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chain 魔法と悪魔編  作者: 神崎美柚
Ⅱ 推理
14/35

14 襲来

 別館の豪勢な造りにはあきれた。折り紙を折っているけど、シャンデリアが眩しい。


「あら、本館で何か……」


 本館が騒がしい。しかし、防音のせいで聞こえない。ハナも心配そうに見ている。


「え、イリス……? 」


 本館の廊下を歩くのはイリス。あの髪はそうだ。

 というか、こちらに来ている。……ヤバい?


「……毒に犯されし者、ね。面白くなってきたわね」

「ハナ? 」


 ハナが立ち上がる。私はびっくりして、折り紙を落としてしまう。

 そして、扉の向こうからイリスが現れた。イリスは笑っている。


「今がチャンスだと思ったの。あの騎士さんはいないし。ロドノスが異界との扉を封じてくれて助かるわ」

「確かにそうかもしれない。でもねえ、イリス。私のこと、分かるかしら」

「……笑わせないで」


 見たこともない攻撃を繰り出すハナ。私はきょとんとしてしまう。

 イリスは分かっているらしく、必死に避けている。


「魔法を使うってことは別の世界のか」

「ええ、そうよ。名乗る必要はないけど」


 私はただひたすらに見守るしかなかった。


────


 ロドノスの妹として潜入させられたものの、なぜ師匠は自分から来なかったのかと私はまだ怒っていた。あんたのは本物の妹さんと同じ貧乳だから、という理由では納得できない。プンプン。


「イリスが逃げ出したぞ! 」

「捕まえろ! 」


 私は魔法を使おうとして、やめた。師匠曰く、この世界では魔法は未知なるもので、取得している者はもちろん、知っている者も少ない。しかも立場上、マズい。

 私はソフィアを呼び出そうと思い、異界に行こうとする。しかし。


「ルマント」

「お、お兄様!? 」

「どこに行く気だ」

「……そんなの、私の勝手です」

「だが、行かせない。ルマント──いや、異界から来た女」

「な、お兄様、何を」

「それはなあ、私もそうだからさ」


 ニヤリと笑うロドノス。ああ、こいつも紛れ込んできたのか。でも誰なのだろうか。私は師匠みたいに色んな知識を持っていない。本当に困った。

 すると、魔法を繰り出してきた。ゴーレムをうみだしているところを見る限り、師匠と同じ時代の人だ。益々分からない!

 イリスの捜索のために悪魔は皆いなくなっている。ここにいるのは私とこいつだけ。魔法は繰り出し放題だ!


「ほう、水、か」


 ゴーレムが私の攻撃を弾く。古代魔法はまだかじっている程度で、使うな、と師匠にも言われている。だから絶対的に適わない。──よし、逃げよう。


────


 しばらく続いた攻防を止めたのは、乱入してきたロドノスと女性だった。ハナの攻撃がよく分からない土の塊を砕いた。


「え、どういうことなの!? 」

「あ……」


 女性はヤバいな、という顔をしながらも私を追い出した。私は廊下で倒れた。


────


「この人ってハナ様……なのに、何で魔法!? しかも古代魔法!? ありえない……本当にありえない」


 と、私が苦悩している間にイリスが倒された。ロドノス(仮)が殴ったらしい。可哀想に、頬が赤い。


「ん、どうしたの? 」

「さっきの……ええと、」

「なんのこと? 」


 先ほどまでの鋭い眼光から元に戻っている。どうして?


「見間違いだったみたい……」


 私は、疲れているのかな? それとも、ハナの中に誰かいるのかな。

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