18 リサテアと
「師匠~どうしたらいいんですか? バレかけてますよ」
『演技力が足りないからよ、半人前』
「でもでもっ、リサテアだなんて予測外です」
『……はあっ!? 』
「師匠、声大きいです」
『と、とにかく帰ってきなさい』
「でも……いきなりだと」
『うっ……』
師匠との電話。異界であるここには電話がないので、滅多に出来ない。怪しまれてしまうからだ。
師匠も予測外のリサテアに悩んでいた。リサテアは師匠の予測だと、いい思い出のないここには戻っては来ないだろう、となっていた。しかし、ハナを大切に想う気持ちのせいか戻ってきた。しかも、私のことを偽物だと疑っている。
『今の状況を説明してくれる? 』
「はい。ロドノスも偽物でした。しかも、土の古代魔法使いです。そして、いきなりイリスと協力して暴れ出しました。止めたのはハナの中の古代魔法使いです」
『……古代魔法使いが2人も? 確かに、未だに潜伏者はいるでしょうけど……ありえないこと。ハナの中に誰が』
「私にもさっぱり……現代魔法も使えれば、あの方の可能性もありますが」
『とりあえず監視して。もし、使えるならば捕まえて連行して』
そこで電話は切れた。出発する前もそうだったが、師匠が冷たい。電話しながらも、何かしていたし……。
私は別館にある自分の部屋に戻り、本を読むことにした。古代魔法についての本。半人前だから少しは読んで勉強しないといけない。
「土の古代魔法使い……」
『通常、ゴーレムは作れないが、まれに作り出せる人がいる。最強の古代魔法使いと呼んでもよいだろう。』
師匠もその一人だ。幼い頃から最強の古代魔法使いを目指し、奮闘してきた。そして、最強の古代魔法使いとなった。実にカッコイい。
「こんにちは」
「……! 」
リサテアがいつの間にかいた。にこりとも笑わずに近づいてくる。
「ねえ、何者なの? 」
「……エート」
「正直に話して。ソフィアが捕まって大変なの」
「……仕方ない。名前までは明かせないけど、魔法使い。ある任務のためにいるの」
「それじゃあ、ソフィアを助け出して! 」
「……仕方ない」
師匠との約束事を破りそうだが、気にしないことにしよう。気にしていたら大変なことになりそう……。