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chain 魔法と悪魔編  作者: 神崎美柚
Ⅰ 問題発生
8/35

8 ルナティアの心の闇

「ヒナギクの記憶から辿った方が早い」


 時の管理者はそう言った。なので、お母さんの記憶から辿ることにした。


────


 最近、ルナティアが血の香りをまとわせている。本人も困惑している。意味が分からない、と。

 ──夜中に『鎖』が人殺しをしているかもしれない。その可能性もあるため、私は夜通しで起きることにした。

 こんなの慣れっこだから構わないのだが、これ以上本格的に出てこられたら困る。あたしでも抑えきれるかどうか。


「ん、ルナティアが……」


 いつもと違って鎌を手にして歩くルナティア。夜だからか、死神にしか見えない。

 観察を続けると、人間の家に入っていった。──その数秒後、悲鳴が上がった。ああ、『鎖』の好物って。

 あたしはため息をつく。死ぬのも覚悟で『鎖』を殺さないと、ルナティアをいつか喰ってしまうだろう。それではダメだ。周りへの影響も半端ないはずだ。

 長女でそこそこ大きくなったスミレに全て託すことにした。幼い二人には私が死んだことを決して伝えないで欲しい、とも。文章に残した。

 覚悟は出来た。

 ルナティア──『鎖』が戻ってきた。


「何を見ていた? 」

「あら、それが本性なのね」

「──食事を見られたのだからしょうがない。お前は死ね」

「ええ、もちろん覚悟はしているわよ。あたしが勝てばルナティアは解放される」

「ああ」


 鎌をナイフで防ぐ。かつての戦闘能力が衰えたとは言え、まだまだのはずなのだが。

 一旦離れ、ナイフを投げつける。しかし、それもダメだ。

 能力を使うものの、お腹をえぐられる。意識が朦朧とする──


────


 私はいつの間にか泣いていた。レンゲたちには隠している母親の死。まさか『鎖』が深く関与しているなんて。


「これは確かに黙っていたほうがいいわね……」

「バレることはないよ、たぶん」


 時の管理者は妖しげに笑う。表情豊かね。


「危険だけれど、『鎖』を追うの? 」

「当たり前よ。危害を加えるのに変わりはないのだから」

「……じゃあ、頑張って。私はここにいるから」

「……そうね。無理は言えないわ」


 私は見送り、ふう、と一息をつく。──これでよかったのよね? お母さん。

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