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chain 魔法と悪魔編  作者: 神崎美柚
Ⅱ 推理
12/35

12 異界の存在

12日 夕方~夜


 夕食。稲美が泥だらけで帰ってきた。また片づけていたらしい。


「早く綺麗に洗って」

「押しつけたくせに……」


 文句を言っていたが、洗ってきた後、好物のシチューを出すと大喜びで食べ出した。おかわりもしている。


「そういえば何しに行ったの? 」

「色々と確認をしたのよ。あ、そうそう。私ね、『鎖』について調べるわ」

「ふーん、頑張って」


 シチューをまだかきこんでいる稲美を置いて私は地下へ。兄である明石がかつて集めたという本がある書庫。色んな本が揃っている。

 膨大すぎるけれど、一生懸命探す。──魔法についての本を。


「あれは魔術じゃないわ……」


 スミレやソフィアもやられる強さを持つ『鎖』。異界に存在するらしい魔法。きっと、彼女はそれを──。


「あった」


 魔法の本はたくさんあったが、明石が読んだ跡はなかった。何のために集めたのかわからない。

 ひたすら読むことにした。


『魔法とは魔術と呼ばれるものと同じだが、専門性がある。必ず学院で学び、それなりの成績を修めたもののみに使用が許される。ところが魔術は誰でも使えるため、能力は劣っている。』

『学院のある世界に来れる者は稀である。そのため、学院のある世界に生まれた生徒が大半である。』

『その世界をディヴァーナと呼ぶ。』


 魔法が学問と同等の扱い。そんな変わった世界もあるのね……。不思議だわ。


「何しに来た」

「うわわっ、誰!? 」

「兄の顔も忘れたか」

「……はい? 」

「死人を見てるような顔をするな」

「いや、死んだはず」

「勝手に殺すとはいい度胸だ」

「……」


 頭が真っ白になる。明石は死んだと私は聞いた。いくら兄と妹の仲がよろしくなくても、それぐらいは──。


「噂に聞く幽霊って存在!? 」

「バカか」

「──あの、ところでこの本は」

「これから読むところだった」

「ええっ」

「稲美に言われていた。魔法を手に入れれば最強だとな」

「でも、糸使いの能力があるわよね」

「あれは特殊能力の中でも下位だ。だから魔法を手に入れたかったが、専門性があるのならやめておこう」

「ええ、やめるべきよ」


 こくこくうなずき、兄を止める。糸使いになるときは止めなかったから、今度こそ。

 すると、稲美がやってきた。


「お客様よ~」

「赤穂、どういうことなの? 私、帰ったら居場所が──」

「あ」


 お客様は、帰ったはずのリサテアだった。明石を見て固まる。えっと、確かリサテアって──。


「な、何でいるの!? 」

「あれぐらいで死ぬような俺ではない」

「……まあ、とりあえず話をして」


 リサテアは咳払いをし、話始める。


「わけわからない。ロドノスは確かに死んだのに、まだいるのよ? 私が代理できなくなっちゃったの」

「ロドノス……」

「ハナの代わりの悪魔でしょ? 強欲なバカ? 」

「ロドノスと言えば、一時期指名手配されていた男がいたな」

「え? 」

「そうよ。私はハナに相応しくないから、と殺したわけだけど……その……」

「生きていたわけだな」

「それなら、ヤバいのでは……」

「そうだけど、一人で乗り込んでもバカバカしいから」

「……とりあえず、明日まで待て。こいつも何か探しているみたいだ」

「ん? 」


 私は『鎖』について調べているのだと説明する。リサテアの顔が険しくなる。


「さすがにヤバいと思うけど、見当はついてるの? 」

「魔法を使ってると思う。あの強さはきっと──」

「確かにそうかもしれない」

「魔法、ねえ……。まあ、明日にしましょう? もう夜だし」

「そうするか」


 私達は眠ることにした。


13日


「入るぞ」


 現れたのは、ソフィアだった。

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