26 脱出
私は魔法にかかったふりをすることにした。何せ、ナトリなわけがないからだ。
まずナトリが常備している特製爆弾を所持していなかった。それに、あのしゃべり方。ナトリのようでナトリではない。
「これでまた間接的に殺せるわ。ねえ、リサテア」
「はい」
リサテアは魔法にかかってしまっている。私はとてつもなく歯がゆかった。
私とリサテアはあの新設された部屋にいる。ついでにこいつも。
新設された部屋はすごく禍々しく、今も『鎖』が何かをしている。
「私の遊びはまだまだよ……ふふっ」
いくら私が神とは言え、あまり深く干渉してはならない。とくに、この『鎖』に干渉すればおそらく力を奪われるだろう。母や妹に迷惑をかけてはならない。
今はただ、その時を待つだけだ。
「少し眠るわ。2人も寝なさい」
強制的に眠らされた。
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私は懐かしい夢を見た。
まだ私が幼くて、お母さんもお父さんもニコニコしていた頃。
──ああ、でもこれは偽りなんだ。今なら分かる。
この時は権力が自分の手の中におさまるから、と偽りの笑顔を私に向ける余裕もあっただけのこと。本当の笑顔なんて、なかった。だから私は両親を嫌った。
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