかりではない。
そのおかげで成長できたことも確かだ。
それに大切な仲間にも出会えた。
これからは,その仲間を守るために生きてゆく。
こんな生活もいいかもしれないな。