夏の尻尾
蔦の葉が絡みつく白い家
あなたは葉の間から
蜥蜴の尻尾を捕まえる
かわいいでしょ
あなたは誇らしげに言う
わたしは怯える
大丈夫蜥蜴は足があるから
蔦の葉がどこまで行くか
知らないまま
さよならをする
もうここにはいられない
蜥蜴はどこにでもいるわ
あなたはひとりしかいない
わたしだって
あの頃は幸せだった?
それから幸せだった?
聞きたかったと気付いた
わたしはあなたの子どもだったから
あなたがいれば幸せだった
あなたもそうだった?
もしあの尻尾が蛇だったら
あなたはどうしたのだろう
夏の空は教えてくれない